若い世代を中心に東南アジアブームが起きている中、同じアジアなのに日本人にとっては馴染みのない中央アジア。最近書いた以下の記事のように、物価が安くて日本人が進出(長期滞在や留学)できる国はまだまだある。そのうちの一つが、私が目をつけている中央アジアである。
「バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)の言語・経済・文化・物価・金髪率・身長などを比較 TOP10」
普通の人にとっては決して行くことのないような場所。といのも、そもそも情報や話題性が少ないからだろう。でも、これから紹介する中央アジアは、人種が日本人に似ており、しかも、自然豊かで中華圏でもなく、かといってロシアでもない不思議な場所である。
また、最近はカザフスタンでロシア語のキリル文字の使用をやめる動きが出ていたり、キルギスでは、MADE IN キルギスを世界にブランディング化するために、今後キルギスで生産するものをすべて、オーガニックにするなどの構想もあったりするなど、新しい挑戦も目立つ。
この記事ではこれらの国の今後のトレンドや、言語・経済・文化・物価・人種などを比較してまとめていきたい。
中央アジアを知る良いきっかけになってくれたらと思う。まずは一番興味深い人種から見ていこう。
①中央アジアに住む人種の多様さ
https://hiveminer.com/Tags/face%2Ckyrgyzstan
中央アジア=なんだかよくわからない人たちが住んでいるというのが日本人が漠然と思うことかもしれない。なのでその人種の中身を詳しく書いていきたいと思う。
日本人が中央アジアに関心を示すものの中でも外せないのがキルギス人の外見だろう。
中央アジアで、日本人と同じような外見の人に出会いたい。のであれば、各国の人種構成を見ていく必要がある。
以下でも紹介したのだが、キルギス人は日本人の濃い系だけどアッサリ系の人によく似ている。
「中央アジア(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン)の美女・イケメン TOP25」
キルギスは他の中央アジアの国々と違い、その多くがキルギス人を占めている。またキルギスに住み着いているウズベキスタン人は危ないと言われ、日本人旅行者がキルギスに滞在すると、キルギス人に必ず、ウズベキスタン人は気をつけろよ。と言われるのだとか。
次にカザフスタンの人種構成を見ていこう。
カザフスタンにはカザフという民族が住んでおり、1221万人もいるようだ。カザフ人の顔立ちは、ロシア人(白人の中でも薄い顔)と、韓国や日本の中間顔と言われている。
が、下の写真が、カザフスタンの他民族を全部ミックスさせた顔の可能性もあるので、上の写真が必ずしも多数派のカザフの顔を指しているとは言えないかもしれない。
カザフスタン人は、西洋では韓国人に似ていると言われることがあるが、カザフスタン人からすると、全然似ていないし、東アジアよりも中東の文化の影響をより受けていると反論している。
Why do people from Kazakhstan/Kyrgyzstan look Korean?
それにしても、現在のカザフスタンには中国人が180万人もいる。人口2000万人ほどの国に、日本にいる中国人の二倍ほどもいるのだから、それは相当中国人の影響力が大きいことだろう。(私が住んでいたインドネシアのようにね…)
「ヒエラルキーの頂点?差別され、虐殺され、インドネシアで怯えながら暮らす華人・華僑「中華系インドネシア人」に関する疑問 TOP10」
次に人口の一番多いウズベキスタンの人種構成を見ていこう。
ウズベキスタン。さすが中央アジア一の人口を擁する国である。けれども、日本人があまり馴染みのない、または危ないと思っている人種が結構多いのがウズベキスタン。
www.forumbiodiversity.com/printthread.php?t=37818&pp=40
特にウズベキスタンはアフガニスタンと国境を接しているのと、政情が不安定なアフガニスタンから多くの人口が流入しているようにも見える。またロシア人の数…。多すぎ。
つまり、本当の意味でウズベキスタンは中央アジアの中心なのだろう。
また、ウズベキスタン人はカザフスタン人よりも白人っぽい顔をしているのが、この比較写真からもわかる。
次に、あまり馴染みのないタジキスタンの人種構成を見ていこう。
タジキスタンの特徴は、アフガニスタンと国境を接していることもあってか、多くのアフガニスタン人がタジキスタンに流入してしまったことだろうか。
最後に、トルクメニスタンの人種構成を見ていこう。
トルクメニスタンはイラン北部と繋がっているので、イラン人が多い。もうここまでくると、完全に中東と白人の中間っぽい人種になってくる。( ゚Д゚)//
②中央アジア5か国の人口と面積
UNESCOが定義する中央アジアは、薄い黄色の部分であり、中国人民共和国に組み込まれた新疆ウイグル自治区やチベット自治区も含んでいるが、この記事では、インド北部、パキスタン北部、アフガニスタン、イラン北部、中国の2自治区を含まず、薄い黄色以外の5ヶ国だけにする。
2019年時点の人口は、ウズベキスタン(3276万人)、カザフスタン(1844万人)、タジキスタン(927万人)、キルギス(638万人)、トルクメニスタン(566万人)となっている。
密かに構想されている「中央アジア連合」のメンバーもこの5ヶ国である。
で、これらの国々で突出して人口が多いのは、ウズベキスタンである。けれども、中央アジアの中心国はカザフスタンと言われていている。それは、中央アジアの中で一番面積が広く、また人口も多く、1人当たりのGDPが一番高いからだろう。
もっとわかりやすい地図を出してみた。緑色のカザフスタンが一番面積が広く、ウズベキスタンは人口が多く、タシュケントという大都市も持っているが、カスピ海には面していない。ということもこの地図から分かる。
カザフスタンはいいとこどり…。この地図には薄オレンジ色のアフガニスタンがあるが、アフガニスタンはこの記事では話題にしない。(青い目の話題は以下の記事を参照してね)
「なぜ「アフガニスタン人」や「イラン人」「クルド人」の瞳の色はブルーやグリーンなのか?【海外の反応】」
で、中央アジア5ヶ国のうち、カザフスタンVS残り4ヶ国を足しても、カザフスタンの面積には及ばないことがこの地図からも分かる。
とはいえ、中央アジア最大の都市はウズベキスタンのタシュケントで、また人種構成もかなり多いので、タシュケント=中央アジアの東京というふうに考えることもできそう。一方で、ウズベキスタンよりもカザフスタンのほうが1人当たりのGDPが高いということを考えれば、アルマトイが中央アジア経済の中心とという風にも考えることができるかもね。
③中央アジア=日本列島と比較できる理由
上の地図は縮図的に全く同じであり、どれだけ近距離に大都市があるかが分かる。
私が中央アジアに目をつけている理由の一つに、大都市が多いことも挙げられる。例えば、タイのバンコクが飽きたら、クアラルンプールやホーチミンまで行けばいいわけだけれども、中央アジアの場合、陸路ですぐに行ける距離に大都市が3つも集中している。
「タシュケントーアルマトイの距離が、広島ー東京くらいの距離」なので、距離的には本州に大部分が住む日本人にとっては、移動しやすい距離である。
なので、ロシア語圏で長期滞在したいとか、ロシア語を勉強してみたいといった人は中央アジアに滞在することをお勧め。
特に、ビシュケクを拠点にすれば、タシュケントとアルマトイのど真ん中なので、行動しやすいかも( ゚Д゚)
④1人当たりのGDPが一番低いのはどこ?
List of countries by GDP (nominal) per capita
※上のデータは1人当たりのGDPである。
2018年時点でのIMFが発表した数字(ウィキ参照)これを見ると、いかにカザフスタンとトルクメニスタンが裕福で、キルギスとタジキスタン、ウズベキスタンが最貧国なのかが分かる。(トルクメニスタンは、カスピ海からの油田により栄えている)
と、ここで一つ注記がある。ウズベキスタンの1人当たりのGDPだけ数字が疑わしいと思ったので他のソースで調べてみるとやはり違っていた。
確かにIMFの公式ページを見ても、ウズベキスタンの1人当たりのGDPは、2018年の1人当たりのGDPが、73万円となっていたので、上の表は間違っていることになる。
5. Report for Selected Countries and Subjects
つまり中央アジアの中で最貧国は、タジキスタンでその次にキルギスということになる。
⑤高麗人の数が多い
上の表は、ロシア語圏に散らばった高麗人の人口ランキング。そう。中央アジア全体に言えることだけれども、この土地には昔ソビエト連邦から連れてこられた高麗人が多く住んでいる。
「顔は韓国人なのにロシア語しか話せない?ロシアに暮らす【高麗人】の生活と、結婚式に密着!【海外の反応】」
特に人口の多いウズベキスタンにはその分、高麗人も多く、私も韓国にウズベキスタン人だけれども顔は全くの韓国人。といった友達がいる。やはりキルギスだけは高麗人が少ない。キルギスは他の中央アジアの国々と違い、キルギス人が優位な国なのだよね。
ちなみにタシュケントには多くの韓国料理屋さんがあり、そこには高麗人も働いているので、すぐに会うことができる。
「中央アジア最大の都市「タシュケント」で数週間ノマドしてみた件(都市規模、家賃、人種)」
⑥輸入国、輸出国の比較
キルギスの輸出国TOPというのはスイス。なのだが、これは中国の間違いではないか?と思いウィキペディアのソースも確認したが、WTOの公式ページにもスイスと書かれてあったのと、
stat.wto.org/CountryProfile/WSDBCountryPFView.aspx?Country=KG
スイスのニュースでも書かれていた。なんでも、キルギスはゴールドをスイスに輸出しているのだとか。世界中の金がスイスに一旦集まるらしく、そういう意味でこういう数字となっているようだ。
https://24.kg/english/45798_Switzerland__main_export_market_of_Kyrgyzstan_/
輸入に関しては中国とロシアにかなり依存。
で、重要な情報はキルギスの輸出、43%がゴールドであり、ゴールドにかなり依存した経済となっているということだ。
そのゴールドが取れる鉱山の代表的な場所が、クムトール鉱山(イシク湖の南東部にある世界屈指の露天掘り金鉱山→上の写真)であり、以下の鉱山も、重要な鉱山であるようだ。
・Unkurtash mine
・Talas mine
・Makmal gold mine
ウズベキスタンでもスイスの影響力がかなり強い。また中国との関係も強いように思えるが気になるのは輸入において韓国と繋がりが深いという部分。
またウズベキスタンの成長率を見ると、カザフスタンのように一気に下がっていない。というのも意外にも思えるが、ウズベキスタンの輸出に占める最大のものが、綿(コットン)でこれだけで、24.5%を占めること、石油関連はなんと、8.5%と、全体に占める割合が少ないのも特徴。
カザフスタンのように輸出の割合の半分くらいを石油に依存しているのとは大違いなのだ…。
なんとイタリア。という国名がでてきた。こちらも資源関係だろうか。またロシアと国境を接していることもあってか、ロシア製品をかなり輸入しているので、特にスーパーマーケットなどはロシアに近い。
また、留意しておくのは、カザフスタンの輸入の63%が石油関連である。つまりこの国は資源なしではヤバイ国という見方もできる…。
石油が取れる代表的な場所は二つ。
どちらもカスピ海北部にある。ちなみにカザフスタン人に、カザフって海がないよね。と言うと怒られるので注意。彼らはカスピ海で魚を釣っているので普通に海がある国だよ…( ゚Д゚)
トルクメニスタンは、中国に完全に依存した輸出となっている。この70%というのは凄すぎる。中国が石油を受け入れなくなったら終わりやん…。
※しかもトルクメニスタンは輸出の62%が石油関連…。
また、ここでやっと日本がでてきた。ちなみに、トルコからの輸入が多いのは、カスピ海を挟んですぐそこにトルコがあることや、トルコ人=トルクメニスタンからやってきた人たちと言われていることも関係しているのかもしれない。
中央アジアの中で一番目立たないタジキスタンは、中国と国境を接しており、また2000ヘクタールものタジキスタンの農地は、中国企業に租借されているのだとか。
また、タジキスタンは、輸出の55%がアルミニウムだ。その他に、13%が綿。ここでは石油がでないため、1人当たりのGDPは一番低くなっている。
⑦共通語はロシア語だけれども、言語系統は日本語に近い?
上にも書いた通り、中央アジアのルギス以外の国々では、そのほとんどが多民族国家である。またこれらの国々は旧ソビエト連邦から独立した国なので、ロシア語が共通語となっている。大学などでも学術用語などが整備されているロシア語が使われ、日常会話で使える人も多い。
けれども、それぞれの国での公用語は全てチュルク語族のものである。
一つを除いてはね…。
それが、タジク語である。タジキスタンは、アフガニスタン北部に位置する国だが、アフガニスタンのダリー語とともに、インド・ヨーロッパ語族のインド・イラン語派になる。
ちなみに、インド・ヨーロッパ語語族というのは範囲が非常に広く、英語ーペルシア語(イラン)、ヒンディー語、ロシア語など、ヨーロッパの言語のほとんどがここに属している。
「欧州なのに「インド・ヨーロッパ語族」には属さない異端の「ウラル語族」と日本語の関係」
で、中央アジア4か国の言語は、チュルク語族なわけだが、チュルク語族で一番有名な言語は、トルコ語である。
また、チュルク語族の言語や、言語系統が解明できていない朝鮮語、日本語などを全部ひっくるめて、アルタイ語族としてしまうこともある。
上の地図はまさにアルタイ語族の地図。こんなの見せられると、余計に中央アジアとの親近感を感じてしまうわよね…。
ちなみに、中国に組み込まれた新疆ウイグル自治区の人たちが話すウイグル語はまさに、これらの言語と同じテュルク諸語であり、文化的にも地理的にも、漢民族の土地ではないことがわかる。
そのため、トルコは、中国に対してキレることが多々ある。
「新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の件で、トルコ人が中国政府にマジギレしている理由」
⑧中央アジアの人間開発指数ランキング
以下の数字は、2017年のもの。HDI(人間開発指数)とは、平均余命指数・教育指数・成人識字指数・総就学指数・GDP指数などから計算される。
特に、中国の省を知るのに、私はこの数字を結構注意深く見ている。というのも同じ中国でも、生まれ育った環境や教育、家庭の裕福さによって中国人の間でも、まったく人種が違うかのように違ってくることがあるからだ。
「日本は何位?世界の「素養・素質」が高い国家 TOP10 と、中国国内の TOP26(HDI順位、一人当たりのGDP付き)【中国の反応】」
で、中央アジアのHDIを見ていくと、カザフスタン(0.800)>ウズベキスタン(0.710)>トルクメニスタン(0.706)>キルギス(0.672)>タジキスタン(0.650)
となっており、中央アジアの中でも日本人がよく訪れるキルギスはかなり低いことが分かった。
hdr.undp.org/en
⑨物価が安いのはどこ?(家賃相場)
例えば、ビシュケク(キルギス)の中心部では、2.8万円あればこんな部屋に住める。部屋の広さはともかくホテル並みの設備…。
One-room apartment in the center of Bishkek.
どうやらキルギスは長期滞在に向いている気がする…。アルマトイ(カザフスタン)などを調べると、2.8万円でこれだけいい部屋はなかった。5万くらいするだろうね…。
それがタシュケントになると、もっと高くなる…。Airbnb の1ヶ月の平均額をみると、
タシュケント=209,896円
アルマトイ=143,382円
ビシュケク=127,449円
となっていたので、やはりビシュケクが一番安い。平均額が高いのは、外国人が泊る宿の中には、数名で泊るような高い場所も多いからだろう。
で、気づいたけれども、やはり私が2019年3月に住んでいたインドネシア第二の都市スラバヤよりも、キルギスのビシュケクのほうが、宿代は高いことに気づいた…。
ちなみに、
東京=468,704円だということがわかれば、ビシュケクが4分の1なので、どれだけ物価が安い国かが分かるだろう。
やはり私は住むならキルギスのビシュケクがお勧め( ゚Д゚)
⑩日本人がイメージする中央アジアの印象が海外で話題に
グーグル検索などで、「カザフスタン」といれると、そのあとに続く単語候補リスト、つまり、「オートコンプリート」によって、中央アジアを表すと上のような地図になるらしい。
上の地図は、中央アジアに加え中東もあるけれども、この記事では中央アジアのそれぞれの印象だけ紹介しよう。
カザフスタン→ソユーズロケット
キルギス→誘拐婚(アラ・カチュー)
タジキスタン→眉毛のつながった女性
トルクメニスタン→美女
ウズベキスタン→桜(戦後の歴史が深く関係)
となっていた…。( ゚Д゚)