ドイツ語と聞くと発音が簡単(実は学び始めると難しいと感じる人が多い)とか、英語と似てるから習得簡単だよね?と最初は多くの人が思うかもしれない。
けれども英語とドイツ語はゲルマン語派という同じカテゴリにも関わらず文法はそれほど似ていない。特に語順が全然違う。
イギリスとフランスの長い交流によって英語とフランス語の方がむしろ語順も単語の形も全く同じであることが多い。
それはドイツが昔からあった文法などを今に至るまで残しているからとも言われている
さて、ドイツ語のレッスンの数も増え、私もやっとこの記事を書けるに至った。
ドイツ語を学び始めようとする人たちにとってまず重要なのが英語から見たドイツ語である。
英語という国際言語とドイツ語を比較することで、ドイツ語の向上に繋がるし、何よりも英語のレベルを上げたい人にとっても、ドイツ語の文法を知っておくだけでも、英語と比較することで英語って実はここが省かれてたのね、削れてたのね。ということが見えて来るのでドイツ語の文法を勉強することはお勧め。
さて、この記事ではそこまで長ったらしくは書かないで、文法上でドイツ語と英語の大まかな違いをざっくり紹介していきたいと思う。
※ちなみに現在スペインから私のドイツ語レッスンを受けている若い生徒さん(多言語を学ばれている方)は、以下の10のことを何も見ずに説明できる。
①性別
英語にはそれぞれの名詞に性別がない。けれども多くの人が知っているようにヨーロッパの言語の多くには、男性名詞、女性名詞の二つがあることがほとんどで、ドイツ語は中性名詞まである。
the(英語における定冠詞の場合)
男性=der デーア
女性=die ディー
中性 das ダース
まずはカタカナなどで読み方を覚えてたくさん触れることが重要。
②格
ドイツ語には4つの格がある。とはいえ、ロシア語学習者にとっては簡単に見えてしまうほど規則正しいので、ここは構えなくてもいいところ。
③動詞の位置(助動詞と使う時)
When can we meet?(英語)
Wann können wir uns treffen?(ドイツ語)
英語の場合、助動詞と動詞はそのままセットでつながっているかのように続いている。これはフランス語でも同じだ。
けれどもドイツ語の場合、助動詞と動詞が同じセンテンスに入っている時、動詞は一番後ろにくる。
ここは慣れれば簡単であり、生徒さんもすぐに習得しているものの、最初のうちはなかなか頭に定着しないのも事実。
④複数形の数
英語では基本的に、-s がつくと複数形。という非常にシンプルな構造となっている。
じゃ、簡単な中国語は?複数形なんてない。。日本語でもそう。犬が好きだ。という時英語では、I like dogs というが、日本語には複数形ってあまり出てこない。
けれども西洋語では複数形はきちんと示すことが多く、ドイツ語がその代表的な例かもしれない。
上にあるように、
①無語尾型=変音するパターンとそうじゃないパターンに分けられる
②E型=変音するパターンとそうじゃないパターンに分けられる
③ER型=変音する
④N型=変音しない
⑤S型=変音しない(ここは英語と同じ語尾だね)
じゃどうやって覚えるか?
私の場合、これらの5つのパターンは一度ノートに写すとか、目を通すとか、把握して、5パターンは何も見ないで言えるようにしておく。
そしてドイツ語の例文を何度も見てるうちに、それぞれの単語が複数形になった時にどのパターンに属するかは慣れで分かって来る。
でも、この慣れ。というのは普段から例文を気をつけて読んでいる人にしか訪れないので注意。
また量も人一倍読んでいる。
⑥名詞が繋がるのは、日本語と同じである
英語だと、Ice cream(アイスクリーム)という一つの単語でもスペースがあくことがある。例えば、English teacher(英語教師)も一つの名詞扱いなのだけど、ドイツ語では日本語と同じように繋がるので、日本語と同じと考えれば良い。
英語教師(日本語)
Englischlehrer(ドイツ語)
English teacher(英語)
よくドイツ語は一つの単語がつながっていて読みにくいと言う声を聞くが、日本語と同じじゃんって。
Internet speed = Internetgeschwindigkeit
インターネットのスピードではなく、インターネット速度なので、一つの単語扱い。
英語の発音を教える時も、こういう形容詞+名詞なのか、set phrase(いくつかの単語の組み合わせで一つの名詞扱いするのか)で変わって来るので、実は英語でもここは重要なところなのだ。
⑦分離動詞
ドイツ語には分離動詞と呼ばれるものがある。
umziehen = to move(引っ越す)ということなのだけど、um+ziehen で構成された動詞である。
ドイツ語に分離動詞という概念がない場合、以下のようになると思うのだけど、ドイツ語の文法ルールとして後者のように分離させないといけない。
Sie bald nach Osaka umziehen. = She soon move to Osaka(彼女はもうすぐ大阪に引っ越します)
↓
Sie zieht bald nach Osaka um. = She soon move to Osaka soon(彼女はもうすぐ大阪に引っ越します)
けど、またややこしいことに、助動詞がきた場合は、分離しない(笑)。
Sie muss bald nach Osaka umziehen.
その言語にしかないルールって意外と習得できると楽しいもの。
⑧5W1Hに前置詞がくっついた単語がある
Where are you from?(どこから来ましたか=ご出身はどちらですか) = Woher kommst du?
この場合、where に相当する、wo と、〜へ。を表す her というものがくっついて、woher = どこから。という一つの単語がデフォルトで存在する。
Where is the restroom?(トイレはどこですか)= Wo ist die Toilette.
この場合は、単純にシンプルは、wo だけで表す。
Wohin geht er?(彼はどこへ行くのですか)= Where is he going?
この場合も、wo + hin であり、上にあげた -her と、-hin の概念がに過ぎていて躓いている人が多い。
⑨副詞を置く場合、動詞が主語の前に来る
Heute bin ich sehr müde. = Today I am very tired.(今日はとても疲れています。)
これはドイツ人も解説している。英語にはないルールなのでこれも生徒さんがなかなか忘れてしまっている部分である。
https://jap-deu.com/german-word-order-temporal-kausal-modal-lokal
⑩否定の位置
ここではよく使うであろう、I don't speak German(ドイツ語を話しません=話せません)を見てみようと思う。
"Ich spreche kein Deutsch" 約 37,900 件=動詞の後に置く=日本語のように、話せない。となり、日本語と語順がここだけ同じ。
"Ich kein spreche Deutsch" 約 70 件=英語のように動詞の前に持って来ると、検索結果数はこれほど下がる。
⑪代名詞によって助動詞の形も変わる
これは西洋の多くの言語で残っている現象でもある。
I can go(私たちは行ける)=Ich kann gehen
You can go(あなたは行ける)=Du kannst gehen
We can go(私たちは行ける)=Wir können gehen
英語ではどの代名詞にしても、can(現在形)か、could(過去形)にすれば良いという単純な仕組みとなっているが、フランス語やドイツ語をはじめ、アラビア語なども助動詞の形まで変化してしまう。
この変化に慣れていると、英語は簡単に見えてしまうほどだ。