最近、異常なほどに人の目を見ながら話すことが叫ばれている気がする。ネットの情報を見ていても、いかに欧米人、特にアメリカ人がアイコンタクトを重視しているかを挙げ、あたかも日本人も、そうあるべきだ。というような論調が多い気がする。
けれどもよく海外に行き、多言語でコミュニケーションをとる私にとって、本当に日本は相手の目を見ることを良しとしている国なのか。またはそれが必要なのか。ということはずっと疑問に思っていた。
例えば相手の目をみて話なさい。とか聞きなさい。と言われる場合って、たいてい子供が親に怒られているときや、ものすごく真剣な話をしている場合に限られると思うのからだ。
けれども、私は英語を話すときは、日本語と話すときと違って相手の顔をもっと見る気がする。これは一体何なのだ。というのは、以下に書いたことがあった。
「複数言語を勉強して気づいた、目を見つめない日本人と、目を見つめる外国人の違い」
上の記事はおよそ3年前に書いたもので、記事に対するコメントもかなり多く、アイコンタクトにおける一般の日本人の意見も読むことができる。
そのコメントの多くは、小さいとき、相手の目を見て話しなさいって親に言われたよね?というものだった。
で、多くの日本人が、ただその言葉だけを信じ、相手の目を見て話すことが重要である。と思い込んでしまっている。
けれども、本当にそうなのか?ということを知るために、この記事を書いた。というのも、私は他の欧米国家に比べ、日本ではアイコンタクトはあまり良いこととされていないと思っているからだ。
また、日本語圏でこの手の情報を調べても、せいぜい以下のような薄っぺらい記事しかでてこなかったので、より一層書きたくなった。
アイコンタクトが苦手な日本人(サイエンスポータル)→苦手じゃなくて、歴史的・文化的な背景があると私は確信している。
おそらく日本で日本語だけしか話していない生活をしていれば、こういうことには気づかないだろう。フランス語やスペイン語を話すときは手が動き出すというように、話す言語によって人格までも変わる気がするということは、私自身が体験してきた。
さて、この記事では、なかなか意識しない、アイコンタクトが無礼になり得る国と、推奨・歓迎される国を見ていきたいと思う。
これは、最近できた国、たとえばオーストラリアなどでは、そこにもともと住んでいた原住民と、後からやってきたヨーロッパ人とは、このアイコンタクトに対して考え方が違うということもあり、非常に面白い。
以下のランキングは、ある英語圏のサイトを参考にさせていだいた。最後のほうにURLを掲載しておく。
20位 中国(歓迎されない)
中国でアイコンタクトをすることは、友好さを演出するというよりは、むしろ敵を作る簡単な方法のひとつである。
中国人も、もちろんアイコンタクトが重要なツールだと思っているが、それは他の文化圏が考える重要さとはまた少し違っている。
中国でアイコンタクトが重要視されるのは、ブチギレたときや、何か不満を訴えたいときである。つまり中国でアイコンタクトは、挑戦的、無礼的な意味を暗示することが多い。
中国人が相手の目を凝視するときは、不満があって、防衛的になっている、自己防衛をする場合の時が多い。たとえば、上司と部下との関係でよくあることだ。
また中国では地位の高い人が相手の目を凝視するのは一般的だけれども、その逆はほとんどあり得ない。
もしあなたが旅行中に中国人に凝視された場合、それは謝らなければならない時かもしれない。
以下、私も調べてみた。
中国に15回以上、滞在、旅行、仕事で行ってきた私は、このことについて気づいていなかった。特に中国では日本語や英語ばかり使っていたのと、アプリで中国人男性と会うことが多かったため、私の場合は、お互いに目を見ながら話すことのほうが多かったからだ。
なので、この結果は少し意外だった。
韓国でも同じだけれども、私は中韓では外国人であり、相手も私を外国人として扱うので、お互いが対等になるため、アイコンタクトをお互いにするのに抵抗がないのかもしれない。
19位 日本(歓迎されない)
日本では、他人に対してアイコンタクトをしないことは失礼とされている。また会話中に、会話している相手以外の人にアイコンタクトをすることも失礼とされている。
日本では幼児期、大人から、相手と話をするときは相手の首元を見るように。と教わる。これは相手のことを凝視したりすることを和らげる効果があり、相手のことを見ているということにもなり、また相手を直接見つめるという行為も避けることができるので、良しとされている。
その代わりとして日本人は、人の話を聞いているときに、軽く頷くという動作を何度も繰り返したり、息を軽く吸って、スーとか、シーとか音を立てることで、表現しようとする傾向もある。
日本では、思ったことは胸に秘めておくということが良しとされており、たとえ他人であっても、見知らぬ人を凝視したりすると、変人扱いされる。
もしあなたがこの美しい日本にくる機会があるのであれば、他人のことばかり考えないで、自分のことだけを考えるようにしておけば、すべてはうまくいくだろう。
18位 イラン(時々、歓迎される)
イランでは遠回しなコミュニケーション法が好まれる傾向がある。その理由は遠回しに言うことで、相手に攻撃的だと思われないようにするためである。そのことにより聞き手は、あなたを肯定的に受け止めるだろう。
相手が家族、親しい間柄であればアイコンタクトは好まれる。けれども異性に対してアイコンタクトをすることは適切ではない。異性間で会話をする際は、お互いに目線を下に置くことが普通とされている。
同様に若い人たちが年長者に対してアイコンタクトをすることも普通の場合あり得ないとされている。
ちなみに、アラブとは違い、イランやアフガニスタンは、グリーンやブルーの瞳の人も多いと言われている。
「なぜ「アフガニスタン人」や「イラン人」の瞳の色はブルーやグリーンなのか?【海外の反応】」
17位 ベトナム(歓迎されない)
ベトナムではアイコンタクトは異性に関心があることを示す場合が多い。
誰かに間違ってるよ!と指摘する場合を除いて、異性の人たちの目を見るときは特に注意が必要。同性の話し相手がもしアイコンタクトをしてきた場合、それは普通の会話よりも議論をしたい場合が多い。
なので、旅行者はベトナムでは、通常アイコンタクトを避けるようにするのが無難である。
16位 カンボジア(歓迎されない)
カンボジアでは会話中にアイコンタクトをすることは一般的ではない。カンボジアでは、コミュニケーションは非常にソフトで、また間接的。同じようにアイコンタクトもあまりしないのが特徴。
女性は男性と話をするときに、下を向いたほうが良いという。他のアジアの国と同様、相手の目を凝視しないことが相手への敬意を払うことに繋がっているようだ。
15位 インドネシア(歓迎されない)
インドネシアで、アイコンタクトが行われるときのほとんどは会話中である。ただし、多くのほかの国と同様、インドネシアでも、年配者や社会的地位の高い人に対して視線を合わせると失礼にあたることがある。これは旅行者としてインドネシアを訪れるものにとっては、ちょっと厄介である。
もしアイコンタクトが適切ではないか確信していないのであれば、相手にしていいのか?と聞くのも手である。
というのも、通常インドネシア人は会話中に西洋人がするようなアイコンタクトを不快に感じることが多いが、インドネシアには外国人も多いため、慣れている人も多いからだ。
14位 ケニア(時々、歓迎される)
ケニアは多民族国家だ。そのため、ケニア文化といっても幅が広い。そのことを考慮した場合、文化の幅が広い分、アイコンタクトが敬遠されることも、歓迎されることもある。
地域、またその地域での社会規範によって、アイコンタクトが歓迎されるか?というのは変わってくる。
ナイロビのような都市部では、会話中にアイコンタクトをすることは良いとされている。また都市部以外では、年長者や社会的地位の高い人に対して以外はアイコンタクトをしても問題はない。
けれども一つ気を付けなければならないのは、田舎のある地区では会話中に全くアイコンタクトをしてはいけないようなエリアもあることだ。なので、ケニアに行くのであれば、実際にその人たちがどのような行動を取っているのかを注意深く観察するといいだろう。
13位 香港(歓迎されない)
香港では初対面で挨拶するときは、相手とアイコンタクトしないのが好ましいとされている。握手する際には、相手の目を見るよりも目線を下に置くほうが好まれる。
12位 韓国(歓迎されない)
韓国ではアイコンタクトが推奨される場合とそうではない場合がある。これは旅行者にとっては厄介であるかもしれない。
韓国では年齢での序列があり、自分より年下の場合は、相手の目を凝視しながら話しても大丈夫である。
一方、相手が社会的に地位が高かったりした場合、相手の目を見つめることは無礼とされる。なので、韓国ではアイコンタクトをしないことが、相手が自分より上と示すことになり得る。
けれども、親しい友達同士では、同性同士でも手を繋いだり肩を組むという不思議な国が韓国でもある。( ´艸`)
11位 タイ(歓迎されるが、し過ぎは注意)
タイは微笑の国ともいわれている。言葉を介さなくても、笑顔だけでコミュニケーションがとれるというわけだ。タイの地方では外から来たものを温かく受け入れ、フレンドリーに接してくれる人が多い。
タイでは人の話を聞いているときに相手の目を見ることは問題ない。これによって話をきちんと聞いているということを示すことができる。
けれども、タイではアイコンタクトをしたときは、何度も視線をずらし、またアイコンタクトをするということを繰り返すほうが好ましい。それによってソフトな印象を与えることができる。
そうでなければ、話し相手は強烈なアイコンタクトによってあなたを歓迎しないだろう。
10位 アメリカ(歓迎される)
アメリカにおいて、アイコンタクトは、きちんと会話に集中しているということを伝えることができるので非常に重要である。けれども、注意しなければならないのは、自己紹介やスピーチの最初のパートでアイコンタクトをすることは重要だけれども、何度もしつこくアイコンタクトをすることは、間違った印象を与えることがある。
なので、凝視するというようなことだけは避けよう。上の動画は、ビル・ゲイツの妻、メリンダ・ゲイツである。
彼女は話している間、ずっとアイコンタクトを取ろうとはせず、下を向いたり、たまにアイコンタクトをしたりなど、大変賢い動作で話している気がする。
で、アメリカでは最近、日本人が学ぼうとしていることを否定する動きもある。たとえば、アメリカ人は日本人の内向的なイメージと違い、主張ばかりするイメージがあるが、こういう点が最近見直されてきており、必ずしも社交的になる必要はない、内向的でもいいじゃないか。という動きや、
以下のフォーブスの記事のように、西洋で重要視されているアイコンタクトが必ずしも素晴らしいとは限らない。という論調も出てきている。
Low Eye Contact Is Not Just An Autism Thing (Forbes)
上の記事を一部訳すとこんな感じである。
西洋でアイコンタクトは、相手の話をきちんと聞いている、興味を持っているという意味にとられるが、西洋以外の国、たとえばヒスパニック、アジア人、中東、ネイティブアメリカンでは、アイコンタクトが無礼にあたる場合がある。またこれらの国において、アイコンタクトをしないことが、必ずしも相手の話を聞いていないという風にはならない場合が多い。特に女性は、誘っているように思われるのを避けるために男性とのアイコンタクトを避ける傾向がある。
つまり、今まで西洋のやり方だけを押し付けられてきただけであり、アジアが発展した今、アメリカがアジアのやり方などにも注目するようになったのではないか。とも思える。
一方、日本ではアイコンタクトについて歴史的な部分も調べずに、なんでもアメリカのように人の目を見て話すべきだと主張するものが多い。
これは現代のアメリカ社会では上下関係がないことや、移民国家であるがゆえに、さまざまな人種、宗教が混在している社会だからではないだろうか。
逆に会社では上司、先輩などが上という強い観念が日本にはある。役所によっても役所で働いている人が偉いと思っている人は客に対してずっと見つめてくるし、そういう高圧的にみられたくないと思う人は、敢えてお客の顔をじっと見たりしないのが日本。
またアメリカにもともと住んでいたインディアン(ネイティブアメリカン)も、アイコンタクトに関してはほぼ日本人と同じであることも分かった。
これは非常に興味深い。
Do Indians usually not maintain eye contact while interacting? If so, why? (Quora)
数年前まで、日本人が自信がないからアイコンタクトができないと思い込んでいた私は完全に間違っていたことがこれでわかった。
9位 イギリス(歓迎される)
イギリスでは目線を逸らすことは悪くないとされているものの、多くの人たちが会話中にアイコンタクトをしている。また歓迎されている。
特に権威のあるものと話すときは、アジア人と違い、目上のものであってもしっかりと目線を外さずに話すことが重要だ。というのも、イギリスでは目線を外して話すと、嘘をついているのではないか?と思われるからである。
アイコンタクトを避けることで、信用されにくくなる。
8位 オーストラリア(歓迎されるが、し過ぎは注意)
オーストラリアにおいて会話中にアイコンタクトをすることは、信用、誠実などを伝達するに効果的である。けれどもし過ぎには注意が必要。バランスというものがある。
オーストラリアでは凝視しすぎると、挑発的に思われてしまう可能性があるためだ。
またオーストラリアの先住民であるアボリジニと話すときは、会話中に相手にアイコンタクトをすることは無礼であるとされているので注意が必要。
7位 ギリシャ(歓迎される)
ギリシャは他の西洋国家と同様に、アイコンタクトが相手への注意、誠実さ、正直さを表すのに効果的だ。また、それに反して目線をそらすことは、相手に不信感を抱かされることにも繋がるので注意が必要である。
ギリシャ人は非常にオープンに話す人たちであり、声がデカい。また非常に強く感情的に話すという特徴もある。
なのでアイコンタクトは非常に歓迎されるだろう。
6位 フランス(歓迎される)
フランスでは、会話中にアイコンタクトをし続けるということは相手へ敬を払っていることになる。これはある意味、相手への信頼を勝ち取る投資とも言え、ディスカッション中に目を見つめながらしっかり聴くことによって、相手もあなたの話にきちんと耳を傾けてくれるだろう。
また、会話中に視線を逸らしたり、他の場所をキョロキョロ見たりすると、相手に対してとても無礼なので避けよう。なのでフランスでもし会話中に相手から凝視されたとしても、私は聞いていますよ。という合図として、逸らさずにしっかりと彼らの目線を満たすことが必要である。
この動画では、カナダ人(フランス語も公用語)のセリーヌディオンのインタビュー動画である。身振り手振り、顔の表情など日本にはない感じの話し方をするのが印象的である。
私はこういうフランス人の感覚が好き。
5位 フィジー(歓迎される)
フィジーでは会話中、しっかりと相手とアイコンタクトすることが重視される。このリストにある他の国とは違い、視線を逸らす必要はない。ずっと見ていても、嫌な顔はされない。
その理由は、フィジー人が話す(フィジー語、ヒンディー語かは不明)とき、とてもソフトに話すからである。話し言葉がソフトな分、相手ときちんと目線を合せることが重要とされている。なので会話中、必ず相手の目を見て、目をさらさないようにしよう。
4位 スペイン(歓迎される)
たいていの場合、スペインではアイコンタクトが望まれる。会話中、相手から凝視されても、同じように凝視して話すことがコミュニケーションスキルが高い人とされている。
けれどもこのルールは相手が異性であった場合、少し違う意味になる。
もしあなたが女性であれば、男性から見つめられた場合、同じように男性を見つめ返すと、軽い女、簡単にヤレる女だと勘違いされる場合がある。けれども、男性が女性からの視線を返しても、同じようには思われない。
もしあなたが男性なら、女性から見つめられた場合、同じように女性を見つめることが無難とされている。また、これは必ずしもその男性がその女性に対して、ロマンチックな関係を求めているとは限らない。
いずれにしても、スペインでアイコンタクトは重視されていることは忘れないでおこう。
3位 カナダ(歓迎されるが、し過ぎは注意)
カナダでは初対面の際、アイコンタクトをしたほうが良いとされている。これは初対面の人や、知人・友人などと会うときの最初の瞬間も同じことが言える。
また基本的にはアイコンタクトは会話中にもすると良いとされるが、し過ぎには注意。少し休憩は必要である。言うまでもなく、凝視するようなことは避けよう。
カナダでは会話中にうっかり強烈に凝視してしまうと、脅威や挑戦(反抗)のような意味で捉われることがあるからだ。
なので最善の策は、初対面の時、また友達と会う最初の瞬間だけきちんと相手の目を見る。その後、会話するときにはアイコンタクトと目を避けるという動作を繰り返しバランスよくすることで、相手は嫌な気持ちにはならないだろう。
2位 サウジアラビア(時々歓迎される)
archive.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=119880
サウジアラビアでは、誰と話すかによってアイコンタクトをする頻度も変わってくる国である。同性同士であれば、アイコンタクトをすることによって相手の話に興味があるとか、相手に敬意を表しているという意味になる。
もし同性同士の会話においてアイコンタクトをしていなければ、あまり話の内容に興味がないか、あまりその会話には関わりたくないという意味に取られる。
けれども、これが異性同士の会話だと全く意味が違ってくる。異性と話す場合、アイコンタクトは避けなければならない。
つまり異性間の会話では、相手と目線を合せないように、目線を下に置くことが最善策と言えるだろう。
ちなみに、サウジアラビアでは男性同士が手を繋いだりすることもある…。
1位 ニュージーランド(歓迎される)
他の西洋国家と同じようにニュージーランドでもアイコンタクトをすることは相手へ敬意を払うことになる。
けれども、オーストラリアと同様に、ニュージーランドの先住民であるマオリ族の場合は異なる。マオリ族の場合、アイコンタクトは相手に不快感を与える。
けれども、マオリ族の中でも、アイコンタクトを好むものと好まないものに分かれるので、相手が目を逸らしてきたらこちら側も逸らすようにしておこう。そして相手が凝視してきたら、こちら側もすればいい。
けれども、どんな場合でも、ずっと凝視し続けるのはよくなく、ほどよく休憩を入れるのが好ましい。
というのも長い凝視は、相手に挑戦しているかのように見えることが多いからだ。
以下、ランキング外にあった国を調査
ロシア
ロシアの場合、他の西洋国家に比べ、アイコンタクトは少ないと感じている人が多いようだ。
Reference Site
https://www.thetravel.com/10-places-where-eye-contact-is-not-recommended-10-places-where-the-locals-are-friendly/
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