アフガニスタンといえば、タリバン、貧困などのイメージが先行していてよくわからない、あまり関わらない方が良い国というイメージが強いかもしれない。世界の国々の情報をたくさん書いている私でさえそれは同じである。
とはいっても現在キルギスに移動してきている私は、今住む都市に、キルギス人とウズベク人が同居している環境に置かれているので、この中央アジア、そしてその下に位置するアフガニスタンのほうまでとりあえずなんでも知りたい状態になっている。
先日ハザーラ人の記事などを書いて、ますますこの周辺の民族構成が知りたくなり、このタイトルで記事を書こうということになった。
「アフガニスタンに住む日本人似の「ハザーラ人」が差別(迫害)される理由」
アフガニスタンの人口は、3746万人(2021年)くらいと言われている。そのうち、大きく分けて3つの民族が同居する形となっているが、それ以外にも色んな民族がいて、それを知らず、アフガニスタンについては語れないと思って思い切ってこの記事を書くことにした。
この、アフガニスタンに住む民族構成を少しでも知ることで、またアフガニスタンに対する見え方が変わってくるかもしれない。
8位 パシャーイ人(50万人程度)
パシャイー人=50万人
パシャイー人の多くは主にラグマンとナンガルハールの北部に集中。この民族はアフガニスタンでも古くから知られている民族。また、多くのパシャイー人は、自分たちが特別な言語を話すパシュトゥーン人であると考えているよう。
ちなみにパシャイー人はもともと、部族の宗教とともに仏教と古代ヒンドゥー教を実践していたとも言われている。今は多数派となっているパシュトゥーン人による移民の波によって肥沃度の低い山岳地帯に移住。
面白いのが、13世紀にマルコポーロがこの地域を旅した際に、ここの地元の人々を魔術と魔術の実践者と表現したことである。
また、マルコポーロはこの民族について男性は宝石で飾られたブローチとイヤリングを身に着けていて、地元の人々の主な食事は米と肉であったと主張したという記録も残っているよう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Pashayi_people
7位 バローチ人(50万人〜)
50万人〜200万人。
この民族は、アフガニスタンの他にも、パキスタンには700万人ほどもいて、イランにも200万人ほどいると言われている。バローチの伝承によると、彼らの先祖は現在のシリアのアレッポ出身だそう。彼らは、自らの民族について、ハラブ(現在のアレッポ)に定住した預言者ムハンマドの叔父であるアメールハムザの子孫であると主張しているらしい。が、真相は不明。
バローチ人全体の61%はパキスタンに住んでいる。に比べてアフガニスタンには13%くらい。つまりバローチ人という民族は、アフガニスタンよりもパキスタンで目立つ民族と言える。
https://en.wikipedia.org/wiki/Baloch_people
6位 トルクメン人(120万人程度)
トルクメン人はチュルク語系の言語を話す民族ということもあるのか、やはりキルギス、ウズベキスタン、カザフスタンのように東洋人にやや近い顔立ちをした人も多い。このサッカー選手の顔も、上の二つの民族よりも、もっと日本人に近くなったような気がするのは私だけ?
それにしても、トルクメニスタンの人口が470万人くらいなので、その4分の1くらいの人口がアフガニスタンにいるというのも、また驚く事実だ。こういった民族はトルクメニスタンに帰ることはできないのだろうかね?
https://en.wikipedia.org/wiki/Turkmens
5位 アイマーク人 (160万人程度)
アイマーク人(チャハール・アイマーク人とも呼ばれる)は、アフガニスタンにおいては60万人〜160万人と、ソースによって違う。また、イランにも20万人ほどいるよう。
このランキングの中ではパシャーイ人、バローチ人、ハザーラ人と同じように自分たちの国を持たない民族である。
アイマーク人が話す言語はペルシア語のアイマーク方言ではあるが、アイマーク人の中にはモンゴル系の顔立ちをした人もいるよう。なんでも、
タイマーニー族(イラン系)
フィールーズクーヒー族 (イラン系)
ジャムシーディー族 (イラン系)
タイムリ族(モンゴル系)
アイマーク・ハザーリー族(モンゴル系)
など、いくつかの種類がいるようで、イラン系とモンゴル系に分かれるのだとか。
ちなみにアフガニスタンにおいてアイマーク人はタジク人やハザーラ人とある程度近い関係にあるので、国勢調査ではタジク人に分類されるのだとか。また主にアフガニスタンの西部や中央部に住んでいて、ゴール州では多数派を占めている。のだとか。
ちなみにアイマーク(аймаг)というのはモンゴル語で部族という意味を表すそう。こういう部分からも、かつてモンゴル帝国がここまでやってきて子孫がその土地に住み着いたまま今に至っていることがわかる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Aimaq_people
4位 ウズベク人(350万人程度)
ウズベク人は正直、どこにでもいる。キルギス(97万人)、タジキスタン(84万人)、カザフスタン(61万人)、トルクメニスタン(55万人)。
ここアフガニスタンにもこんなにいるとは正直驚いた。その数はなんとウズベキスタン以外では一番多い。なぜ彼らはウズベキスタンに帰らないでアフガニスタンに留まっているのだろうか。
https://en.wikipedia.org/wiki/Uzbeks
3位 ハザーラ人
ハザーラ人のことについては他の記事でも書いたのでここでは割愛。
「アフガニスタンに住む日本人似の「ハザーラ人」が差別(迫害)される理由」
2位 タジク人(1000万人程度)
私が一番驚いたのがこのタジク人のアフガニスタンにおける人口の多さである。なんと本国よりも人口が多いのだ。タジキスタンの人口が750万人程度。そのうちの85%ほどがタジク人なので、650万人くらいしかいないことになる。アフガニスタンに住むタジク人の実態が非常に気になるところだ。
https://en.wikipedia.org/wiki/Demographics_of_Tajikistan
1位 パシュトゥーン人(1500万人程度)
実は私は数年前に、すでにアフガニスタン最大の民族パシュトゥーン人については書いていた。
「なぜ「アフガニスタン人」や「イラン人」「クルド人」の瞳の色はブルーやグリーンなのか?【海外の反応】」
アフガニスタン国内では1539万人(2021年時点)の人口を抱え、アフガニスタン最大の民族。とはいっても、パキスタンにはその2倍以上の4344万人ものパシュトゥーン人が暮らしている。これもまた、タジキスタンにいるタジク人よりもアフガニスタンにいるタジク人の方が多いように、パシュトゥーン人もアフガニスタンよりもパキスタンの方が多いという、なんともいえないトリビアなのである。
パシュトゥーン人はパキスタンにおいては、パンジャーブ人(1億646万人)についで多く、パキスタン人口の11%程度を占めており、アフガニスタン付近にあるパキスタン北部に集中しているよう。
この地図では、緑色になっている部分、つまりパキスタンとアフガニスタンにまたがる一帯。わかりやすくいえば、同じ民族なのに、モンゴル国と内モンゴル(中国)に分断されたかのようなイメージもあるかもしれない。
50万人以下の民族
その他にも人口が不明だけどアフガニスタンに住んでいる民族は、ブラフイ人、グジャール人、そしてアラブ人(この中でも色々分かれるのだろうか?)、パミール人
最後に。アフガニスタン人はイラン人?
アフガニスタンはインドなどと一緒にされることを非常に嫌う。イランやタジク、つまりペルシア語を話す人たちである。という強いプライドがあるのである。これは非常に興味深い。多くの日本人がアフガニスタン=パキスタンやインド北部と同じ人たち?と思っていると思うのだけど、彼らからすれば、中央アジアでも南アジアでもなく、ペルシアの一部なんだ。という感じなのだろうと思う。
https://www.quora.com/What-do-people-of-Afghanistan-look-like
https://www.quora.com/Why-do-Afghans-dislike-being-associated-with-South-Asians
とはいっても人種によって様々な顔がある。なんともいえない。