2020年4月開始の新学習指導要領で日本で小学校におけるプログラミング教育が必修化されます。実はイギリスでは一足先にこうした教育カリキュラムが導入されており、実際の取り組みとその改善をすでに経験しています。
この記事ではイギリス王室所縁の教育という観点から、その現状についてお伝えします。
英国王室のチャールズ皇太子、ヘンリー王子、ウィリアム王子が通った名門パブリックスクールと言えばイートン・カレッジが有名です。これは全寮制の学校で、特徴的な燕尾服の制服を着た品行方正な男子学生は「リトル・ジェントルマン」と言われるほど。
昔から王室と強いつながりのあるイートン校ですが、日本皇室ともつながりがあることで知られています。2018年夏には天皇陛下の長女愛子様がイートン・カレッジのサマースクールへご留学されたことも記憶に新しいかと思います。
The Royal Society(王立協会)を耳にされたことがある方はどのくらいいるでしょうか。実はこれはイギリスに現存する最も古い科学学会のことで、1660年に国王チャールズ2世の勅令で設立された王室に所縁の深いものです。現在イートン・カレッジではこの科学学会によるある提言に基づいてテクノロジー教育を行っています。
かつてイギリスのナショナルカリキュラムにICT(Information and Communications Technology)と呼ばれるものがありコンピューターの扱い方、リテラシー向上に関する基本的な学習がなされていました。
しかしながら、2012年王立協会の提言によりICTから
“Computing” として再定義されることになりました。
“Computing” として再定義されることになりました。
これは、従来のICTカリキュラムが単なるスキル学習にとどまってしまっていることへ警鐘を鳴らした結果であり、新カリキュラムにおいては、
①デジタルな手段を使いこなすこと
②情報技術
③コンピューターサイエンス
という3分野に細分化して、プログラミングや情報技術に関する根底の考え方を学習できるような修正が加えられました。
①デジタルな手段を使いこなすこと
②情報技術
③コンピューターサイエンス
という3分野に細分化して、プログラミングや情報技術に関する根底の考え方を学習できるような修正が加えられました。
この改革で重視されたのは、Computingを通して本質的な学びを得ること、そして仲間との学習のなかで試行錯誤と挑戦、協働することと言われています。
もともとイートン・カレッジでは学習能力だけではなく、芸術、運動能力、人材育成にも注力しています。最も重要なミッションである「良識と品格を備えた市民」になるべく本質的な学びを重視した教育に力を注いでいることもあり、近年のテクノロジー教育においてもこの王立協会の再定義に基づいて行われているのです。
イートン・カレッジの元校長であるTonny Little氏によると、机上の学習だけに特化するのではなくさまざまな経験を通した「全人教育」には強い影響を与え合う仲間は不可欠であり、その仲間こそが、互いに最善の成長をもたらすと述べています。
この王立協会の提言は、イギリス全土の教育機関で取り入れられており、王室所縁の伝統教育の考え方が、次の時代を担うイギリスの子どもたちへのテクノロジー教育という観点でも広く影響を与えているといえます。
今後日本でも大きな転換期を迎えるテクノロジー教育ですが、導入先進国の経験からヒントを得ながら、いかに現実的かつ有用な取り組みにするかが真に問われていると言えます。
※プログラミング教育の一環として注目を集めているRaspberry
Piからプラグ類まで購入はオンラインが便利です。子どもたちのテクノロジー教育にご関心のある方は是非ご参考にされてください。
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