アラビア語(セム系言語)

アラブ人国家に囲まれた技術大国「イスラエル」がヨーロッパ扱いされる理由と、日本と違う部分

2019年9月10日

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アラブ人国家に囲まれた技術大国「イスラエル」がヨーロッパ扱いされる理由と、日本と違う部分

2019年9月10日




ユダヤ人と日本人はもともと同じ民族だった。というような説がユーチューブ動画によく流れてきたりする。その根拠に、伊勢神宮にある石灯篭に刻まれた「ダビデの星」がある。

ユダヤ人は白人。そして日本人には白人の血も入っている。なんて盛り上がったりする日本のネットだが、ユダヤ人にも色々種類があるなんてことを知らない人も多い。


「ノーベル賞の20%、世界の富の分配、産業の独占。日本人はユダヤ人(失われた10支族)説まで、ユダヤに関する知識 TOP10」

また、ユダヤ人の国でもあるイスラエル=中東=危険な国=ユダヤ教とイスラム教の違いって何?みたいな、勝手なイメージでイスラエルやユダヤ人を見ている人が大半だ。

そんな私も昔、レディ・ガガの鉤鼻をみて、勝手に、彼(男性疑惑もあったw)は実ユダヤ人で、操られているのではないか。と妄想したものだ…。→マイケルジャクソン系の陰謀論にハマっていた時期…。

そんな今、ヘブライ語を勉強しているとはね…。当時は思ってもいなかっただろう。

さて、そんなユダヤ教徒が戦後作ったイスラエルという国について、もっと知ってもらうために、魅力的な部分を凝縮させてみた。

この記事を読むことで、イスラエルやヘブライ語について少しでも興味を持ったり、新しい扉を開くきっかけになっていただけたら幸いである。

 

①日本人が持っているイスラエルのイメージと現実の隔離



https://www.pinterest.jp/pin/825918019136066717/※写真は、女性も兵役が課されているユダヤ人女性

まず日本人が持っているイスラエルのイメージは上にも書いたけれども、イスラエルは、面積が2万2070 km²と、四国(1万8800 km²)を少し大きくしたくらいの面積に、871万 (2017年)程度しか人口がいないにも関わらず、中東の戦争において、約7ヶ国(エジプト、サウジアラビア、イエメン、イラク、シリア、ヨルダン、レバノン→地図上で緑の国々)と戦争をし、それでも負けていない。

※下の地図の水色の部分がイスラエル。とても小さい。(更に赤くなっている場所は、ヨルダン川西岸地区→長くなるので割愛)→また、緑、薄い緑の国々はアラビア語を話す国々。


そう。イスラエルは戦争が強い国と言われている。そのため、決して侵略することができない国の上位にも上がってくる。

Created by TheTallOne on 18 Dec 2006

そもそもイスラエルという国は1948年5月14日に作られた。それまではパレスチナという国がそこにあってイスラム教徒の国であった。

戦後、ドイツで迫害されてきたアシュケナージ系のユダヤ人などが中心となって、聖書にもともと記されていた自分たちの故郷に戻ろう。ということになり、パレスチナ人が暮らしている土地に勝手に入って国を建国したため、周辺のアラブ国家がブちぎれたというわけ。→シオニズム運動

また、中東(厳密に言うと近東)にある国なので、サウジアラビア人とかと同じ顔?と思っている人も多いかもしれないが、

https://www.tapatalk.com/groups/anthroscape/average-face-of-men-and-women-by-country-t82269-s10.html

ヨーロッパに何百年も住んでいたアシュケナージ系の白人などがイスラエルの土地に戻ったこともあって、白人っぽいイスラエル人、北アフリカに住んでいたセファルディム系ユダヤ人、ロシアに住んでいたユダヤ人、現地のパレスチナ人などをミックスさせると、上の写真のようになる。

イスラエル人男性(左上)は、左下のサウジ人よりも、南欧に近い顔をしている。また、イスラエルはヨーロッパに位置する国ではないが、ヨーロッパ人にとって、価値観が西洋に近いイスラエルは、「ウチらと同じヨーロッパじゃね?」みたいに考えている人も多い。

Why is Israel considered part of Europe?

 

②中東の新宿2丁目がイスラエルにある理由

https://www.haaretz.com/opinion/.premium-israel-s-government-is-afraid-of-lgbt-community-1.5431673


で、話がぶっ飛ぶが、LGBTフレンドリー国ランキングにおいて、テルアビブはアジアで1位となっている。ユダヤ教徒の中には同性愛を嫌がる人もいるが、これはこの国の二面性でもあり、中東諸国(ほとんどがイスラム教)ではLGBTは、行為をすると違法になるような国もある中、「オレらイスラエルは周辺国とは違う!」ということを強調して、観光客を誘致するためともいわれている。

台湾の同性婚なんかも似ていて、中国大陸ができないことを台湾がやっていく。そして中華人民共和国に統合されないように西洋のバックをつける。という守りの体制に入っているところは似ているのかもしれない。台湾と違うところは、ユダヤ教徒の中にも色んな考えの人がいて、LGBTコミュニティを嫌う人もいて、事件が起きたりすることもある。

けれども、上のゲイパレード(20万人参加)のように、アジアではナンバーワンとも言え、NYCやロサンゼルスに近いオープンな空気がテルアビブにはあるということが分かるだろう。

 

③ユダヤ人の系統と、格差

世界の大富豪の上位数パーセントがユダヤ系だということは以前にも書いた。
だからといってユダヤ教が多数派のイスラエル人皆がお金持ちというわけではない。

1人当たりのGDP(2018年)では、

日本(393万円)に比べ、イスラエル(416万円)と同じくらいではあり、イスラエル人の方が収入が高いと思われがちだが、その分格差もあり、またヨーロッパから帰還した

アシュケナージ系ユダヤ人(ホワイトカラーにつくことが多い)は、IQが高いともいわれ、ホワイトカラー系の仕事に就くことが多く、北アフリカのイスラム圏から帰還したセファルディム系ユダヤ人はブルーカラーなどの肉体労働に就くことが多いとも言われている。

 

④中東のシリコンバレー(軍事力と繋がっている理由)

イスラエルは敵国に囲まれていることや、資源大国でもないことから、軍事産業が強いと言われている。また兵役(ユダヤ人であれば女性も義務)もあり、兵役を終えた人たちが、一緒に起業するという体制が、国全体でサポートされている。

兵役を経た人たちは、忍耐強く、また彼らには既に仲間ができているので、そのような人たちで起業することを政府が支援しているわけだ。彼らは兵役に耐えられた人間なので起業をしてもやり遂げるだろう。という信頼もある。

シリコンバレーと言えばサンフランシスコにあるが、もともとシリコンバレーは、現在のようにIT業界の中心地ではなく、戦前の防衛産業(軍事産業)が起源であることからも分かるようにITと軍事は密接に結びついている

Secret History of Silicon Valley

テルアビブもそれは同じで、敵国に囲まれたイスラエルは、サイバーセキュリティ分野で技術力はトップであり、日本の企業にもこのイスラエルの技術を取り入れている会社もある。

つまりサイバー上でハッカーされないようにする。などの防衛が、サイバーセキュリティである。韓国でも、イスラエルはなぜ凄いのか。などとよく話題になる。

国名割合
1イスラエル4.30%
2韓国4.29%
3フィンランド3.17%
4スウェーデン3.16%
5日本3.15%
6台湾3.10%
7オーストリア3.10%
8デンマーク3.09%
9スイス2.97%
10ドイツ2.94%

というのも、韓国はGDPにおける4.29%もの予算をR&D(研究開発費)に費やしており、これは世界2位。イスラエルもほぼ同じくらいなのにもかかわらず、世界ではイスラエルの技術は評価され、韓国の技術は全然評価されていないので、以下のように論ずる記事が出てくるくらいなのである。

韓国の技術、なぜイスラエルの30分の1の待遇なのか

List of countries by research and development spending

 

⑤ユダヤ人と日本人の思考は真逆

 

https://www.pinterest.com/pin/56083957842727860/
日本では若者が安定した公務員につきたい。という人が多いが、これは日本人の本来の性質を表している。日本人の大部分は、戦時中も上から命令されたことをしていたし、明治維新以前の幕府体制の時も、一部の偉い人と、大勢のコントロールされる側に分かれていた。
戦後、皆で頑張って日本流の会社のシステム(協調したチームワーク)を作ったお陰で、大量生産には向いていたが、そのような時代が終わった途端、経済は下がってきた。
つまり大部分の日本人は上から命令されてやっと動ける人が多いのである。一部職人気質の人や、頭の良い人もいて、彼らが日本を支えているということもあるが、多くの日本人はやはりサラリーマン気質。
一方、イスラエルは違う。ヨーロッパやアフリカ北部にユダヤ人が散らばって、キリスト教圏で迫害されながら、自分たちでお金を稼いでいくしかなかった立場にずっといたからだ。
自分の頭で考えないと生きていけない。という環境にずっと置かれてきた人たちなので、彼らは旧約聖書も読むが、ユダヤ教に於いての宗教的指導者、学者でもあるラビが昔から書き足してきた議論集のような、タルムードという本を読んでいる。
ここには、2000年以上の智慧が詰まっており、日本人がリンゴが木から落ちたらどうなる?と言われて地面に落ちるという思考しかないが、ユダヤ人はなぜ地面ではなく宇宙に飛ばないのか。などと考える。
また非常に議論好きとも言われ、日本人が全然質問しないのに対して、ユダヤ人はお互いが納得いくまで議論する。と言われている。
上の写真は、テルアビブに多くある、フリーランスや起業家が一緒に働けるコーワーキングスペース。日本も、今後、このように自分でものごとを考えて新しいものを生み出す人たちが増えていくのではないだろうか。

⑥ドバイは石油。イスラエルは頭脳(技術大国)

こちらの動画はイスラエル最大の都市、テルアビブの繁栄ぶり。中国やアラブの産油国家のように派手な高層ビルで魅了するのとは違う魅力がある。どちらかと言うと日本の東京に近い建築が多い。
イスラエルはもともと砂漠しかないような場所だということを考えれば、ここ数十年で巨大な高層ビル群が出現したドバイにも似ているかもしれない。
けれども、ドバイと違うのはその中身である。

ドバイは石油という、たまたまそこにあった資源によって富を築いたラッキーな人たち、優遇政策により外国から渡ってきた人たちによって富が築き上げられた街である。

こちらはドバイの輸出項目の割合。約65%以上が、資源によるものである。見ての通り、アラブ首長国連邦は資源が豊富で、石油関連(48%)、ダイアモンド(9.5%)、金粉(6.1%)、アルミニウム(1.7%)など、これらが無くなったら今後、どうなるの?と思いたくなるようなうらい資源が豊富。
ちなみにロシアにも、ドバイの何倍も購買力の高いエリアが複数あるが、これらは皆天然資源のお陰である…( ゚Д゚)
つまり頭を使わなくてもお金が入ってくるし、ドバイ市民以外のインド人に肉体労働などをやらせておいて、悠々とくらしているというわけだ。
それで、ドバイのイケメン王子がインスタグラムに豪遊したような写真をアップしているような国。その表面上だけをみた日本人も、あ、ドバイって凄い!と、かつて1990年代くらいに日本人が憧れたロスのような存在になっている。
一方イスラエルの輸出項目は、もっと細かい。
確かにイスラエルにも資源はある。例えば、全体の10%程度は資源であることがわかる。石油精製製品(8.4%)、ダイアモンド(6.8%)など。
けれども、中東の産油国と違い、以下のようにいくつもの技術を要する国であることが決定的な違いだ。

薬品包装(9.2%)
集積回路(7.8%)
農薬(2.2%)
カリウム肥料(1.9%)
計測機器(1.9%)
コンピュータ(1.8%)
医療機器(1.8%)→参考記事
ツール・プレート(1.5%)
航空機(1.3%)
化学肥料(1.2%)
航空機部品(1.2%)
産業用オイル・アルコール(1.1%)
産業用プリンタ(1.1%)
ロー・プラスチック・シート(1.0%)

1.0%のものだけ抜粋しただけでも、全体の30%。まだまだ細かいものがいっぱいあるので割愛するが、これらの分野においてイスラエルは活躍しているということになる。

サウジやドバイを始め、カタール、クウェートなどの産油国とは違い、資源だけに頼らず、頭脳や技術を使った商売をしているわけ。日本経済に若干似ているかもしれない。

それゆえ、日本人はイスラエルの起業精神や、イスラエルが将来どのような国作りを進めているのか?ということを研究することにはとても意味があるのではないだろうか。

 

⑦ヘブライ語をかじっておく意義

ヘブライ語は正直言ってビジネスでは使えない。けれども、少し挨拶フレーズが分かっているだけで相手に強いインパクトを与える言語だ。

挨拶フレーズが言えるだけイスラエルやユダヤ人のことについて少しは理解している人なのだと、周りから認識されるだろう。

顔や名前を覚えてもらえなくても、ヘブライ語ができれば、頭のいい人の目に留まることは間違いなし('ω')ノ

「杉原千畝さんが、世界ユダヤ人会議の動画チャンネルに掲載され世界から称賛される理由【 ユダヤの反応】」

特にイスラエルでは、日本人に対して、恩に感じている部分もあるので、そんな日本人がイスラエルのことをもっと勉強しようとして、ヘブライ語まで勉強すれば、今後の日本の将来における多角化にも繋がっていくだろう。

韓国に夢中になっているくらいだったら、イスラエルをもっと開拓してね→っていう私も近いうち、調査に行ってまいりますわ(*´ω`*)

「韓国語(ハングル)を勉強している暇があったら手を付けておくべき、あまり学ばれていないオススメの言語 TOP10」

 

⑧最後に

イスラエルは非常に複雑な歴史を辿ってきた国であり、イスラエル自体が存在すること自体許せない。と、中国の田舎で知り合ったサウジアラビア人に言われたことからもわかるように、アラブ人に対してイスラエルを称賛するのは、大変センシティブな話題だ。

また私もパレスチナ人が多くのイスラエル人に殺されている現実に反対の気持ちが強い。同時に私はタルムードという本に随分助けられてきた。

つまりイスラエルという国を勉強することはアラブ人の理解にも繋がり、タルムードという先人の知恵のつまった本に興味を持つきっかけにもなる。

そういう意味で日本の若者はこのエリアにもっと興味を持ってほしいとも思う(^^)/

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