現在中国でブログを書いている。この国に来ると私はまだこの国のことを全然知らないのだなと感じる。ということもあり、私は中国という一つの単位ではなく、中国を世界の国々を集めた集合体というように考えて、中国に対する見方を変えようと思いこの記事を書くことにした。
中国のGDPは現在、1340兆円(2018年)なのに対して、日本はその3分の1で、517兆円ほど。2012年あたりから日中のGDPは逆転してしまったわけだが、中国は人件費が安いので、感覚としてはGDPが日本の3倍。というよりも表面上(ビルや鉄道などのインフラ)は10倍に見えてもおかしくない。
つまり中国に行けばわかるが、大都市がいくつもありどの都市も発展しているように見える。分かりやすく言えば、シカゴ級の都市がいくつもあるわけだ。
日本の場合、大都市と言えば、東京→名古屋→大阪くらいしかないが、中国はハルビン→瀋陽→北京→上海→武漢→広州→重慶→西安→成都などと、地下鉄網が張り巡らされたような大都市はいくつもあって、高速鉄道でこれらの都市を移動しているだけでも楽しい。( ゚Д゚)
つまり国の規模が全く違うわけだ。実際、ヨーロッパよりも巨大な共同体のようなものなのである。
何が言いたいのかというと、ヨーロッパであれば、イギリスの1人当たりのGDP、スウェーデンの1人当たりのGDP、ウクライナの1人当たりのGDPはそれそれ違うだろう。
中国でも全く同じで、上海の一人当たりのGDPと、チベットの1人当たりのGDPは国が全く違うかのように変わってくる。
中国は、ヨーロッパよりも巨大である。これは地理的に狭い場所にいくつもの国が集まっている東南アジアに目が向いている日本人が忘れていることであり、中国=一つの国というよりは実際は、その土地に行ってみると、独特の文化があり、人々の顔も雰囲気も違う。
で、この記事では1人当たりのGDPを見ながら、中国ではこんなに格差があるのだよ。ということを知ってもらおうと思う。
①中国の人口を他の国に例えると
アメリカ(3.2億)、ASEAN(6.4億)、日本+韓国+台湾(2億)、カナダ・メキシコ(1.6億)をたしても、15億人ほどになる中国の人口には敵わない。
つまり、中国を一つの国として見るよりは、いくつもの国の集合体と考える視点も必要なのではないだろうか。
現在の日本人は、中国=韓国と中国は日本の隣にある国としか認識していないが、日本人が思っているほど中国は巨大で、日本人は隣国なのにも関わらず、他の国の人たちよりもその大きさに気づいていない。
中国語よりも韓国語が趣味として呑気に学ばれている国、それが日本なのである( ゚Д゚)…。
②中国と日本人の一人あたりのGDP
日本の1人当たりのGDPは、393万円である。そして中国の1人当たりのGDPは97万円となっている。これだと一見、中国人=日本人の4分1しか収入をもらっていない貧乏な人というふうに見えてしまう。
けれども北京は211万円であり中国人二倍以上になる。ということもあり、日本と中国の1人当たりを比較することはナンセンスである。なぜなら中国は広すぎ、かつ地域によって貧富の差が日本以上にあるからだ。
なので、中国には東南アジアのバンコクやマニラより貧しい地域がある一方、かなり裕福な都市も存在する。
つまり日本人と北京人や上海人の1人当たりのGDPを比較したほうが、より日本人がイメージするものに合致するはずである。
なので、このランキングを通して、正しい中国を認識するきっかけにしてほしい('ω')ノ
※以下1人当たりのGDPは2017年の数字で、GDPは2018年の数字である。また注意してほしいのは1人当たりのGDPというのは富裕層~貧困層まですべての数値を平均化したものであり日本の1人当たりのGDPが393万円だとすれば日本人の平均年収は350万円(中央値)くらいと考えるのが妥当である。
なのでこれから紹介する中国の都市部には驚くような数字がいくつも出てくるが、そこも少し低く見積もったほうがいい。というのが私の感想だ。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_GDP_(nominal)_per_capita
※この記事では1人当たりのGDPに焦点をあてているが、中国の省のGDPがどれだけ規模が大きいかを示すために、例えば山東省=メキシコと同じGDPというようなことも書いておいた。
31位 甘粛省
イスラム系住民も多い蘭州市という大都市を持つ甘粛省の1人当たりのGDPは47万円と、中国全土で一番貧しい省となっている。それでも雲南省から陸続きになっているミャンマー(18万円)よりは高い。東南アジアで言えば、インドネシア(38万円)に近いと考えたほうが覚えやすいかもしれない。
で、甘粛省のGDPは中南米の小国ベリーズ(48万円)や、トンガ(46万円)と同等程度。
https://tradingeconomics.com/myanmar/gdp-per-capita
とはいっても甘粛省にある嘉峪関市という都市だけは1人当たりのGDPが高く4倍の125万円となっている。
GDPは12兆円。クウェート(12兆円)、モロッコ(11兆円)と同等規模。
ちなみに上の地図は、中国全地区の1人当たりのGDPを数値化したもの。これらのランキングがこの31位~1位までに書いてある。
30位 雲南省
雲南省の1人当たりのGDPは56万円。裏のミャンマーとか、裏の東南アジアと私が呼んでいるのがこの雲南省。イラン(54万円)と同等程度。都市部の昆明市(106万円)と二倍近くになる。
GDPは27兆円。バングラデシュ(28兆円)と同等規模。
29位 貴州省
貴州省の1人当たりのGDPは62万円。ベラルーシ(63万円)と同等。都市部の貴陽市(109万円)は二倍くらいの数字となっている。貴州省は中国の中でも貧しい省ではあるが、近年NTTなども進出し、ビックデータの拠点都市として街を興している。
GDPは22兆円。イラク(22兆円)、ペルー(22兆円)と同等規模。
28位 広西チワン族自治区
広西チワン族自治区の1人当たりのGDPは62万円でベラルーシ(63万円)と同等程度。一方、防城港市(117万円)北海市(110万円)、柳州市(102万円)というように二倍になる都市もある。
GDPは30兆円。中国の親友パキスタン(31兆円)と同等規模。
27位 黒竜江省
黒竜江省の1人当たりのGDPは65万円。コロンビア(66万円)と同等程度。大慶油田・天然ガス関連で栄えた大慶市(122万円)はその中でも高く、二倍となっている。ハルビン市(95万円)も省全体よりは高い。
GDPは24兆円。カンボジア(24兆円)、キプロス(24兆円)、セネガル(24兆円)と同等規模。
26位 チベット
チベットの1人当たりのGDPは65万円で黒竜江省と同等程度。都市部のラサ市(104万円)と高くなっている。
GDPは2.2兆円。パプワニューギニア(2.1兆円)と同等規模。
25位 山西省
山西省の1人当たりのGDPは68万円。ドミニカ共和国(69万円)と同等程度。都市部の太原市では(114万円)と高くなっている。
GDPは25兆円。エジプト(24兆円)、チェコ(24兆円)、ベトナム(24兆円)に匹敵する。ちなみに、ベトナムってこんなにGDP低かったのか…。と驚かされた…。(;´Д`)
24位 江西省
江西省の1人当たりのGDPは71万円。タイ(71万円)、ペルー(70万円)と同等程度。都市部は、新余市(139万円)、南昌市(136万円)、鷹潭市(101万円)と高い。
GDPは33兆円。コロンビア(33兆円)、フィリピン(33兆円)と同等規模。
23位 青海省
青海省の1人当たりのGDPは72万円。セルビア(72万円)と同等程度。
GDPは4.3兆円。トルクメニスタン(4.3兆円)、リビア(4.3兆円)に匹敵する。
22位 安徽省
安徽省の1人当たりのGDPは72万円でセルビア(72万円)と同等程度ではあるが、中心都市である合肥市の1人当たりのGDPは131万円と高い。また、蕪湖市(119万円)、馬鞍山市(110万円)、銅陵市(103万円)と続く。
GDPは45兆円。オーストリア(45兆円)、イラン(45兆円)と同等規模。
21位 河北省
河北省の1人当たりのGDPは72万円で、バルカン半島のセルビア(72万円)と同等程度。唐山市は122万円と高い。最大都市の石家荘市は81万円程度である。
GDPは54兆円。ベルギー(53兆円)と同等規模。
20位 四川省
成都という大都市を持つ四川省の1人当たりのGDPは73万円。都市部では攀枝花市(137万円)>成都市(128万円)と続いている。ちなみに攀枝花市は攀鋼集団など鉄鋼業を中心とした重工業、および鉱業を中心とした産業都市で有名。
GDPは61兆円。台湾(58兆円)とかなり近い規模。
19位 新疆ウイグル自治区
新疆ウイグル自治区の1人当たりのGDPは74万円で四川省と同等程度。都市部ではカラマイ市(249万円)>ウルムチ市(115万円)>クムル市(114万円)と続いている。
この中でもカラマイ市はジュンガル盆地西北縁に位置する中国の重要な石油生産地の一つであり、新疆石油管理局の所在地であるため、1人当たりのGDPが非常に高い。
GDPは18兆円。カタール(19兆円)、アルジェリア(18兆円)と同等規模。
18位 河南省
河南省の1人当たりのGDPは75万円。また都市部では、鄭州市(138万円)とかなり高くなっている。ちなみに鄭州は私のお気に入りで、上の写真のように、湖の真ん中に街を作っているのが有名である。この都市には少林寺もあり、京都が真似をしたと言われている洛陽も西側に位置しているので、結構お勧め('ω')ノ
GDPは72兆円。スイス(70兆円)と同等規模。
17位 海南省
海南省の1人当たりのGDPは78万円。ドミニカ共和国(78万円)と同等。
GDPは7.3兆円。グアテマラ(7.8兆円)、ルクセンブルグ(6.8兆円)と同等規模。これとは関係ないが、海南省に限って中国滞在のビザフリーが2週間ではなく4週間が適用されている。
16位 湖南省
湖南省の1人当たりのGDPは80万円。ボツワナ(81万円)と同等程度。都市部の長沙市(194万円)は二倍となっている。また湘潭市(104万円)も高い。
GDPは55兆円。スウェーデン(55兆円)と同等規模である。
15位 寧夏回族自治区
寧夏回族自治区の1人当たりのGDPは81万円である。ボツワナ(81万円)と同等。都市部の銀川市(120万円)と高くなっている。
GDPは5.5兆円。レバノン(5.6兆円)、マカオ(5.4兆円)、スロベニア(5.4兆円)と同等規模である。
14位 吉林省
吉林省の1人当たりのGDPは84万円。アフリカでも赤道ギニアと同様に石油などにより裕福なガボン(82万円)と同等程度。都市部、長春市(128万円)では少し高くなっている。
GDPは22兆円。イラク(22兆円)、ペルー(22兆円)と同等規模。
13位 遼寧省
遼寧省の1人当たりのGDPは87万円。ブラジル(89万円)と同等程度。都市部では大連市(148万円)>盤錦市(112万円)>瀋陽市(103万円)と続く。
ちなみに盤錦市という名前は聞いたことがないと思うが、ここには中国第三の油田である遼河油田があり、曙光製油所、興隆台製油所、高昇製油所など多くの石油精製工場がある。
GDPは38兆円。ナイジェリア(39兆円)、アイルランド(37兆円)と同等規模である。
12位 陝西省
陝西省の1人当たりのGDPは95万円である。トルコ(93万円)と同等。都市部の西安市(116万円)は若干高くなっている程度。また中国有数の巨大炭鉱地帯のある楡林市(146万円)は1人当たりのGDPが高い。
GDPは36兆円。イスラエル(36兆円)、南アフリカ(36兆円)と同等規模である。
11位 重慶(直轄市)
重慶市の1人当たりのGDPは99万円でありこれは中国の平均であり、本当の中国を知りたいのなら重慶市に行ったほうがいいかもしれない。
この額は、マニラ(98万円)と近い。
GDPは30兆円。チリ(29兆円)のGDPと同等規模と言える。つまり北京や上海、広州を見て中国を知った気になっている人は、一度言ったほうがいいかもしれない( ゚Д゚)
10位 湖北省
湖北省の1人当たりのGDPは100万円である。メキシコ(98万円)と同等。都市部の武漢市(235万円)は二倍以上。また宜昌市(145万円)>鄂州市(120万円)>襄陽市(101万円)と続く。
GDPは59兆円。台湾(58兆円)、ポーランド(58兆円)と同等規模と言える。
9位 内モンゴル自治区
内モンゴル自治区の1人当たりのGDPは103万円。アフリカで一番1人当たりのGDPが高い赤道ギニア(104万円)と同等。北部に位置するモンゴル国(40万円)の二倍となっている。
また都市部のオルドス市(257万円)は北京市以上に高く、包頭市(193万円)、フフホト市(131万円)、烏海市(108万円)とこれらの都市の1人当たりのGDPも高い。
GDPは26兆円。フィンランド(27兆円)と同等と言える。
ちなみに赤道ギニアは原油によって収入が高く、内モンゴルも同様に、豊富な石炭と天然ガスのほか、希土類(レアアース)の生産量は中国一であり、特にバヤン鉱区は世界最大の希土類元素鉱床があるため、内モンゴルにあるいくつかの都市は、中国の中でもものすごく裕福な部類に入る。
アフリカの意外な事実を知りたければ以下をどうぞ('ω')ノ
「中国も関係?2020年ー2050年における、アフリカのGDPランキング(一人当たり含む)TOP20」
8位 山東省
山東省の1人当たりのGDPは115万円。アルゼンチン(116万円)と同等。また、世界平均が113万円なので、山東省は1人当たりのGDPにおいては、世界全体の一番中間点に位置するということになる。
また都市部では東営市(263万円)>威海市(184万円)>青島市(176万円)>シ博市(150万円)>済南市(145万円)と続いている。
この中でも、東営市がとびっきり高い理由は、勝利油田を擁する新興石油都市だからである。
GDPは115兆円でメキシコ(122兆円)に近い数字である。
身長の高さなどで山東省と東北三省は同じように思われることがあるが、山東省は東北三省を見下している。その理由の一つに、東北三省とは1人当たりのGDPでも差がある。ということも挙げられるかもしれない。
「イケメン・美女が多すぎる!済南・青島に滞在してみて感じた、山東省という韓国よりも巨大な国や、気質について TOP9」
7位 広東省
香港に隣接したハイテク都市である深セン市や中国南部最大の広州市を持つ広東省の1人当たりのGDPは130万円である。ルーマニア(122万円)と同等。
一方、広東省には1人当たりのGDPが高い都市がいくつもあり、深セン市(271万円)>珠海市(155万円)、広州市(150万円)というように続く。
ちなみにバンコク(150万円)なので、広州市とバンコクは同等。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Thai_provinces_by_GPP
広東省のGDPは147兆円。スペイン(142兆円)と同等規模と言える。中国では韓国(161兆円)にもう少しで近づくと数年前から話題になっているので、数年後には追い越すかもね…。何と言っても、広東省の人口は多いので…。
6位 福建省
商売気質が強く、昔から東南アジアや世界各地に渡った華人の発祥地ともいわれる福建省の1人当たりのGDPは、137万円と華南地区では一番存在感のある広東省よりも高い。モルディブ(145万円)と同等。また都市における1人当たりのGDPは、廈門市(162万円)、福州市(137万円)と続いている。
GDPは54兆円。ベルギー(51兆円)、スウェーデン(53兆円)と同等規模と言える。
5位 浙江省
杭州市を中心とした浙江省は出稼ぎ労働者の目的地とも知られる。1人当たりのGDPは149万円となっている。クロアチア(148万円)が浙江省と同等。都市部は杭州市(200万円)>寧波市(183万円)>舟山市(155万円)>紹興市(150万円)と高い都市が多い。
GDPは84兆円で、サウジアラビア(78兆円)やトルコ(76兆円)同等規模。
4位 江蘇省
南京や上海郊外にあたる蘇州市、無錫市を持つ江蘇省の1人当たりのGDPは、174万円。南米一1人当たりのGDPが高いウルグアイ(171万円)と同等。
蘇州市(240万円)、無錫市(238万円)、南京市(200万円)、常州(208万円)、鎮江市(186万円)と中国全土でも、高収入の都市がずらりと並んでいる。
ちなみに日系企業は上海に近いこともあり、蘇州、無錫などに多い。
GDPは139兆円。なんと江蘇省一つだけでオーストラリア(141兆円)と同等規模なのである…。
3位 天津(直轄市)
天津の1人当たりのGDPは182万円である。インドネシアのジャカルタ(173万円)に近い数字。
GDPは28兆円。チリ(29兆円)、バングラデシュ(28兆円)、フィンランド(27兆円)と同等規模。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Indonesian_provinces_by_GRP_per_capita
2位 上海(直轄市)
上海の1人当たりのGDPは203万円である。
GDPは49兆円。タイ王国(48兆円)、ベルギー(51兆円)、スウェーデン(53兆円)にと同等規模と言える。
1位 北京(直轄市)
北京のGDPは45兆円。オーストリア(45兆円)、イラン(45兆円)、ノルウェー(43兆円)に匹敵する。
1人当たりのGDPは211万円で、台湾が抜かれるのは時間の問題。また北京は人口削減政策により緩やかに人口が減少中。貧しい人はどんどん北京から追い越されていく予定なので北京の一人当たりのGDPは今後もっと上がっていくものと思われる。
台湾省・香港・マカオについて
台湾は中華人民共和国ではないがここでは参考として台湾省として掲載しておく。台湾省の1人当たりのGDPは249万円で、GDPは、58兆円。
一昔は北京と台湾の一人当たりのGDPにはかなりの差があったが最近はほとんど変わらなくなってきている。最近は中国大陸でも台湾や香港が憧れの対象とは無くなってきている理由がこの数字をみてもわかる。
ちなみにマカオ(774万円)の1人当たりのGDPは世界でもTOPクラスである。
Reference Site
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Chinese_administrative_divisions_by_GDP_per_capita
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Chinese_administrative_divisions_by_GDP
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_prefecture-level_cities_by_GDP_per_capita
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_past_and_projected_GDP_(nominal)_per_capita