以前から書いていたこの記事だけれども、実際にペルシア語のフレーズを少し教えるようになって、ペルシア語に対する知識や、雑学なども分かってきたので、少し記事の内容を増やした。
さて、ペルシア語と聞いて何を思い浮かぶだろうか。ペルシャ猫や、ペルシア帝国など、ポジティブに聞こえる反面、1978年1月に始まったイラン革命によって米国にとっての敵国となった、いわば日本人からみてもネガティブな国家に映ることもあるイランの言語だという面もある。
7000万人の市場を持ち、大学進学率も高いイラン。欧米の制裁を受けても耐え続け、この国の制裁が解除されると一気に発展すると注目すらされている国。サウジアラビアが2030年に向けての改革を打ち出したのも、このイランに対抗するためであり、イスラエルがどうしても消えてほしいと思うほどの国、それがイラン。
ヨーロッパでは歴史的、文化的な面からは尊敬の対象であり、地域大国としても存在感の強いイラン。その国のペルシア語というのは日本で全然学ばれていない。
この記事ではそのペルシア語を学ぶメリットを考えつつ、少しでも学ぶ動機になっていただけたらと考えて書いた。
①ペルシア語とアラビア語との違い
まず、ペルシア語を見た時、アラビア語との違いは?と思う人がほとんどだろう。同じ文字を使用していても、発音や文法は全く違う。唯一似ているものと言えば、単語である。それはアラビア語からペルシア語へと入っていった。
つまり簡単に言うと、中国語と日本語の関係に近い。
中国語=アラビア語
日本語=ペルシア語
現在のイランがある周辺にはもともとペルシア帝国があったが、ここはイスラム帝国に吸収された時代もあり、その時に民族が屈服しなかったのでペルシア語はそのまま残ったが、代わりにアラビア語の単語が沢山流入した。
日本人のように、中国から入ってきた漢語を沢山自国の言語に吸収した過程に非常に似ていると言えるだろう。
欧米人が、日本語と中国は同じように漢字を使っているので同じ民族?と思っていても、我々は全然違うと思っているのと同じように、イラン人はアラブ人と一緒にされるのを非常に嫌がる。
とはいっても、ペルシア語の高級単語の多くは、アラビア語である。日本語でも、「社会」「化学」「科学」「使用」などが全て中国語と共通しているのと同じだと考えればいいかもしれない。
これらのいくつかは明治以降、日本人が西洋語から漢字に当てはめたものを中国に逆輸入したものでもあるけどね…。
ちなみにペルシア語だけでなく、ヒンディー語やパキスタンのウルドゥー語、また驚いたことにスペイン語の高級単語にもかなり多くのアラビア語が含まれており、アラビア語自体、かなり影響力のある言語と言えるので、ペルシア語の前にアラビア語をかじっておくのも一つの投資かもしれない。
②イランは地域大国である
地域大国(Regional power)というのは、地政学的にみた歴史的に、経済的に、軍事的に影響力を持つ大国のことを言う。その中にイランも含まれている。
この周辺国の中には、サウジアラビアだったり、トルコだったり、自分たちが地域大国だと思っている国も多く、衝突が起きやすくなっている。
その中でも、アラブやイスラエルの共通の敵としてイランが存在し、地政学的にもこの構図は変わることはなさそうなので、ペルシア語はある意味、全く別の世界の言語を学ぶ感覚に近いのではないだろうか。
大袈裟に言えば、最後のフロンティアかもしれない。
③兄弟言語へと派生させていく
ペルシア語は、英語やロシア語、ヒンディー語と同じ、インド・ヨーロッパ語族ではあるが、その中でも、インド・イラン語派に属し、この中にはインド最大の言語ヒンディー語や、アフガニスタンのダリー語なども含まれる。
ペルシア語はよくヒンディー語と似ていると話題になっており、これはインド人自らが英語圏のサイトで熱心に説明していることからも分かる。なんていったって同じ言語系統の中で、同じ語派であるので、似ていて当然だろう。
また中央アジア5ヵ国はほぼトルコ語と同じチュルク語派の言語であるが、タジキスタンだけは、ペルシア語に非常に近いタジク語である。つまりペルシア語を学ぶという事は、その先に、ヒンディー語だったり、タジク語、将来、どう変わっていくか分からないアフガニスタンの言語にまで手を伸ばせる可能性を持つことになるということである。
※ちなみに、タジキスタンについて。中央アジアのフロンティア的な存在であり、ペルシア語を勉強する学校もあるので近々調査に行こうと思う。
「タジキスタンでノマドは可能か?都市と物価、タジク語(ペルシア語)事情を調べてみた」
④ペルシア語は実は非常に簡単な構造
日本人にとって簡単な言語と言われているのは、同じ文法構造、共有語彙も多い韓国語であったり、マレー語をもとに作られた近代言語でもあるインドネシア語だったりする。
とはいってもペルシア語が簡単な言語だという話はあまり聞かない。私が勉強してみて、そして色々な本を読み漁って分かったのは、ペルシア語が話されているイランは古代から多くの人が行き交っていたせいもあってか、ペルシア語自体を簡略化していったという歴史がある。
また日本語とほぼ語順が同じだったり、スペイン語やフランス語などを代表とするヨーロッパの言語とは違い、語尾変化などが非常に少ない。
インドネシア語の初級も教えている私からみてもペルシア語は非常にシンプルだと感じている。
そしてペルシア語の高級語彙にはアラビア語単語が多く使われているので、アラビア語をかじったことのある人は、ペルシア語も入りやすいかもしれない。
⑤カタカナで通じるペルシア語と、中東のフランス語
グーグル翻訳では、ペルシア語の音声が聞けない。つまり相当マイナーな言語である理由でもある。けれども、以下を使うとフレーズ別で発音を確認することができる。
https://forvo.com/guides/useful_phrases_in_persian/everyday_phrases/
アラビア語に比べても、ヘブライ語に比べても非常にシンプルな発音なので、ほぼカタカナ表記ができ、日本人にとっては覚えやすい。
⑥中東のフランス語である理由
ペルシア語はよく中東のフランス語と形容される。アラビア語のように攻撃的な発音とは対照的に、優しく滑らかに話す言語であるのがその理由かもしれない。
これは日本語(高低アクセントが特徴的)と中国語(声調の上がり下がりが非常に激しい)の違いにも似てるかもしれない。
また近代に入って、政治の中心でもあったフランス語の語彙は、ペルシア語に組み込まれ、フランス語と同じように「merci=メルシー」と発音するのも特徴的。
以下、フランス語からペルシア語に流入した語彙。
List of French loanwords in Persian
ロシアも当時の貴族がフランス語だけを話していた時代があり、今のロシア語にもフランス語の語彙が沢山入っているが、その感覚に近いとも言えるだろう。
⑦可能性のある「希少価値言語」
「Persian Japanese people」などで検索しても、10年以上前のこの動画が出てくる。それだけ日本人の間ではペルシア語は学ばれていない。学ばれていたとしても少数であり、その中でも動画で自分のペルシア語を残せる人は、ほんの一握りということが分かる。
自分自身をブランディング化したい場合など、まだまだ狙える言語ではないだろうか。
⑧ペルシア語3ヶ月限定コース
現在、ペルシア語をかじってみたい方を募集。以下の外国語と同じよに200フレーズを中心に覚えていきます。
・アラビア文字の習得
・簡単な挨拶程度の表現
などの習得を目指し、目標のところまで完全補償でやっていきます。もちろん私との雑談も挟みつつ、楽しいレッスンが待っています。
※現在25名の生徒さんを抱えているので本気でかじってみたい方のみ。タイミングによっては難しい場合もありますが、直接gmailのほうにご連絡いただけると助かります。
ペルシア語以外の言語は以下。そちらで料金等も確認できます。