インドの人口は14億人(2022年時点)。それがすぐに中国の人口を追い越して世界一になるという。日本人はよく、「君ってインドっぽい顔だよね」とか言ったり他国の顔もほとんどわかっていないのに平気で勝手なイメージを押し付けるが、インドに2回行っている私はインド人には日本人に似た顔立ちの人から、白人のような顔立ちの人、黒人のような顔立ちの人など、驚くほど色んな顔立ちがあっていくつもの国が集まった集合体がインドなんだなと改めて実感した瞬間があった。
※日本人はインド人=黒いとか、中東だかなんだかさっぱりわからないという感じ。
「なぜアラブ人とインド人は見分けがつかないのですか?また、どちらが優秀ですか?【海外の反応】」
また貧富の差も激しく、ITで大成功しているグルガオンのショッピングモールでご飯を食べているスーツをきた身長の高いエリートから、その同じ場所の工事現場でせっせと働く工事現場のお兄ちゃんまで、発展しているインドは人種だけでなく、色々な違いを見せられて非常に勉強になる。
さてこの記事では前々からよく言われているインドに存在する北部と南部の対立。つまり言語系統も違えば人種も違う。これらを簡単にイメージできるように軽く記事にまとめることにした。
もともと2017年8月に投稿した記事だが、あの頃はまだインドに行ったこともなかった時期であり、それを今現在よりわかりやすくまとめたところである。
①インドに存在する白人型、と黒人型
今の時代に白人型だとか黒人型だとか決めるのは非常におかしな話なのだけど、インパクトのある文章にするならこの呼び方になる。現に英語圏でもインド人がそのように言っていることもあるくらい。
さて上記に貼り付けたような動画は一時期非常に量産され、今ではYouTube動画で南北の外見の違いについて語るのも普通のことになってしまった。
日本で大陸や半島から渡ってきたと言われている弥生人と日本にもっと先に住んでいた縄文人の違いくらいか?とも思えなくもない。
インドの状況を簡単に説明するとすれば、
白人型=イラン・パキスタンからのほうからやってきたインド・ヨーロッパ語族の言語を話す人たち
黒人型=インドに古来から住んでいた原住民タイプのドラヴィダ語族の言語を話す人たち
語順は英語などよりも日本語に近い部分もあるが、ヒンディー語は英語やフランス語、ロシア語とインド・ヨーロッパ語族であり、ヒンディー語の単語には英語と似たものも多い。むしろ、英語やロシア語のほうがサンスクリット語語源の単語をかなり使っていて、love(愛)なんかは、まさにサンスクリット語からきてるのである。
ちなみに上の写真を見ると、左側はイタリアとかアラブにもいそうな白人型で、右がよく外国人を知らない日本人からしたら、黒人とも取れるしフィリピン人とも取れる。
※フィリピンも非常に多様で、北部南部で宗教も違えば肌の色もかなりのばらつきがある。
②ドラヴィダ人とは?代表言語はタミル語。南部ではヒンディー語が通じない?
日本の工場が多く昔から日本企業のインド拠点とも言われるインドのチェンナイ。このタミル・ナドゥ州の公用語がタミル語である。日本語との類似性や、今やそれよりも多く韓国やインドにおいて、韓国語ととタミル語の言語的、文化的な類似性が話題になっている。つまりタミル語を話すものは、インド・ヨーロッパ語族の北インド人よりも、ある意味北東アジアに目を向けているのかもしれない。
タミル語が、マレーシア、シンガポール、スリランカの一部で公用語となっていることからもわかるように、彼らは北部インド人よりもアジア太平洋に目を向けている事がわかると思う。
またインドとマレーシアの間に浮かぶアンダマン諸島。ここもインド領なのだけど、ここで話されているアンダマン語は、どこの言語系統にも属さない独立した言語だが、タミル人などになんとなく顔立ちは近く、非常に浅黒く堀が深くない。
日本人は唯一、彼らのハプログループを受け継いでいるとも言われ興味深いところである。
「日本人は黒人?日本人と同じ【ハプログループ D】を持つ、チベット人と、アンダマン諸島のオンガン人(ジャラワ族、オンゲ族)」
また、よく話題になるのはこのドラヴィダ人が多い南部ではヒンディー語の軽視があり、つまり自分たちの言語と英語だけで十分という考えの人が多いということだ。ドラヴィダ系の言語を話す人たちは自分たちが本当のインド人であり、北部からきたヒンディー語に抵抗があり、そのためにインドでは英語という民族をまとめる言語が一番統一言語に相応しいという空気感がある。
インドの人口は14億人。そして私が以下のようにざっくり数えただけでも、
マラヤーラム語(3483万人)
カンナダ語(4370万人)
タミル語(6902万人)
テルグ語(8112万人)
2.3億人くらいはドラヴィタ系の言語を話す人たちがいる。
アセアン最大の人口を抱えるインドネシアと同じくらいなのである。つまり中国のようにシナ・チベット語族を話す人口が95%以上なのに対して、インドはそもそも一つの国に違う系統の言語を話す人たちが同居していることになる。しかもその割合も人口規模も桁違い。
これはインドを見る上で一つの参考になるかもしれない。ちなみに以下はタミル語の関連記事。
③インド人が、イラン人に憧れる理由は言語と関係?
で話しはインド北部の人種に戻って、インド北部のアーリヤ系の間では自分たちよりも白人要素の強いイラン人、つまりペルシア語を話す人たちに親近感を抱くことが多い。というのも現在のインドが確立する前まで、インドは何度か支配されるような歴史を繰り返していて、イギリスの植民地時代、そしてムガル帝国というインド全域を統一するような時代があった。
それもあり今のような大きい統一したインドが存在するのだけど、特にムガル帝国の時代、上層部はペルシア語を話すという時代だったので、その時の名残もありペルシア語は上品な言語というイメージがついている。
もちろん長いイギリス統治の名残もあり今やインドでまともな英語を話す人たちは教育レベルが高い上の人!というイメージもある。
「2050年には1億人増も、ヒンディー語がインドで軽視されている理由」
またヒンディー語はペルシア語から多くの語彙を借用している上、この二つの言語は言語系統的に、インド・ヨーロッパ語族のインド・イラン語派と、同じグループにある。お互いに通じるわけではないが、学習すればすぐに習得できる近さである。
さて現在のボリウッドをみて違和感を抱く人は多いのではないだろうか。特にインドに行ったことのある人は、ボリウッドスターにいるような肌が白くて、大袈裟に言えばハリウッドスターよりもスタイルのよい女性がインドのそこらじゅうに歩いているわけではないが、やはりスターになる条件としていかにイラン系の近い、つまり白人要素が強いかではないか?と思う。
実際にどの国でもそうだが、インドでも肌を白くするようなコスメや、宣伝の女性に必要以上に白い人を起用することも珍しくない。
またイランやパキスタンでもボリウッドスターは人気。やはり自分たちに少し近い感じがあるからだろう。→インド系の動画のコメントにはイラン人からのコメントも珍しくない。
ちなみにイランと言っても、イランを中心とするペルシア語を話す国は、イランも含め、アフガニスタン、タジキスタンなどもあり、ウズベキスタン南部でも多くの人がペルシア語を話す。
つまりアフガニスタンで話されているダリー語なんかもペルシア語の一種なので、この記事を読みながら、いかにアフガニスタン人には青い目の人がいると言われる理由もここで少しわかってくるかもしれない。
「なぜ「アフガニスタン人」や「イラン人」「クルド人」の瞳の色はブルーやグリーンなのか?【海外の反応】」
④インド北部と南部の外見や、気質の違い
全体的に北部は背が高く肌が明るめ。南部は背が小さく、肌が暗め。また北部ではナンを食べ、南部では米と辛いもの。
南部では北部に比べ唾を吐いたり、ポイ捨てしたりすることには不寛容。つまり南部の方が衛生的な意識が強い。
南部では男性がDhoti(ドウティ)、女性がサリーを着用する事が多く、北部ではサルワール・カミーズ着た男性と女性、チュリダールを着た女性が多い。
カタックのような北部のダンスはイスラム時代の影響を受けているが、南部には独自のダンスが残っている。
などざっくりだが、インド北部と南部は、インド人の間でもまったく別物扱いという感じになっている。
⑤最後に
インドをまず知る上でよく話題になる南北のことをざっくり書いていったが、これを機にインドにさらに興味を持ってほしいと思う。