ペルシア語・ヒンディー語

3つのペルシア語と、ファールシー語とタジク語の違いを10の例文で説明(90%一致する!?)

2023年3月29日

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3つのペルシア語と、ファールシー語とタジク語の違いを10の例文で説明(90%一致する!?)

2023年3月29日

日本人がペルシア語と呼んでいるものはイランで話されているファールシー語ではあるが、実はペルシア語と言った時、このイランで話されている言語以外にもタジク語やダリー語もペルシア語と呼ばれている。

どれもほぼほぼお互いに理解できるレベルの言語である。

ペルシア語=ファールシー語、タジク語、ダリー語。

なのでペルシア語という言い方をするよりも、イランで話されている言葉は、Farsi language(ファールシー語)と呼んだ方が、現地の人はしっくりくるだろう。

さて、この記事ではタイトルにあるように3つの言語を比較したいところなのだけれども、私が現在初級レベルを脱したのは、ファールシー語とタジク語なので、この二つの違いを10の例文から解説していきたいと思う。

驚くほど似ていて違いがあるようには見えないかもしれないが、この記事をきっかけにイランで話されているファールシー語だけでなく、タジク語(日本人にとってはイランよりも近く、割と簡単に行ける国)にも目覚めてほしいというのが私の願いである。

さて始めよう。

※以下で紹介する例文はどれも、ファールシー語(イラン)、タジク語という順番に書いていく。

 

①私は日本から来ました(日本出身です)。

man ahl žâpon hastam(من اهل ژاپن هستم)=エスメ ハフル ジャポン ハスタム

man az Çopon hastam(Ман аз Ҷопон ҳастам)=マン アズ チョポン ハスタム

I am from japan(私は日本から来ました=日本出身です)という例文を見た時、ファールシー語とタジク語では、man ~ hastam(私は〜です)まで全部同じ。また、日本を表すジャポンだったり、チョポンだったりもほぼ同じ。

タジク語の場合、az(英語でいう、fromという前置詞)を使っていて、英文とほぼ同じ構成になっているが、ファールシー語の場合は、ahl(市民=citizen)という単語を使って表しているのがポイント。

いずれにしても、90%は同じ単語を使っている。

 

②私の名前はタローです。

esme man Taro ast(اسم من تارو است)=エスメ マン タロ アスト

Nomi man Taro ast(Номи ман Таро аст)=ノミ マン タロ アスト

My name is Taro(私の名前はタローです)という例文を見た時、もうほとんど一致している。

エスメはアラビア語からきたname(名前)であり、ノムはソ連時代にタジク語がロシア語からとってきた語彙だと最初思ったが実はタジク語で使われているノムのほうが、古代ペルシア語からとってきている単語であり、現代ペルシア語のほうがアラビア語語彙をそのまま沢山使っているという現象も起きている。

 

③私はフランスに住んでいます。

man dar farânse zendegi mí-konam(من در فرانسه زندگی می‌کنم)=マン ダル ファランセ ゼンデギ ミーコナム

man dar Faronsa zindagī mekunam(Ман дар Фаронса зиндагӣ мекунам)=マン ダル ファランサ ズィンダギ メクナム

I live in France(私はフランスに住んでいます)という例文を見た時、これもまたもうほとんど一致している。

ここで一つペルシア語の簡単なところは、英語などのように動詞の種類が豊富ではない事。つまり、英語で言えば、live(住む、生活する)とそれ専用の単語があるところを、ゼンデギ(生活)+ミーコナム(する)で構成して一つの単語を作っている。

日本では、住む・生活する。と二つあるが、ペルシア語の場合はこのように二つもなく、後者だけという場合が多いので、ペルシア語の場合、名詞を強化する事でかなり多くの単語を自分で組み立てることが可能。

 

④私のアパートはここです。

※写真は、ホジェンドで1週間ほど借りていたキッチン付きのアパートホテル。

âpârtemâne man injâ ast(آپارتمان من اینجاست)=アパールテマーネ マン イーンジャー アスト

Kvartiram man dar in çost(Квартирам ман дар ин ҷост.)=クヴァルティラム マン ダル イン チョスト

My apartment is here(私のアパートはここです)という例文を見た時、ファールシー語ではアパルトマンという単語を使っていて、タジク語ではロシア語から流入したクヴァルティラを使っている。

my ●●を表す方法はファールシー語とタジク語でほぼ同じだけれども、若干違う部分もある。

ちなみに、ファールシー語の injâ(イーンジャー)の部分と、タジク語のин ҷост(イン チョスト)の部分は同じ意味である。ここでも、80%くらいは一致。

 

⑤みなさん、こんにちは!

salâm be hame(سلام به همه)=サラーム ベ ハメ

Salom ʙa hama(Салом ба ҳама!)=サロム ヴァ ハマ

Hello everyone!(みなさん、こんにちは!)という例文を見た時、もう方言レベルの違いとしか言いようがない。

 

⑥私は時間がありません。

man vaqt nadâram(من وقت ندارم)=マン ヴァクト ナダーラム

Man vaqt nadoram(Ман вақт надорам)=マン ヴァクト ナドラム

I don't have time(私は時間がありません。)という例文を見た時、これもほぼ一致していると思っていいかもしれない。

 

⑦あのとき私はパリにいました。

man dar in zamân dar pâris budam(من در آن زمان در پاریس بودم)=マン ダル イン ザマーン ダル パーリース ブダム

On vaqt man dar Pariƶ ʙudam.(Он вақт ман дар Париж будам.)=オン ヴァクト マン ダル パリズ ブダム

I was in Paris at the time(あのとき私はパリにいました。)という例文を見た時、ファールシー語では、in this time という表現をしていて、タジク語では、that timeという表現をしている。

また、in(〜に)という前置詞はどちらも同じダルで表現されている。

順番が微妙に違うくらいで、I was(私は〜だった)を両方とも、ブダムで表現しているので、85%くらいは同じと考えて良さそうだ。

 

⑧次の質問をお願いします。

Lutfan savoli navʙatī(Лутфан саволи навбатӣ)=ルトファン サヴォリ ナヴバティー

so'âl ba'di lotfan(سوال بعدی لطفا)=ソアール バアディー ロトファン

Next question please(次の質問をお願いします)という例文を見た時、please(〜してください)に相当するルトファン(ロフォファン)などが同じ。

実はこれペルシア語と言語系統の異なるトルコ語などにも使われていて、トルコ語がいかに基層言語のチュルク語や大きな影響をもたらしたアラビア語だけでなく、多くの人が考えるよりペルシア語の影響力が大きかったのか?ということが勉強するほどわかってくる。

ちなみに、question(質問)というのは、ファールシー語では、ソアール(アラビア語ではスアールなので似てる)が、タジク語ではサヴォリ(少しなまって形が変わっただけ)なので、いかにアラビア語の語彙力が色んな言語に浸透しているかがわかってくる。

ちなみに私のレッスンでは次の質問をお願いします。というときにそれぞれの外国語で言ってもらっている(笑)。

 

⑨トイレはどこですか?

※写真はホジェンドのおしゃれな小さな本屋さん。

dastšuyi kojâst(دستشویی کجاست؟)ダストシューイー コジャースト?

Hoçatxona dar kuçost?(Ҳоҷатхона дар куҷост?)=ホチャトホナ ダル クチョスト?

Where is the toilet?(トイレはどこですか?)という例文を見た時、トイレを表す単語が違うくらいで、どちらも、疑問形のwhere is(どこですか?)は発音は少し違うがどちらも同じ言葉だということがわかる。

 

⑩私は疲れました。

man khaste hastam(من خسته هستم)=マン ハステ ハスタム

Man monda şudam.(Ман монда шудам.)=マン モンダ シュダム

I am tired(私は疲れました)という例文を見た時、これは全然違うことがわかる。このように違うものも結構あるのも事実。→この記事を書くのも疲れましたわ。→2時間くらいかかりました。

 

最後に

ここまで生徒さんに一番最初に出す超基本フレーズの中から10の例文を紹介したが、この記事を読むことで以下のことがわかったと思う。

つまりペルシア語とは多くの場合、イランで話されているファールシー語の事を指すが、実はペルシア語(ファールシー語、タジク語、ダリー語)は同じ言語の方言レベルくらいの違いであり、明らかに英語とフランス語など、文章で言えば50%くらいは同じとも思える言語よりも、90%くらいは一致する言語だということなのである。

つまりどれもペルシア語だということだ。

もちろんここで出したのは比較的似ている例文であり、中には全く違うものも結構ある。それでもこの二つの言語の基本的な構造は全く一致するレベルであり、お互いに会話も通じ合うレベルである。

つまりペルシア語が勉強したいけどアラビア文字が読めないとか、実はタジキスタンに興味がある。ロシア語をかじってるのでキリル文字を読むのは得意!っていう人はタジク語から手をつけてみるのも一つの手かもしれない。

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