世界には多くの中国人が散らばっている。とはいっても、中国人は昔から色んな国に散らばっているので、現地化(その国の人たちと同化)した人もいれば、かたくなに中国人としてのアイデンティティを守っているものもいる。
そんな中国人の多い国として日本人が一番に思い浮かべる国はどこだろうか。おそらく、シンガポール。だと真っ先に考える人は少ないかもしれない。
実際に、インドネシア、マレーシア、タイなどには中華系の人たちがそれぞれ500万人以上は暮らしているが、シンガポールもまた人口の、73.3%が、中華系シンガポール人であり、現地人でもあるマレー系シンガポール人(13.4%)、また後からやってきたインド系シンガポール人(9.0)よりも、突出して多い。
しかも、シンガポールと言えば、東南アジアの中華圏の中でも、日本人には一番身近な国。東京24区とまで言われるくらい日本人が多く住んでいる。それは2017年時点での日本人長期滞在者数をみても明らかだ。
中華系が25%を占めるマレーシア(時差も中国と同じ)に長期滞在する日本人は2万2718人なのに対して、シンガポールは3万3834人であり、これは人口密度的に言っても多すぎる。とはいえ、そんなシンガポール人を、日本人はどれだけ理解しようとしているだろうか。
実際、中国大陸でも、マレーシア・インドネシアでも生活したことのある私は、これら世界に散らばる中華系は、外見は全く同じ中国人で、しかも中には中国語が話せる人もいるのに、大陸にいる中国人と何か違うものを感じると、常に興味津々だった。
それはいわば、日本列島に住む日本人と、南米に200万人以上住んでいる日系人くらいの違いがあるかもしれない。
また面白いのは、インドネシアに住む中華系インドネシア人の影響力は凄まじく、インドネシアではヒエラルキーの頂点に立つであろう日本人(冗談じゃなくw)の私でさえも、そのインパクトの強い中華系インドネシア人には圧倒されてしまった。
「ヒエラルキーの頂点?差別され、虐殺され、インドネシアで怯えながら暮らす華人・華僑「中華系インドネシア人」に関する疑問 TOP10」
そして順番的には最後に訪れたシンガポールでみた中華系シンガポール人。これまた、マレーシアの中華系とは違う味を出していた。
さて、もう一度言うが、シンガポールは、まさしく中華圏なのである。なぜなら、シンガポールの人口の73.3%が中華系であり、タイやインドネシアとは違い、わざとなのか、中国の時差に合わせているしね…。
以下でも書いたが、
「1人当たりのGDPは、東京と同格?シンガポールを崇拝する日本人は必見。知ってはいけないトリビア TOP10」
シンガポールを知るには、まさしく中国大陸の中国人とは違う中華系シンガポール人を理解するということでもある。そこで、この記事では、海外のサイトから見つけたシンガポール人と中国人(大陸)との違いを調べ、まとめていきたいと思う。( ゚Д゚)//
これらを理解することで、少しはシンガポール人に対して興味を持てるようになるのではないだろうか?( ゚Д゚)/
①東南アジアに散らばる華人
まず、東南アジアには日本人が想像する以上の中華系が住んでいることを理解してほしい。簡単に書くと、インドネシア(800万人)、タイ(900万人)、マレーシア(600万人)、シンガポール(300万人)、ミャンマー・ベトナム・フィリピン(100万人ほど)
この中には現地化して中国語を話さないものもいれば、自分たちを華人(現地に住む中国系)と自称する人もいれば、華僑(現地の国籍を取っていないが永住権などで長く暮らしている人たち)など、その境遇も様々。
また、彼らは外見的に現地の東南アジア人よりも肌の色が明るいため、女子男子ともに現地人から外見面で、嫉妬されることが多い。
とはいっても、現地の人たちとミックスした中華系と、全くミックスしていない中華系などもいて、外見に関しては結構、色んな人たちがいる。
タイでは中国語が話せなくタイ語しか話せない中華系が多くタイ社会に同化しており、インドネシアでは中国語を話してきたが、戦後インドネシア政府により中国語禁止令が出て、現在はインドネシア語しか話せないものが多い。
また、マレーシアでは多民族国家を歌っているので、中国語が話せ、中華系同士だけでコミュニティを作っている。とはいっても、ご存知の通り、マレーシアでは様々な理由から、マレー系と中華系の衝突が起きることもある。
「日本人が知らない、マレーシアにおける中華系とマレー系の民族対立」
上にも書いた通り、インドネシアの現地人でもあるジャワ人などは、声には出さないが、その多くが富を多く所有している中華系インドネシア人を妬んでいる。
さて、シンガポールではどうだろうか。以下、マレーシアともインドネシアとも違う、部分を書いていきたいと思う。
そこを知る前に、シンガポールに一番最初にたどりついた中国人の歴史をお浚いするね。
②プラナカンになった中国人
シンガポール(マレーシアと同じ国だった)に中国人がやって来るのはいくつかの時期に分けられるが、早くからシンガポールにやってきたグループの中国人は、現地のマレー人などと結婚し、マレー人の文化とともに暮らし、マレー語も習得した。このタイプをプラナカンと言う。
彼らは、中国文化などよりも、当時イギリスの列強下にあったイギリスなどを重視しており、エリート層を形成していた。
これは、マレーシアに移住した華人や、世界に散らばる華人などとは違う。つまり、昔ヨーロッパからアメリカに渡った人たちは、現在自分たちのことをアメリカ人と考えているが、全くそれと同じなのである。(現地に同化したパターン)
けれども中国人の場合、マレーシアでもインドネシアでも、アメリカでも、自分たちのコミュニティを形成し、中国人同士だけで生きていくのでシンガポールのプラナカンの例は非常に珍しいと言える。
「プラナカン、トトック、苦力。東南アジアの華人(華僑)について日本人が知っておくべきこと TOP10」
つまり、現在のシンガポール人(華人)は、中華文化を守りながらも、自分たちは大陸の中国人やほかの華人とは全く違うものだと考えている傾向が強いと言われている。
https://www.quora.com/How-are-mainland-Chinese-different-from-Singaporean-Chinese
③人種混合プログラム
https://tgonline.moe.gov.sg/tgis/normal/index.action
マレーシアではブミプトラ政策により、中華系などは公務員などになれない。なので地下鉄の切符売り場に中華系マレーシア人はいない。
インドネシアでは、幾度となく起きた中国語が禁止され、言語を抹消されたが、最近は中国語教育の復活もあるけれども、中華系インドネシア人は割と同じもの同士で集まって暮らしている場合が多い。(宗教が違うので)
けれどもシンガポールの場合、宗教も人種も違う、中華系・マレー系・インド系を国が建てた公共住宅に抽選で割り当てる方法で、済ませた。これが人種混合プログラムであり、マレーシアやインドネシアのように、人種ごとに別々に暮らすのではなく、一緒に暮らすスタイルに成功している。
つまり、こういう政策もあってか、シンガポールの中華系は、自らを中華の一員と考えつつも、シンガポールの政策に強い誇りを持っており、多民族国家としてのシンガポール人として、ウチらは、インドネシアやマレーシアの華人とも、大陸の中国人とも全く別の人種だと考えている傾向が強いのではないかと思う。
上の写真は、まさにインド系3人に囲まれる中華系男性とマレー系女性で、やはり多民族国家である。(実際はインド人が一番の少数派)
④シンガポール人のブログによる主張
私のような日本人から見れば、中国大陸、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、インドネシアに住むそれぞれの中華民族はDNA的に皆中華系なのだから一緒んじゃないの?と思うところだが、シンガポールの華人は、ウチらと、オメェらは違うんだよぉ~!みたいに思っていることが判明した。
以下のブログによると、
Why being a Singaporean Chinese is different from other Chinese
www.fivestarsandamoon.com/2017/05/why-being-a-singaporean-chinese-is-different-from-other-chinese/
中華系シンガポール人は自らのルーツでもある中国文化を誇りに思っています。 しかし彼らはその「中華系」であることが、マレーシアや、インドネシアにいる中華系や、中国大陸に住む普通の中国人、ましてや香港や台湾などの先進国の中華系とも異なるのだ!と強く意識しています。
つまり、中華系シンガポール人は、中国大陸のみならず、台湾、香港、マレーシア、インドネシア。と、どの中華系とも違うのだと強く意識している。
やはり、それは③でもかいたプラナカン精神が強いからなのかもしれない。
⑤外見の違い(大陸vs中華系シンガ人)
Quoraに寄せられていたコメントによると、上の写真がシンガポール人のイメージに近く、なんでも、シンガポール人=現地の東南アジア人(マレー系など)と中国南部(福建省・広東省)などの混血なのだそう。
で、Quoraのコメントには上の写真が以下の写真と比較されていた。以下の写真は大陸の中国人。
そのコメントによると、中国の中でさえ、北方エリアと南方エリアで平均顔が違うのに、南方の中国人が東南アジア人とミックスするということは、より、中国人の平均と顔が違って見える。とのこと。
ちなみに、中国でも北方と南方ではこれだけの顔の違いがある…。
「中国のモテ顔を、北方系と南方系を代表する女優・モデルで比較!どっちが美しい?」
で、そのコメントによると、シンガポール人は、上の中国人の写真のように、大陸の中国人の外見に少しでも近づきたいのだそう。
マルチンのコメント
私がシンガポールの中心部で人間観察をしていたときは、シンガポール人は特に女性は白い人が多く、男性も北方系の人たちが多いように思えた。けれども、中国人などからみると、シンガポール人は上のようなイメージなのかもしれない。
特に、シンガポール中心部のオフィスには、IT系で働いている真っ白な中華系の女性が目に付く。これは企業が外見で人を選んでいるから?( ゚Д゚)
ますます調査が必要になるかも…w(以下に、その答えになるようなコメントを見つけた)
⑥中華系シンガポール人と、在シンガポール中国人の違い
シンガポールで働く大陸の中国人は、北京周辺からやってきた北方系中国人の場合が多い。なので、背が高く、肌が白く、一重瞼で、骨がガッシリしているイメージがある。
※韓国人のルーツとも言われているエヴェンキ人寄りの外見。
「「エヴェンキ人」と「韓国人」の顔が似すぎている件と、韓国における顔の種類(パターン) TOP5」
一方、それとは反対に中華系シンガポール人は、広東省などの南方から東南アジアに移住した人たち、またはそれらと現地人のハーフなので、同じ中華系でもシンガポールで働く中国人とは区別しやすい。
⑦法へのアプローチと、人に対する態度
以下、Quora で見つけた、中国大陸に暮らしたことのあるシンガポール人によるコメント。
長い間中国に滞在してきた私は、シンガポールの中国人と中国人の中国人との最大の違いは人や、物事に対する態度と法律へのアプローチであると思う。
シンガポールでは、幼いころから常に法律に従うべきだと教えられている。その法律がたとえ愚かであったとしても、法律を作るのが立法府の義務であり、それに従うのが市民としての義務であるので、私たちはとにかくそれに従う。
けれども、中国人は法に対する態度がシンガポールの華人とは全く違う。つまり従わないのだ。中国人は、その国が決めた法律よりも、自らが考える「合理的」というものによって、物事を判断する傾向がある。これはシンガポール人の間でも有名な話だ。
もう一つの大きな違いは、例えば車をどこかに駐車する場合、自分の車が他の車を妨げるようなポジションに置かないように気をつけるシンガポール人(華人)に対して、中国人はそういうことはほとんど気にしない。
つまり中国人は他人が困っていようが関係ないという態度であることが多い。それは、中国人自身が、非常に強い「私、私たち」という考え方を持っているからである。
つまり、あなたが中国人の友人や家族であるならば、彼らは「私たち」と考えてくれるので非常によくしてもらえるだろう。
けれども、あなたが中国人にとっての他人であった場合、あなたは頑固で迷惑な中国人と付き合って行かなければならないことになる。
これはおそらく小国と大国の考え方の違いなのかもしれない。
マルチンのコメント
確かにシンガポールで見てきた中華系は、雰囲気的に大陸の中国人よりも日本人に近いイメージがあった。
⑧英語教育を優先させている点
英語教育を優先させている点で、シンガポール人と中国人(大陸)は全く異なる。というのは明らかなのだけれども、東南アジアに住むそのほかの華人たちもまた英語を優先させていない国が多いので、その点でシンガポール人=そのほかの華人とも違う。に繋がる。
例えば、中華系タイ人はタイ語だけ。中華系マレーシア人は、友達同士では中国語を話し、マレー系とは英語で話すというようなことをしているが、英語が物凄く上手なわけでもない。
中華系インドネシア人はインドネシア語と抹消された中国語の復活に勤しみ、中華系のシンガポール人は、英語をメイン言語としている家庭が多い。
quora のコメントによると以下のようなことも書かれていた。
シンガポール人は中国語よりも英語を優先している。中華系シンガポール人は中国語も話せる人が多いが、大陸の中国人よりも語彙数が少なく、必ずどこかで英語を混ぜてしまう。
What I think about when I think about Singaporean Chinese culture
マルチンのコメント
上のコメントもあながち間違いではないが、シンガポールにも教育をあまり受けていないグループも結構多く、私が食堂などで中華系シンガポール人に英語で話しかけたけれども、理解してもらえず、中国語で話すと、物凄く笑顔で対応してくれた。ということもあった。(もしかしたら、中国大陸からの出稼ぎ労働者?w)
⑨労働者階級からみた視点
中国大陸には様々な境遇のグループがあるのでもちろん労働者階級に高度な教育を受けさせているグループもあり、その境遇は様々だ。
一般的に、彼らはそれぞれ異なる中国語のアクセントを持ち、中国の人口が多いためか、そこで生きていくためのものとして、「押しが強い」傾向もある。
つまり結構強引な人が多い。
けれども、中華系シンガポール人も、大陸の中国人も喋りさえしなければ、外見上は同じように見えるだろう。
一方で、中華系シンガポールの中には、労働者階級に高度な教育を受けたグループもあれば、高度な教育を受けていないグループもある。後者の中は、高度な教育を受けていないせいか、外国人嫌いな人が多く、不快な態度を取るものも多い。
で、高度な教育を受けたグループには2パターンがあり、一つは海外で教育を受けているので、スピーチや社会的に活動する上で自分自身に自信がある場合が多い。
二つ目は、高度な教育を受けてい入るが、無口で打ち解けないタイプ。
つまり何が言いたいかというと、大陸の中国人は非常に多様であり、彼らの中でも教育を受けたグループは、中華系シンガポール人と区別できなくなってきているという点である。
Reference
マルチンのコメント
いかがだっただろう。日本ではあまり話題にはならないが、中華圏では中国人と中華系シンガポール人の違いは結構話題になる。
これを機に少し意識してみるのはどうだろうか('ω')ノ
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