日本人が大好きなアメリカ。昔ほどではないにせよ、やはりNYやLAに憧れる人も多いだろう。けれども意外にNYとLAの違いが分からない人も結構多い。
ということで実際に見に行ってきた私がこの二大都市の違いを書くことにした。
まず国の規模としても日本とアメリカ合衆国では随分違う。人口は日本の約三倍ある上に、国土もアラスカ州なども含めると、日本の約30倍。その上、時差もある。つまり東京と大阪で比較するのとは違って、全く違う国の首都のように考えるのが一番良いと思う。
つまり東海岸での首都がNYだとすれば、西海岸での首都がロサンゼルスみたいな。というのもカリフォルニア州だけでも、フランスと同等の規模と言われているからだ。(フランス人にとっては耳の痛い話)
で、この記事では基本的にNYとロサンゼルスを比較してみるけれども、そこにサンフランシスコと、おまけでシカゴもちょこっと入れた記事にしてみた。
①都市圏人口の違い
都市圏人口というのは、東京で例えた場合、東京23区の人口ではなく、その周辺も合わせた人口である。例えば、埼玉は大宮あたりまで、千葉は千葉駅辺りまで、神奈川の場合は小田原辺りまでといった全域。東京の場合、関東平野に鉄道が敷かれているので、3500万人の人口をかかえる世界でもトップクラスの都市圏として有名。
「ニューヨークと東京ってどっちが都会なんですか?また、世界の中心はタイムズスクエアと渋谷どっち?【アメリカの反応】」
NYの場合はソウルと同じくらいで、LAの場合はパリより多いくらいだ。あのNYやLAがソウルよりも人口が少ないというのは意外にも思えるかもしれないけど、ソウルの地下鉄路線図を見てみるとすぐに納得すると思う。
さて、アメリカの都市圏人口と、日本人にとっても身近な東京とソウルをランキング化するとこんな感じになる。
面積に対する人口ではやはりアメリカの都市では東京やソウルには勝てない。けれどもNYの場合、マンハッタンの中心部の繁華街に人がごった返しているので、例えばタイムズスクエアなんて行くと、ものすごい都会!!と思ってしまうだろう。そんなタイムズスクエアは海外では渋谷と比較されたりもするのだけどね…。
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とはいっても、NYそしてLAというアメリカの二大都市を理解するには以下も重要だ。
②NYとサンフランシスコは、日本型都市
東京や大阪などの大都市に慣れたものはロサンゼルスの移動は大変。NYやサンフランシスコの場合、繁華街がギュッと詰まっていて地下鉄でサクっと移動でき、日本型都市と言えるだろう。
日本人はどうしてもNYとロサンゼルスを比べたがるが、私はこの日本型都市という意味でむしろNYとSF(サンフランシスコ)を比較するべきではないか?とも思う。
面白いことに、サンフランシスコの人口は88万人(2018年)だが、これは、まさにサンフランシスコ市(600km2)の人口であり、少し面積は広くなるが、サンフランシスコ都市圏(9,128 km2)の人口は472万人。更にCSA(広域都市圏)の人口は、966万人であり、これは全米5位である。
つまり土日になると、郊外からSFの中心地に人がやってきて賑わうというイメージ。
この広域圏とはまさにSFも含めたシリコンバレーなども含む。そのためSF中心部はアメリカでもトップクラスの地価となっている。
一方、上にも書いたがロサンゼルスは、これといった中心地がない。LAは、ビーチのあるサンタモニカや、夜の街としても賑わうハリウッド、高層ビル街のダウンタウンなど色々な地区があり、それぞれがかなり離れていて、大きい田舎という感じ。
上の写真には、LAのダウンタウンとそれ以外の低層住宅が映っているが、まさにこんな感じで、LAのダウンタウンがポツンとあり、それ以外は住宅地という感じ。
その住宅地と言われている部分には、立ち入っては危ない場所もあり、ロサンゼルスはホームレスの数も多いので注意してね…。
「閲覧注意!!これがロサンゼルスの現実。ホームレスと売春婦、そして警察だらけ?日本では絶対に見られない光景!【海外の反応】」
とはいっても最近は何もなく夜は危ないだけ。と言われてきたオフィスビルの集まり的なLAのダウンタウンが再開発されてLA=車がないと回れない街という印象が変わってきている。
長らく新しいビルが建たなかったLAのダウンタウンでも、2017年くらいから、2019年にかけて5棟くらい増え、ショップなども増えている模様。
今後、LAのダウンタウンの再開発は見逃せないかも。
Reference
https://en.wikipedia.org/wiki/San_Francisco
③英語の話し方(発音)や、外国語
ロサンゼルスは英語の話し方が遅く。NYは早い。また cot-caught merger という音声学用語からも分かるように、イギリス第一次植民地帝国の北米植民地である現在のNYやワシントンDCを中心とした13植民地よりも、cot[kɑt]とcaught[kɔt]を同じ発音にするものも多い。
前者がカートなのに対して、後者はコートという感じで発音されるが、カリフォルニア州を中心とした新天地では、そんなのどっちでもよくね?見たくなったのかもしれない( ゚Д゚)
また、ロサンゼルスのスペイン語話者人口はNYのそれを上回るということは以前このブログでも書いた。
「スペイン語人口が多いアメリカの都市 TOP15と、世界でスペイン語がもっとも話されている都市 TOP8」
NYの人口(1891万人)のうち19%がスペイン語話者であるのに対して、ロサンゼルスは1284万人の人口のうち36%がスペイン語を話す。つまり、ロサンゼルスでは3人に1人はスペイン語を話すことができるということになる。
なぜこれほどスペイン語話者が多いのかと言うと一番の要因は、メキシコからの移民だろう。ロサンゼルスのダウンタウンはメキシコ人で溢れてるからね…。
と考えた場合、やはりスペイン語もかじりたいという欲張りな人にはロサンゼルスは最高の場所かもしれないね。
最近は第二外国語としてイギリス、フランス、ドイツ、アメリカではスペイン語が学ばれており、そういう意味で日本人がスペイン語をかじってみるのもいいかもね。
「スペイン語を勉強するメリット、需要、重要性」
④気候は、もっとも重要な部分
NYは日本で言えば仙台くらいの緯度であり、夏は東京ほどジメジメしていないが暑く、冬は非常に寒い。きちんとした四季があるので、四季を感じたい人向け。
LAは年中暖かい。東南アジアが好きな人は向いているかも。また乾燥していてカラっとしているので、いかに東部だけだったアメリカが西の方に開拓していったのかが分かるのかもしれない。多くのアメリカ人にとっていまだにSFやLAは憧れの地となっている。
⑤ファッションの違い
これはもう想像がつくと思うのだけど、NYのほうがロンドンやパリに近い都会的なファッションが多く、LAはTシャツに短パン、サンダルも普通にOKという感じ。
けれどもNYでもこういう空気はあり、NYは何でもありという感じなのでファッションという意味でも大した差はないものの、LAのほうがもっと楽にしよーよ。という感じでリラックスできるかもね。
また注意したいのが、ハリウッドはゲイやセレブが多く、ファッションがダウンタウンとは違って洗練されているという点。
⑥1人当たりのGDP
1人当たりのGDPというのは本当にざっくり言うと、年間に稼ぐ金額である。2017年の数字になるが、NY都市圏(7.1万ドル=781万円)に比べロサンゼルス都市圏(6.7万ドル=737万円)はかなり低い。
一方やはりサンフランシスコ都市圏(8.9万ドル=979万円)はこのどちらの都市よりも高い。
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_U.S._metropolitan_areas_by_GDP_per_capita
とはいってもこれらは郊外も含めた中央値なので単純に市内だけになると、NY(9.3万ドル=1023万円)、LA(6.7万ドル=737万円)、SF(11.9万ドル=1309万円)となり、それぞれかなり差がある。
※LAのみ、市域の1人当たりのGDPが見つからなかった。
けれども感覚としてこのように、SF>NY>LAという所得格差はお分かりいただけたと思う。
※2017年の数字なので、1ドル110円として計算した。
⑦アジア人比率
ロサンゼルスの10%は、アジア人。NYの場合は、12%。けれども、アジア人といっても、インド人、フィリピン人まで含んだ全体のアジア人比率であるということもお忘れずに。
ちなみに、ロサンゼルスにはコリアタウンがあるので韓国系が多いイメージがあるが、LA(12万人)なのにたいして、NY(21万人)とかなり数字が変わっている。
ちなみに大阪がだいたい15万人くらいと言われている。
「世界のコリアタウンTOP10と、海外に住むコリアン(韓国系・朝鮮系)の国別・都市別TOP10」
中国人に関しては、NY都市圏(73万人)、LA都市圏(52万人)、SF都市圏(46万人)となっており、SFにかなり多い。
で、日本人に関しては、以下のようになっている模様。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000043.html
この数は長期滞在者(留学など、通常のビザを取った形での滞在者)の数である。いずれにしても、どっちの都市に行っても日本人が多いので日本食など、日本人の環境には恵まれていると言える。
永住者を含めると、以下のようになる模様。
https://cimplexusa.com/2019/01/japanese-population/
⑧距離はだいぶ違うので注意
成田からNYまでは12時間40分かかるのに対して、LAまでは9時間40分であり、3時間も違う。3時間と言えば、東京ー上海間だ。
また、意外なことにニューデリー(10時間)や、モスクワ(10時間20分)よりも近くLAのほうが近く、シドニー(9時間50分)と同等くらい。
ちなみに本格的な英語圏でそこそこの大都会で、成田から一番近いのはバンクーバー(8時間40分)である。
どっちを選ぶのかはその時々の好み
マンハッタンのように狭い場所にいくつものスポットがあるのがNY、大きい田舎だけど気候が良くリラックスムードなのがLA。
その他に、LAはSFにもアクセスしやすく、ちょっと山を越えるとラスベガス、そして物価が3分の1くらいまで下がるメキシコにもアクセスしやすく日本からも飛行機の時間は10時間もかからない。
私だったら若い頃はNY派だったけど、今ならLA派かな。なんといってもスペイン語を始めてしまったのが大きいし、乾燥していて適度に暖かいところが好きだというのは、中央アジアで改めて感じた。