多言語話者として現在海外の拠点から英語と複数言語を教えさせていただいているMULTILINGIRLです。twitterなどに動画(日本語以外の6言語を話している)も載せていますので気軽に絡んでください('ω')ノ
twitter→@_multilingirl_
さて、マルチリンガル(多言語話者)という意味は英語にすると、ポリグロットとも呼ばれ、時にはプルリリンガルとも呼ばれる。
これらは全て多言語話者という意味では共通するものの、多少、ニュアンスが違うということはあまり知られていないかもしれない。
使う言葉が違えば多少ニュアンスも異なってくるのだ。この記事では、その微妙なニュアンスの違いを書いていくとともに、現在10言語以上勉強しながら、オンラインで多言語を教え、海外を飛び回っている(編集時点での2019年9月時点はキルギス)私が、マルチリンガルに関するちょっとした情報も付け加えていくことにする。
ちなみに以下は、主要言語だけ学んでいた私が、10言語以上学んで気づいた気づき。最近はキルギス語やヘブライ語なんかにも手をつけてしまっているわよ…w
「フリーになって分かった、英語よりも自分の好きなマイナー言語を学ぶべき理由」
①まず、マルチリンガルの定義
マルチ(Multi)とは、複数という意味である。算数の掛け算=multiplicationなので、そのようにたくさんの言語が話せるイメージもある。
このMulti という接頭辞は、many と全く同じ概念であることも覚えておいてね。
なので、マルチリンガルと言った場合、理屈では3言語くらいでもマルチリンガルと言えるのである。なぜなら、マルチという言葉に四言語以上というニュアンスはないため。
けれども、以下の図からも分かるように、マルチリンガルまでは、1言語、2言語、3言語を定義する専用の言葉がある。
なので普通はマルチリンガルと言えば、4言語以上と思っておけば良いだろう。
一応、説明していくが、①はモノクローム(1つの色)などとも同じ語源であることからもわかるように1言語のみ。つまり母語しか話せない人のこと。
バイリンガルは、バイセクシャル(両性愛者)からも分かるように、2言語。トリリンガル(トリリンガル)も、トリオからきており、3の意味だよね。
ちなみに、Trilingual に読み方(トリリンガル・トライリンガル)が二つあるのは、通常はトリリンガルと発音し、強調したい場合、トライリンガルと発音するからである。
これはMultilingual をモォティリンガルと通常は発音し、強調したいときは、モォタイリンガルと発音するのと同じ。
Directをディレクトではなくダイレクト、Diverse をディバースではなくダイバースのように、英語には通常と強調するときに発音が変わる例外的な単語がいくつか存在する。
②プルリリンガルの意味
さて、ここで⑤にあるプルリリンガルの意味を解説していこう。プルリリンガルの概念は少し厄介なのである。
マルチリンガルとプルリリンガルの違いは?と言われると、説明が難しい部分もある。で、端的に言うと、
プルリリンガルという言葉は英語圏では、最近使われなくなっている。それは、グーグルの完全一致検索で以下のキーワードを検索してみても分かった。(グーグル検索の英語設定済)→2019年9月更新
以下の
multilingual → 約 66,100,000 件 (0.48 秒)
polyglot → 約 8,480,000 件 (0.41 秒)
plurilingual → 約 224,000 件 (0.43 秒)
この検索結果数を見れば、まず英語圏では多言語話者を意味する言葉として、マルチリンガル(6610万ヒット)が一番使われていることが分かる。
そして、プルリリンガル(22万ヒット)というのは、現在ほとんど使われていないのである。
多言語主義的な意味で検索してみても、やはりプルリリンガリズムは全然使われていない。
multilingualism → 約 3,190,000 件 (0.42 秒)
plurilingualism → 約 153,000 件 (0.42 秒)
で、プルリリンガルについて、きちんと説明しよう。これは、プルリリンガリズム(多言語主義)のときによく使われる言葉だ。
というのも私たちがよく言っているマルチリンガル国家というのは、実はプルリリンガル国家のことだからである。
プルリリンガル国家→個人や社会がその環境に応じて、数カ国語を話すというもの。
マルチリンガル国家→複数の言語がその地域で共存する社会を表す。
つまりこの場合、スイスでは西部、東部、南部で文化が違うため、フランス語しか話せない人もいれば、ドイツ語しか話せない人もいる。また、フランス語もドイツ語も両方話せる人もいる。
こういう人たちが共存した社会のことをマルチリンガリズムというのだ。一方、カナダでは英語が公用語、またフランスが公用語の場所もあるが、フランス語教育にも力を入れており、それはカナダにフランス語を話す州もあるので、その人たちとも臨機応変に言語切り替えをして対応できるようにする。そういう取り組みをしている国が、プルリリンガル国家と言われている。
https://en.wikipedia.org/wiki/Plurilingualism
と、ちょっとややこしいかもしれないが、英語圏の人たちの中でも、ここまでこの二つの単語を比較する人はいないと思うので、以下のように覚えてもらえばいいと思う。
multilingual →語源は、many
plurilingual →語源は、plural
many よりも、plural のほうが頻出ではない単語だという事からも分かるように、英語圏では、multilingual のほうがよく使われるのである。
こういう語感を覚えておくことは英語を習得していく上で非常に重要なのだ。
③ポリグロットの意味
https://www.flickr.com/photos/gideon/38911620
さて、上の検索結果で、ポリグロットもかなり使われていたのに気づいた人も多いだろう。ポリグロットというのは、polys = many(polyとはギリシャ語源)で沢山という意味を表す。
plyclinic(総合病院)、polytheism(多神教)などのように、ギリシャ語源の単語は難しいニュアンスを創り出すときに使われる。
glossa = tongue で、舌の意味。このポリグロットというのは、人にしか使われないと思われがちだが、実際は、multilingual の formal バージョンとして使われている。
a polyglot nation(多言語国家)
とは言え、polyglotという単語を英語話者は、日本人が日本語で「複舌」と漢字で表す感覚で見ているので、複数言語をメールで操るとかよりも、会話で操るを強調したい人が好んで使うのだろう。
以下、私が2020年2月頃に撮影した6言語で話している動画も、ある意味でポリグロットかもしれない。( ´艸`)
④セミリンガルというのもある
ちなみに上では触れていないが、セミリンガルというのもある。以下の記事でも書いたことがあるが、セミリンガルというのは、日本語や英語などという2つの言語がある程度話せるけれども、どっちも中途半端で、思考に影響を与えてしまう状態のことだ。「マルチリンガルの私も、実は25歳までは【セミリンガル】でした」
特に、バイリンガル教育をしている子供に多い。日本語できちんと物事を考えられない年齢に英語を詰め込むと、発音やイントネーションなどは綺麗にはなるが、英語できちんと自分の気持ちをロジカルに伝えられない。また自分でも何を言っているのか分からないという現象が起きる。
私の場合、高卒で勉強も全然していない状態から25歳まで英語漬けの日々を送ったので、国語力もないまま英語を話し、中途半端な日本語と英語になっていた時期があった。
それを日本語教師という職につき、韓国の大学で英文学科に入り、東京で医薬翻訳などをすることで克服した。という過去がある( ゚Д゚)
⑤令和の時代、マルチリンガルになることは、かなりオススメ
実際にフリーになって、海外に出てみて気づくのは、マルチリンガルの人は海外には腐るほどいるわけである。
マルチリンガルといってもすべての言語が完璧なレベルで話せなくても、基本3000語くらい、いや1000語くらいを操って受け答えができれば、それはバイリンガルでありマルチリンガルであるわけ。
私は現在、ロシア語圏やアラビア語圏を回りながらブログを書いたり以下のような多言語メンターをやっているが、個人で仕事をすることが当たり前になってきている今の時代、ただ企業で求められる語学スキルだけではなく、自分から繋がりを作っていこうとするアクティブな日本人がもっと必要になってくると思うのである。
以下にも書いたが、海外の大企業のCEOは複数言語を話せることが多く、それがお金に変わっているという面もある。
「「バイリンガル」や「マルチリンガル」は収入が倍増するのか。言語能力をお金に変える方法と、各主要言語における今後の趨勢」
またユーチューブやブログの出現により、より多言語であることによって活動できる幅は広がっていくのではないだろうか。
なによりも、繋がりが増えるという点でやはり私はマルチリンガル人材を増やしていきたいし、多言語コーチを通して、サポートさせていただいているのである。
⑥最後に。やはり原点は日本語
外国語を学んでいるうちに日本語力も伸びていく。その点で外国語を勉強するのはとても意義のあることだけれども、同時に日本語力をきちんと固めることが重要だと私は考えている。
多言語に手を付ける前に、日本語での説明力、英語の文法力とある程度の単語数(以下のOXFORD3000が参考基準になると思う)を固め、
「世界では常識?日常英会話の90%以上は、OXFORD 3000単語だけで十分な理由」
それから韓国語なり、フランス語なり、中国語なりかじってみてはいかがだろう。一つ言えるのは、英語以外の言語を学ぶと、英語力が更に強化されるという点。
なぜならスペイン語やフランス語などのロマンス諸語を勉強すれば英語の高級語が見につくし、似たような単語の比較をして語源を理解することで更に英単語強化になる。
また韓国語で分からない言葉を英語ではどういうんだろう?と調べると、これまた英語の強化になる。
そしてそれが日本語ではどう言うんだろう?に繋がっていき、結局日本語力向上にも繋がっていくのだ。→英英辞書ばかり使っている人は注意。
それは英語に慣れていない人が一定期間使う勉強法で、翻訳レベルになると、英語と日本語できちんと引き出せるようにしなければならないからね…('ω')ノ
最後に一言。バイリンガルは帰国子女などの一部の人たちしかなれない。という勝手なイメージはもう卒業しよう。
努力次第で誰でもなれるものだ。語学学習は覚えれば覚えるほど、達成感も味わえて繋がりも増えるから楽しいよん(*´ω`*)
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