コロナ禍以降、明らかに世界のパワーバランスが変わってきている気がする。特に中国という存在が今まで以上に注目されなくなったことや、インドの台頭は何十年も言われてきたが、やっと本格化してきた印象など。
このランキングは学校などでの外国語教育とは少し違った視点、つまりアプリで気軽に勉強をしたい言語くらいの数字なのだけど、それでもこのランキングは時代や人々の変化が強く現れている指標にもなるのではないか?と思い書いている。
タイトルにもあるように、この記事で一番注目したい部分は英語圏で人気のある外国語TOP10である。それは一番下に載せることにしつつ、まずはDuolingoにおける世界で最も人気のある外国語のTOP10を2021年と2023年を比較する形で見ていきたい。
2021年、世界で最も人気のある言語(Duolingoアプリ内)
10位 ポルトガル語
9位 ロシア語
8位 中国語
7位 韓国語
6位 イタリア語
5位 日本語
4位 ドイツ語
3位 フランス語
2位 スペイン語
1位 英語
https://www.seogwipo.co.kr/news/articleView.html?idxno=210666
それが以下のように変化したのである。
2023年、世界で最も人気のある言語(Duolingoアプリ内)
10位 ヒンディー語
9位 中国語
8位 ポルトガル語
7位 韓国語
6位 イタリア語
5位 日本語
4位 ドイツ語
3位 フランス語
2位 スペイン語
1位 英語
1つ目→中国語の順位が下がったこと。1位くらいの下落でしょう?と思うかもしれないが、韓国語は下落していないのである。中国にとって韓国は人口規模で言えば自国の省である広東省や山東省の半分程度の人口。そんな国の言語が中国語より上。ということ自体が注目する点だ。
もちろん世界レベルで学校教育などの英語の次に学ぶ第二外国語などでは圧倒的に中国語を勉強している人が多いと思うが、こういう自分が好きで勉強したい。が強く出るアプリでは、世界における中国=経済・仕事のため、韓国=若者にとっての憧れの国+出稼ぎ先。というイメージが顕著に出ているのかもしれない。
2つ目→そして注目する点。それはヒンディー語の台頭だ。2023年、日本の天皇がインドネシアに急遽行くことに閣議決定され、それと同じタイミングでインドのモディ首相が国賓としてホワイトハウスを訪問。
これまでインドが台頭するとはずっと言われてきていたが、中国への投資が引き上げられそれが東南アジアやインドの方に流れていく流れがコロナ禍後本格化している印象があり、この流れの中でヒンディー語の順位が上がったのではないだろうか。
3つ目→ロシア語の衰退。ロシア語がTOP10から消えてしまった。これはまた上がる可能性もあるので注視が必要。世界レベルでロシア語の学習者は減っていくと思う人もいるかもしれないが、ロシア語圏に長くノマドしている私の観察としては、ロシア語はロシアではなく旧ソ連圏の一部の国で財産になっている部分があり、彼らはおそらくそれらを手放さないだろうと思っている。
2023年、英語圏で人気のある言語 TOP10(Duolingo調査)
10位 アラビア語(468万人)
9位 ロシア語(553万人)
8位 中国語(628万人)
7位 イタリア語(816万人)
6位 ヒンディー語(835万人)
5位 韓国語(1180万人)
4位 ドイツ語(1190万人)
3位 日本語(1380万人)
2位 フランス語(2000万人)
1位 スペイン語(3340万人)
これまでのランキングと違い、当然なのだけどこれは英語話者(このアプリでは英語に切り替えた人たち)が学んでいる外国語なので当然英語は入っていない(中にはDuolingoに自国の対応する言語が入っていなく英語設定で勉強している人も数多くいるかも)。
世界で学ばれている総合ランキングと、英語話者が学習しているランキングが若干違うことに気づいただろうか。まずこのランキングで一番驚くべきなのは韓国語の学習者の数である。韓国は日本の人口の半分以下なのにもう少しで日本語を超えそうな勢いまできていること。
そしてこれまでどこの世界言語ランキングでも日本語がドイツ語を超えたことはなかったが、英語話者が学習する言語ランキングではドイツ語を抜いて日本語が3位に躍り出た。
しかも英語圏で今まで不動の地位だったフランス語は年々スペイン語との数字も広がり、日本語がもう少しで迫りそうな勢いにも見える。
あくまでこれはDuolingo という一つのアプリ内で起きている現象だが、少なくても今後10年後の世界は今とは違ったランキングになっていると私は予想する。
日本語と韓国語の地位が上がった理由
※写真は2022年、パリ→ソウル時に仁川空港で撮影した電子版の絵
まず日本は長年経済大国として働くだけの国というイメージが強かったが、ここ20年くらいで日本の文化に対する理解や旅行者が増えたこと、また周辺国が豊かになったことでそれらの国にいる富裕層(中間層含め)の数が日本にこぞってくるようになった。
これらの国で富裕層が増えるとさらに日本語を趣味で勉強したいという人が増えると私は予想する。
そして若者の間では韓国語が人気なのだけど、これは日本人として決してライバル視することではなく、韓国に興味を持って韓国に行った外国人が日本にも興味を持つことがほとんどであり、同じ北東アジアの国として、北東アジアを共にアピールすれば良いと思う。
Duolingo の調査によると、フィリピンやモンゴルではそのほかのアジアの周辺国が英語を一番そのアプリ内で学んでいるのとは違い、Duolingoで一番学んでいる言語が韓国語という現象も起きている。このアプリ自体が年齢層も偏っている場合もあるが、これらの人間が今後成長して国を仕切るようになってくるので、決して若い人だけの話でしょう?では語れないと思う。
私が思うに、従来中国人などが日本で就職したりするために日本語をたくさん勉強していた時代とは違い、経済や働く場所として以外の、つまり自由民主主義や、日本にしかない独特な文化面に惹かれ勉強する人が増えていくのではないか?
特にアジアでは言論統制や宗教絡みで自由を謳歌できない国も多く、そういう人たちが自由のある日本に憧れるという形で日本語を学ぶ人が増えるのではないかとも思う。つまり、生き方。に照らし合わせて自分が好きな言語を学習する人が今後所得の増加と共に増えていく気がする。
韓国も国が小さいとは言えど、アジア圏内では出稼ぎの国、他の周辺国に比べれば自由がある国であり、こういうところをアジアの若者は見ているのだと思う。
また、フランスに1ヶ月いて気づいたのだけれども、欧米における日本への評価がずいぶん変わった印象があり、特に今のマンガ世代の若者を中心に、日本語学習者は今後さらに増えていくと予想。
おまけ。
イタリア語の数字も見逃せない。イタリアはスペイン語やフランス語と違い、億単位の言語ではないにもかかわらず、ずっとこの地位を保っている。数字に踊らされず、魅力あるイタリア語を日本人がもっと学ぶのも一つの手かも。