現在取り組んでいるタジク語。
とはいっても、タジク語は以下にも書いていくが実はペルシア語の方言的な位置付けなので、私にとって読解はスイスイ理解。
また今までやってきた言語の語彙もたくさん入っている言語なのでやっていて楽しいと感じる。
さて、数年前なら見向きもしなかったタジク語。
この言語は私が学んでいる言語の中でもキルギス語と同じくらい日本でも教材がない言語で、そういう意味では厄介でもある。
モンゴル語ならまだ日本でも参考書が売っているが、さすがにタジク語やキルギス語は見ないよね。
そんな言語に手をつけられるのはやはりそれに似た言語を一度やっているからだと感じる。
そうじゃないと手をつけようとすらしないような、そういう言語。それがタジク語だ。
この記事では、タジク語の勉強がどんな感じで進んでいるのか?どんな特徴があって、私自身何を理由に学んでいるのか?など簡単に書いていきたいと思う。
またその中からメリットがあるのかないのかも最後に書いていこうと思う。
①タジク語とペルシア語の関係
まずここを理解しないとタジク語というものがよくわからないと思う。
簡単に言うと、タジク語とはペルシア語である。ペルシア語というのは、以下の3つの言語の総称と考えていい。
ファールシー語(イラン)
ダリー語(アフガニスタン)
タジク語(タジキスタン)
そしてこの中でイランが圧倒的に人口が多いので、イランで話されているファールシー語がペルシア語と呼ばれることが多い。
でも彼らはファールシー語と言っている。
現在のようにタジキスタンが独立する数十年前まではこのタジク語やアフガニスタンのダリー語はイランの人たちにとっては方言扱いされていた。
けれども面白いのはイランで話されているファールシー語よりもタジク語のほうが実は古いペルシア語であり、ファールシー語が捨ててしまったような文法が残っているため、タジク語の方が難しいと言われている。
これは英語でも読んだし現地の英語が話せる人にも聞いたが、つまりタジキスタンのタジク人は話すことはできなくてもファールシー語を聞いて理解できる。
一方でイラン人はタジク語を聞いて理解することは結構難しいということ。
ちなみにそういった簡単な違いについては簡単なフレーズを元に少し検証してみたこともある。
「3つのペルシア語と、ファールシー語とタジク語の違いを10の例文で説明(90%一致する!?)」
②タジク語は実は、ウズベキスタンの言語?
ここは結構ポイントなのだけどウズベキスタンには実はかなり多くのタジク人が住んでる。
彼らは表向きはウズベク人と名乗ることもあるがタジク人としての強いアイデンティティを持ち、ブハラ、サマルカンドなどウズベキスタン南部には80%以上住んでいるとも。
実際に私がブハラとサマルカンドの街を歩いて思ったのは、タシケントにいるようなウズベク人よりも頭が小さくスタイルが良く、簡単に言えば男女ともにモデル体型の人が多かった。
さて、タジキスタンで話されているタジク語の標準語はこのウズベキスタンのブハラ方言である。
ブハラという土地がもともとタジク人(都市部のタジク人)の土地だったこともあり、タジク語=わざわざタジキスタンに行かないと使えない言葉ではなく、日本からも直行便があり割と行きやすいウズベキスタンでも使える言葉なのである。
とはいってもブハラの書店でタジク語の本を探したが売っていなかった。というのが興味深かった。
私は次回ウズベキスタンに行くならこのブハラ界隈でタジク語を使いに行くと思う。
こういった楽しみがあるから私にとってタジク語は夢がある。
②アフガニスタンという可能性のある国と、人種の多様性
将来、アフガニスタンの治安が、よくなる。よくならない。これは誰もわからないことだ。
けれども私はこのように可能性のある国には興味がある。
特に私は中央アジアでよくアフガニスタン人と出会うが、私は結構彼らに興味を持っている。
ビシュケクのジョージア料理店で働く青年やアルマトイのスマホショップにお客としてきていたアフガニスタン人男性、花売りのアフガニスタンのオジハン。ドゥシャンベでSNSを聞いてきたアフガニスタン人男子。
思い出せるだけでも割と多くのアフガニスタン人と交流してきている。
そんなアフガニスタンではパシュトー語も使われているが、ダリー語の使用率が77%であり、圧倒的にタジク語とよく似た言語が優位な状況。
ちなみに、この国には多きく分けて4つの民族が集まる不思議な国なのだけど、その中にはモンゴル人の血を引いた我々日本人にも近い民族も。
「アフガニスタンに住む日本人似の「ハザーラ人」が差別(迫害)される理由」
タジク人も非常に惹かれるところがあるが、アフガニスタンはタジクの南部と国境を接しており、まだまだ先ではあると思うが将来国が安定したらこのタジク語を使って行き来できるかも?と思うとワクワクである。
③タジク語=ヒンディー語+アラビア語+ロシア語+キルギス語?
タジク語を勉強しているとこれでもか?というくらいアラビア語とヒンディー語の単語が出てくる。
以下、
タジク語=ヒンディー語の単語
probably(おそらく)=шояд(ショヤド)
salt(塩)=намак(ナマク)
white(白い)=сафед(サフェド)
まだまだ書いきれないくらいあるが、インドのちょうど真上にあるタジク語が、特に昔からある単語で共通の単語が多くみられるのである。
タジク語もヒンディー語も、インド・ヨーロッパ語族の、インド・イラン語派なので基本的なところでは似ていることが多い。
その次に、タジク語はアラビア語の影響を受けているため、アラビア語単語の復習にもなる。
タジク語=アラビア語の単語
human(人間の)=инсон(インソン)
presentation(プレゼン)= муаррифӣ(ムアッリフィー)
animal(動物)=ҳайвон(ハイヴォン)
shoulder(肩)= китф(キトフ)
body(体)= бадан(バダン)
nature(自然)= табиат(タビアト)
これはもう興奮レベルであり、アラビア語がわかるものにとってはアラビア語の単語がキリル文字でそのまま同じ音で書かれているだけなので非常に楽しいのである。
タジク語=ロシア語の単語
factory(工場)= завод(ザヴォト)
furniture(家具) = мебел(メベル )
shower(シャワー)= душ(ドゥーシュ
festival(祭り)= фестиваль(フェスチヴァリ)
museum(博物館・美術館)=музей(ミュゼイ)
station(駅)= станция(スタンチヤ)
wine(ワイン)= вино(ヴィノ)
そして、もともとタジクの土地にはなかったようなものの概念はロシア語で表される。
これだけじゃない。タジク語とキルギス語は言語系統がそもそも違うのにもかかわらず、タジク語にもキルギス語が結構流入している。
タジク語=キルギス語の単語
lake(湖)= кӯл(クール)
sky(空) = осмон(オスモン)
wind(風)= шамол(シャモル)
もともとキルギス語だったものからタジク語に流入した単語は、自然界にもともとあった単語が多い。
中央アジアという土地はテュルク系民族とタジク系民族が衝突を繰り返した歴史があるのでその中から混ざったのかもしれない。
これら(ヒンディー語、アラビア語、ロシア語、キルギス語)の言語を全て結構いいレベルまで勉強している私からすれば、タジク語はこれらの単語が集まった言語ということもあり割と読みにおいては簡単であるし、やっていて非常に楽しい。
ちなみに上の写真はドゥシャンベにアパートを借りていた時読んでいた絵本など。
これらをチェックしているだけでも今まで学んできた言語の単語が多く出てきて、結構癒されてしまう。
④タジク語は、ノマド拠点としての言語?
※写真はドゥシャンベ中心部の公園で撮影。タジキスタンにはペルシアのイメージがつくオシャレさが溢れている。
私が海外ノマド生活で拠点としている国はいくつかあるが、その中でもタジキスタンは住みやすい国だと感じた。
現在はビザ延長など面倒な手続きがあり頻繁に行きたいとは思えないが、将来もっと長期で滞在できる国になればウズベキスタン南部と合わせて半年くらいはこもっていたいとも思える国。
また以下でも書いたが、
「「ドゥシャンベ」で1ヶ月間のノマド生活。物価や、交通、家賃、見どころ、借りたアパートなど」
ドゥシャンベはタシケントやブハラ、サマルカンドなんかよりもかなり気に入った。
市の中心部は歩きやすくストレスのない生活を送ることが可能だし、週末には都会ではみれないような人々の生活や自然を堪能したりすることも可能。
またイランのように人種的にも日本人と離れすぎている感じもないので、割とまだ馴染みやすい国だ。
⑤タジク語の特徴
上にも少し書いたが、私が思うタジク語の特徴だったりメリット?だったりは以下。
文字=キリル文字。→ロシア語で慣れてるので読みやすい。
キルギス語と同じチュルク語源の単語が少なからず存在する。→ここ一番やってて楽しい発見。
語順=日本語と同じだが、助詞の使い方は膠着語のような特徴ではなく、その部分だけ西洋語のように、前置詞を備えている。
思った以上にアラビア語(フスハー)から語彙を取り入れている。→アラビア語学習者にとっては興奮する言語。
語彙は、ペルシア語と90%は同じ。
近代語彙?にはロシア語語彙も入っている。
中央アジアを理解するためにはチュルク語とタジク語の理解が必要なのでそれも解決できる。
ペルシア語と似てるので、ヒンディー語の語彙とも20%くらい被っている印象。
キルギス語は膠着語なので日本語のように、食べると、食べたら、など、語尾につく音の変化を覚えなければならないが、タジク語にはこういう面倒さがないので、英語を外国語のベースとして考える私としてはすごい楽だと感じている。
⑥美女、美男が多い(メリット)
ありきたりな話だが、言語力を伸ばす上でもっとも重要なパートである。
タジキスタンにはキルギスやモンゴルにもいないようなタイプのエキゾチックなイケメンが多い。
これは非常にモチベーションになるし、あたらしい世界で生まれ変わったかのような体験ができる。
女性もモデルのような人が多い。特に顔の小ささと体型はやはりここは欧米とアジアの本当に中間なんだなと感じる。
キルギスの場合は完全にモンゴル系寄りの人が多いため、また違った意味での美女美男が多い。のとは違う良さがタジク人にはある。
⑦タジク語を勉強するメリット
ロシア語をかじっていてキリル文字が読める人。またアラビア文字よりも圧倒的に読みやすいキリル文字でペルシア語を学びたい人などには向いている。
なんといってもファールシー語は日本でも参考書なども結構売ってるし日本人がイメージする本物のペルシア語というのもあるが、タジク語も立派なペルシア語である。
またよく欧米人、特にアメリカ人はイランに行くのが難しいので、ペルシア語を勉強したいアメリカ人がタジキスタンに行くという話も耳にする。
イランは行くのにビザが必要だったり、イランに行くとイスラエルに行けなくなるなど色々な制約がある上インターネット規制、クレジットカードが使えないのでドルを持っていかなければならないなど気軽に行ける国ではない。
ということを考えたらタジク語から始めてみるのも一つのやり方だと私は思う。