以前から書こうと持っていたが書けていなかったTOAFL(外国語としてのアラビア語試験)の初級における概要。アラビア語の生徒さんとよく話題になったりするが、あまりこの試験について今まで深掘りをしたことはなかった。
私のアラビア語レッスンは長期継続の方が多いのでフレーズ以外にもこのような問題を私自身が自作できるように。という意味も込めて今回この試験の概要についてまとめることにした。特に生徒さんにはTOAFLのA1-2(初級マスター)を目標に今後レッスンを進めていくのもいいかなと思っている。
初級(A2だと1500単語程度は習得)といっても旅行や生活における大まかな話ができるレベルなので、これだけで凄い事であり、意外と思った以上に簡単ではない。ということも先に付け加えておく。
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①CEFR(セファール)基準のTOAFL(外国語としてのアラビア語試験)とは?
TOAFL(Arabic Language Proficiency Test)とGoogle検索してもなぜかTOEFLに直されてしまう。ましてや、wikipedia でTOAFLを検索してもインドネシア語版だけしかでてこない。日本ではアラビア語の不人気によりアラビア語検定自体が廃止になってしまったし、世界中でもTOAFLという試験はあまり認知されていないように思える。
「「アラビア語検定」が廃止されてしまった理由と「6級」レベルで十分な理由」
この試験はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)=欧米で決められたレベル分け(ヨーロッパの言語の多くがこのルールに基づいて試験を作成するようになった)
そしてTOAFLというのは英語のTOEFLのように認知度を高めるためにTOAFLというサイトにしているが、実際その中身は2011年に設立されドイツ(ライプツィヒ)を拠点とするAL-ARABIYYA-INSTITUTE(アル ・アラビーヤ研究所)が運営しているテスト。=ドイツにはアラビア語話者が多いのが理由だと思う(難民や出稼ぎで)
とはいっても、2022年にサウジアラビアの王室が、ArabicCompetencyTest (アラビア語能力テスト)というものを新設。おそらくこれが今後の外国人としてのアラビア語測定に使われていくものと思われる。
いずれにしても現段階ではこのTOAFLがアラビア語試験における判断材料になっている模様なので、初級における問題を紐解いていきたいと思う。
②料金など、内容
15分(初級=A1-A2)で答えなければならない。→ほとんどの人がここを受けるのでこの記事ではこの内容に沿って解説していきたいと思う。→上記にも書いたが、語彙レベルで言えば1500-2000程度であり、食べ物、趣味、家、学校などの話題、つまり日常の大まかなことが言えるレベル
以下参考にA2の英語単語リスト。これをアラビア語で言えれば良いというもの。
https://www.cambridgeenglish.org/images/506886-a2-key-2020-vocabulary-list.pdf
ちなみにTOAFLの料金がめちゃ高い。
159ユーロ(25000円)=スピーキングが含まれていないテスト
399ユーロ(62366円)=方言、スピーキング込み
以下、試験でそれぞれのパートを解説していくが、日本語に直せば全て簡単な内容である。それでもアラビア語をアラビア文字できちんと読み取る能力が要求されることや、15分という制限された時間の中でやらなければならないので、それだけの語彙を瞬時に理解する力が必要になってくる。
では以下、7パートあるので解説していこう。
③【問題1】会話を聞いて、3つの質問に答える問題
以下の対話を聴いください。という問題
二人の友人は何を注文しましたか?
お菓子→3つの四角から選択
飲み物→5つの四角から選択
食事→9つの四角から選択
43秒程度の会話を聴きながらそれぞれの問題に答えていくもの。このサンプルテストでは、自分が食べるものや、アラビア語圏でよく食べられている、飲まれているものの単語をよく知っていないと答えられない問題。パート1は、生活に根付いた問題だと思う。
④【問題2】他の単語に当てはまらないものを探す問題
他の単語に当てはまらない単語を選択してください。という問題。
例えば、ここには5つの問題があるが、一番上の問題は5つの単語が並べられている。
教授・研究者・科学者・博士・所長。
つまり、ここでは所長が当てはまらないことになる。それ以外は勉強をすることでお金をもらっている人たちという共通点がある。
2つ目の問題も、
キッチン・オフィス・ 混乱 ・モスク・カフェ・研究室
このようになっており、ここでは場所の名前ではない混乱。という単語が当てはまらない。ということだ。
⑤【問題3】絵の中で最も近い都市と最も遠い都市
この図の中で最も近い都市と最も遠い都市はどこですか?という問題
ダマスカス ⇒ 20km
ベイルート ⇒ 300km
アンマン ⇒ 300km
バグダッド ⇒ 400km
ジェッダ ⇒ 600km
アラビア語の中身はこのようになっている。
これは旅行に行った際に電車の時刻表などをきちんと見れるか?といったものを測定するものだと思われる。
都市名がわからなくても上にきちんと表示されているので、数字だけできれば解ける問題。
⑥【問題4】ニュース速報を読んで、表示されているニュースを選択
ニュース速報を読んで、表示されているニュースを選択してくださいという問題
よく渋谷や電車の中、空港内にありそうな電光ニュース。ニュースの見出しがいくつか流れてくるスタイル。つまり一つの話題が流れてくるわけでなく、いくつかのニュースの見出しが流れてくるので、それらと関係あるものは全て選択しなさいという問題。→ちなみに4つまでしか選択できないので4つ選択しろということなのだと思う。
⑦【問題5】短い文章を読み、それぞれ2つのオプションから1つ答えを選ぶ問題
正しいオプションを選択してください。という問題。
このサンプル問題では、イスラム大学。について簡単に書かれている。→新入生のためにどんな大学なのか、例えばどんな学部があるのか?などを簡潔に書いてある。
ここでは9つの空白部分をクリックしながら二つのオプション(選択肢)の中から一つ答えを出していくというもの。
例えばオプションはこのように似た単語が多い。特に文法的な語尾をきちんと理解できているのか?がここで測定される。なので初級文法をしっかり鍛えておくことがこのパートをクリアする鍵となる。
⑧【問題6】5秒程度の音声を聴き、四桁の番号を聞き取る問題
音声ファイルを聞いて音声を選択してください。
ここでは二つの問題がある。スピーカーのボタンを押すと5秒にも満たないような音声が流れる。何を言っているのかというと、1901など、4つの数字を言っているだけである。
そしてこれらの中から選んでいくというもの。つまりこのパートは、〜年。などが言えるようになるためのパートと言ってもいいかもしれない。
⑨【問題7】一番下にある5つのキーワードをそれぞれに埋めていく問題
以下の該当する語句を空欄に記入してください。 (動きなし)
ここでは、王国での新しい大学の開校のような内容のもの。これらの空白に以下の5つの単語を埋めるものなので、意味が理解できるか?に加え、アラビア文字を入力できるか?ということも測っていそうな気がする。
⑩最後に
ほとんど受けることのないTOAFLだとは思うけれども、こういうCEFR基準のテストがあることで、少しはアラビア語学習者のやる気が出るということにこの記事が貢献できていれば幸いである。また私のレッスンでもこのような問題はどんどん取り入れていきたいと思う。