オーストラリアと言えば、私の世代(1987年生まれ)では、それほど存在感がある国とは言えないかもしれない。おそらく、私より前の世代、後の世代においても、オーストラリアというと「コアラ」。とか、「無駄にデカい国」とか、「英語留学がしやすそうな国」、そういうイメージが強いのではないだろうか。
私のフェイスブック友達で、オーストラリアで不動産系のお仕事をしている人がいるが、やはり彼女が言うに、「日本人はまだまだオーストラリアのことを知らない。」のだそう。
つまり、私からしてもやはり思うことは、日本人は、「オーストラリアのことを知らなすぎる!」けれども、この国の現状をシッカリ知ることで、よりアジアを多角的にみれるのは間違いないはずだ。
①日本人が知らない間に変わったオーストラリアのGDP
1990年代を知っている世代にとっては、オーストラリアと言ってもシックリこないかもしれない。というのも、1990年代の日本とオーストラリア、と、今現在2018年の日本とオーストラリアの経済力は随分変わってしまったからだ。
これは中国が1990年代初頭、日本の九州と同じくらいのGDPしかなかったのが、今では、2倍以上になっているのと近い感覚だけれども、オーストラリアの場合は、国全体のGDPのみならず、一人当たりのGDPにおいても、日本人を超えてしまったということである。
バブル崩壊前の1990年頃の一人当たりのGDP(購買力平価ではなく為替レート)は、日本(25,196ドル→251万円)に対して、オーストラリア(18,866ドル→188万円)つまり、日本のほうが上である。
またその9年後の、1999年においても、日本(35,912→359万円)に対して、オーストラリア(21,767→217万円)まだこの時点では、日本のほうが上である。
※1ドル100円という単純計算でわかりやすく示した。
つまりこの時代を知っている人であれば、オーストラリアと言えば、アメリカ留学に行けないような人が節約のために行くような場所というイメージもあった。
しかしその後、2018年においては、日本(41,314→413万円)に対して、オーストラリア(58,941→589万円)という結果に。
またオーストラリアは、
2011年=66,773ドル→667万円
2012年=68,048ドル→680万円
2013年=64,734ドル→647万円
2014年=61,232ドル→612万円
ちょうど、2014年頃だっただろうか、私が派遣でテレビ局で英語の対応系の仕事をしていた時、隣に座っていた人がオーストラリアからやってきた帰国子女だったのだけど、やたらと、オーストラリアの物価は高いよとか、オーストラリアの購買力は日本人と比べ物にならんし。とバカにしたような口調で語ってきたのを思い出した。
そう。この2011年~2014年は、世界にも類を見ないほどの高成長のまさにピークだったのだ。オーストラリアへのファームステイ(稼ぎながら英語勉強)などの言葉がでてきたのもこのくらいだろう。
ちなみにタイトルにもあるように、一人当たりのGDPは日本の二倍。近くなっている。
2018年は、オーストラリアの一人当たりのGDPは低くなっているが、それでも、日本人よりオーストラリア人のほうが150万円以上も多く稼いでいるということになる。
List of countries by past and projected GDP (nominal) per capita
とはいっても、これは名目為替レートなので、日本円が安かった場合、日本のGDPが低くなるということであり、本来は豊かさの指標を表すには、購買力平価(その国でどのくらいのものを変えているかを示す)を参考にするほうがいいとされている。
で、購買力平価の一人当たりのGDPをみてみると、
日本=42,659ドル→426万円(2017年)
オーストラリア=49,882ドル→498万円(2017年)
やはりオーストラリア人のほうが金持ち。とも言いたいが、GDPよりは差がなくなってきている。
参考サイト
豪ドルは緩やかに下落、経済は2015年底打ち
②日本とオーストラリア、どちらがホームレス大国?
日本とオーストラリア、どちらが豊か。というのは単に数字だけでは測れないところがある。というのも、GDPや購買力平価は、一部の富裕層の資産も計算に含まれるので、一般庶民同士を比較するのには、少し無理があるという部分もあるからだ。
例えばアメリカの一人当たりのGDPは日本よりも高いが、白人女性でさえ路上で生活するような時代になったのは、今じゃ誰でも知っているような話である。
「閲覧注意!!これがロサンゼルスの現実。ホームレスと売春婦、そして警察だらけ?日本では絶対に見られない光景!【海外の反応】」
また、ロサンゼルスと聞くと煌びやかな大都市をイメージするものもいるかもしれないが、現状はこれ。
つまり、アメリカの一人当たりのGDPの数字にはアメリカにいる多くの富裕層の数字が反映されている。
なんていったって、人の資産って、こんなものだからね。一部の少数派が、多数派と同じくらい資産持ってるのだよ…。
「日本の「最貧困女子」より更に上を行く、米国で増える続ける、社会から見捨てられた「白人女性」のホームレス TOP10」
で、日本とオーストラリアのホームレスの数を調べてみた。すると、日本は、4,977人(2018年)なのに対して、オーストラリアは、11万6427人(2016年)となっていた。
List of countries by homeless population
③高時給を目当てにワーホリを利用する韓国人
最近かなり改善は見られたものの、2010年前後の韓国のコンビニの時給は500円くらいだったと言われている。2018年になってから、文大統領が最低賃金を引き上げたことにより、日本の最低時給(地方などは安い)を超えたという声も聞かれる。一方で、そんな時給払えない!という経営者との対立や、赤字でやっていけない。という声も聞く。
そんな韓国人の若者にとって、時給が高く(2000円とかも普通)、ワーホリビザが出やすく、しかも韓国の社会で最低限必要とされている英語が学べる国、しかも時差が韓国とほとんどないオーストラリアは、憧れの地となっている。
で、これは実は韓国人に限ったことではなく、日本の若者も、ファームステイなどで、住み込みの仕事をやるパターンが多い。
また一人当たりのGDPとしては同じくらいの北欧諸国をはじめ、ヨーロッパ、アメリカからもファームステイなどをしてオーストラリアを旅する白人もかなり多い。
④住みやすい都市ランキングに3都市がランクインする理由
https://www.flickr.com/photos/wallyonwater54/9756929044
それは、街がコンパクトでわかりやすく、インフラが整っていて、ある程度のものがなんでも揃い、かつ、都市圏人口で500万人ほど擁し、イギリス人(16万人)、インド人(16万人)、中国人(15万人)、ベトナム人(8万人)、ニュージーランド人(8万人)、イタリア人(6万人)など、いろんな国籍の人たちが一緒に住んでいるにもかかわらず、犯罪率が低いことが挙げられるかもしれない。
⑤日本語が世界一学ばれている国がオーストラリア
これは意外と知られていない。日本人と言えば、「日本大好き親日国家=台湾」というふうに勝手に決めつけ称賛する人も多いが、実際台湾では日本語はそれほど学ばれていなく、また台湾に訪れる日本人が接するであろうサービス業の台湾人がニコニコしているのは、単に商売をしているだけというものである。
またオーストラリア人は基本的に、日本語を学ぶ必要がないにもかかわらず、日本語学習者が多いのは、日本文化やサブカルに興味を持っている人が多いということが数字として反映されている。というふうにみるのが普通である。
⑥オーストラリアは広いようで、実は狭い
ここではちょっとしたトリビアを紹介しよう。これを知るだけで、オーストラリアは実はそれほど広くはないということがわかるかもしれない。
というのもオーストラリアの面積(769万km²)は、中国(959万km²)や、アメリカ(983万km²)に近いが、実は人口の80%は、東京からずっと真下の場所、つまりだいたい同じ経度にあるオーストラリア東部の3州に集まっている。
面白いことに、上にも書いたが、日本の真下に位置するにもかかわらず、日本よりも2時間早い…。
⑦旅行者数を比較した結果、最も訪れているのはどちら?
タイトルが非常にわかりにくいのだけれども、つまりオーストラリア旅行に行く日本人と、日本旅行にやってくるオーストラリア人の数、どちらが多いのか?ということをここでは調べてみた。
上の図は、渡豪者数をグラフにしたもの。2014年の14万人から、2018年は19万人に増えている。一方、日本にはどのくらいのオーストラリア人がやってきているのか?というのは、以下観光庁の記事が参考になった。
なんと、49万人(2017年)である。日本人が行くよりも二倍多い。けれども日本の人口は、1億2000万人以上もいるのに対して、オーストラリアの人口と言えば、2460万 (2017年)しかいない。
つまり、オーストラリア人は本当に日本が大好きなのである。
⑧オーストラリアは、東南アジアである
オーストラリアにはもともと白人はすんでいなく、アボロジニなどが住んでいた土地であったことは誰もが知っている事実であろう。
また、そのアボリジニに対してどのくらいの知識を持っているだろうか。アボリジニは、黒人(ネグロイド)、黄色人種(モンゴロイド)、白人(コーカソイド)どれにも分類されない。
人種と言えば、この3つしかない。と思っている人には衝撃的かもしれないが、
実際に、東南アジア、インド南部、太平洋諸島などには、アフリカにいるようなネグロイド系の黒人とは全く違う種類の黒人、つまりオーストロイド系の人種が存在する。
「黒人には10種類ある?ネグロイドと、オーストラロイドの違いと、世界に散らばる黒人」
それが、まさしくオーストラリアの語源と関係しているのである。つまり、オーストラリアとはオーストロイド(アボリジニ)が住む土地である。
なので、東南アジア、特にマレーシアやインドネシアなどにアフリカの黒人くらい黒い人種もいるが、彼らもオーストロイド系であり、そういう人種的な部分から言うと、東南アジア南部(タイなどのインドシナは別)と、オーストラリアは一つのエリアと見なすこともできる。
けれども白人がオーストラリアに住み着いたせいで、オーストラリアと東南アジアは完全に別のエリアとなっているのがまた面白い。( ´艸`)
以下、意外と知られていないことをまとめた記事を以前書いた。
「東南アジアに「オーストラリア人」が多い理由と、日本人が知らない「インドネシア」と「マレーシア」について TOP10」
⑨オーストラリア好景気の背後にあるもの
この写真を見ていると、ちょっとみんな遊びすぎじゃない?とか思ってしまう・・。(ま、休日なんだろうけど?)
日本が世界に輸出するトップ5が、自動車、自動車部品、集積回路、機械であるのに対して、オーストラリアの場合は、鉄鉱石、石炭、観光、教育、金となっており、日本人が頭を使ってモノづくりをしている間に、オーストラリア人は、豊富な資源、英語圏でかつ民主主義国家であることの強みを生かした教育(大学など)、観光などで儲けている。
また、輸出先の31%が中国で、13%が日本。なので、オーストラリアは中国依存が、かなり高い国であり、中国の景気がオーストラリア経済に左右されやすいと言われている。
なので、オーストラリアの産業の根幹は資源であるわけだが、サウジアラビア的な構造なのかと言えば、また違う気もする。
というのも、サウジアラビアの人口は3000万人ほどいるのに、2400万人ほどしかいないオーストラリアのGDPのほうが高いからだ。
http://statisticstimes.com/economy/countries-by-projected-gdp.php
とはいっても、オーストラリアは外国の資本によってオーストラリアの資源を開発させることによって、利益を生んでいる。というのが一般的のようだ。
つまり、日本人のように新しいものを開発しようという考えがそもそもない。つまり、オーストラリアの製造業が発達しないのはこのためではないか?と言われている。
けれども、この国は一応西洋だし、アジア系の富豪が多く訪れることからも、また新しい方向性を見出していくのではないか?日本は資源がないので、新たな発想が今後もっと必要になっていくに違いない。
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