現在ドバイで執筆中。2015年あたりから住んでみたかったカイロ。そう私は今カイロに向かう途中でドバイのアパートメントホテルに数日間滞在している。
今まで私のブログのドラフト(下書き)にもドバイの裏事情は書いてあった。それが今回の滞在で自分なりに感じた部分も多かったので、ドバイの裏側事情と現地で私が見た人種的な部分を書こうと思った。
さて、世界中の人たちがイメージするドバイとはどんなものだろうか。日本人からすればセレブが行くお金持ちの場所で、世界最大規模級の超高層ビルに7つ星ホテル、富裕層の欧米人がバカンスを楽しむとか、そういうイメージかもしれない。
特にアラブ人が高級車を乗り回して、たまに乗り捨てして、車好きの人にもかっこいい場所!と思えるかもしれない。
実際私が「今ドバイにいるよ~」っていうのと、「今韓国とか、中国にいるよ~」というのとでは反応がかなり違うように、一般の日本人にとっては、ドバイというのは、NYなども超える最先端で、手に届かない場所と言うイメージが少なからずあるのではないだろうか。
けれどもここ(UAE)における歴史や、王室の始まり、現在の社会システムを知ることで旅行に行く前でも行った後でも、ドバイのことがより分かるようになるのではないか?と思う。
それを知らずに行くと、何もあまり印象に残らない都市になってしまうかもしれないからね…(;^_^A
さて、ドバイ(UAE)に関する知られていない部分を書いていきたい。
①5人に3人はインド人という現実
まずドバイとは首長国であり、アブダビ首長国などとともに、UAE(アラブ首長国連邦)を構成している。つまりUAEで一つの国である。
UAEは、2005年はたった410万人しかいなかったのにたいして、2018年は二倍の950万人にも人口が増えている。
その国籍などの内訳が以下。
Demographics of the United Arab Emirates
1位のインド人は、インド人38.2%に加え、もともとインド帝国で一緒だったパキスタンや、バングラなども含むので、約60%にもなっている。
つまり、UAEは事実上インド人の国なのである。そこにUAE市民という130万人くらいの序列ナンバーワン市民が君臨するという構図。
なので地下鉄に乗っていると、まずアラブ人はいない。アラブ人は車に乗り、それ以外の人たちは地下鉄やバスに乗るという感じ。
その中でも電車の中でよく目につくのは、インド人。で聞こえてくる言語もそのほとんどがヒンディー語。そして、あれ、日本人に少し似てるかなと思ってみて見るとフィリピン人。という感じ。
東アジア人は、100人いたら、5人もいない。これがドバイの現状。ましてや地下鉄にアラブ人も、東アジア人並みにいない。
②ドバイは、実はリッチではない
Olga OzikによるPixabayからの画像
UAEはアブダビの面積がほとんどを占め、国家収入の8割がアブダビともいわれているので、事実上、UAEのことをアブダビと呼んでもいいのではないだろうか。とも思ったりする。とはいっても、外国人にとって超高層ビルが乱立するドバイのほうが知名度は高い。
また、ドバイ首長国はUAEの中でも面積が物凄く小さく、そこを外国人に開放しているイメージ。つまり中華人民共和国にあるものすごく小さな香港という特別行政区のようなイメージかもしれない。
アブダビ市は東京で、ITの社長や石油系の社長などが多く、ドバイ市は大阪のようなもので外国人に開放した都市ではあるが、アブダビには敵わないという。
※アブダビ首長国の面積は広いが、アブダビ市の面積は狭い。赤枠の部分がアブダビ首長国で、面積の8割がアブダビだということがわかる。その中にアブダビ市という小さい都市があるイメージ。ドバイでは出ない石油が出るため、国家収入の8割がアブダビなのだとか。
そう考えるとドバイはリッチじゃない。とも言える。歩いている人は5人に3人がインド人であるし、旅行で行く限られた場所には海外からのセレブがやって来るものの、普通に地下鉄などで移動してもそんな光景を目にはしない。さて、どうだろう。ドバイの高層ビルがすべて低層ビルになったら、一体何がドバイを惹きつけるだろうか?おそらく海外旅行者の半分くらいはドバイに来なくなるだろう。
ブルジュ・ハリファ(828.9 m)のような超高層ビル。や、巨大な7つ星ホテル、世界最大規模のモール、派手なものをどんどん作りそれが観光客を惹きつけているだけで、それが無くなったら文化も何もない砂漠の地。それが私が今感じている印象だ。
なぜなら、色々な場所を歩いてみたが、文化も何も感じないただ最近できて外国人を寄せ集めただけの場所にしか思えないからだ。
③自殺も。インド人の悲し現実
「UAE indian suicide」などと検索すると、「10代のインド人がUAEの高層ビルから飛び降り自殺」とか、「シャルジャのホテルで首つり自殺したインド人が見つかった」とか、色々な記事が出てくる。
ITにしても、建設業にしても、人口が多く優秀な人が多いインド人なしではUAEの経済は回らない。とはいっても、このコーランが鳴り響くイスラム教の国でアラブ人からは見下げられ、また長時間労働などで病んでしまう人も多いようだ。
特に中東人にとって日本人と韓国人の顔の違いが分からないように、日本人にとってアラブ人とインド人という微妙に似ているけど似ていない人種間でこのようにヒエラルキーが存在するのは、耐えがたい苦痛とも言える。
「なぜアラブ人とインド人は見分けがつかないのですか?また、どちらが優秀ですか?【海外の反応】」
またインド人と言っても、IT系などのホワイトカラー労働者もいれば、高層ビルの建設、清掃業などのブルーカラー労働者もいるので、インド人同士の間でもヒエラルキーが存在する。
それでもインド国内では、彼らは成功者なのである。ドバイという収入が高い国に何年も住みながら仕事ができるということ。これはフィリピン人の出稼ぎ労働者にも当てはまる。
とはいってもインド人がアラブ人の二倍いるようなこのドバイではヒンディー語の表記は全くないのも面白いところ。
ちなみにオールド・ドバイ(一応ドバイでも有数の繁華街)などの街を歩けば、インド人しかいなく、アラブ人はほとんどいなかった…。
④フランスと日本を呼び込む戦略の理由
ドバイ・モールにある紀伊国屋書店はUAEで一番大きい書店である。英語の本を中心に、アラビア語の本がずらりと並んでいる。その中で紀伊国屋書店なので日本語のコーナーもあるが、それよりも大きいのはフランス語のコーナーである。
アラブの世界ではモロッコやアルジェリア、チュニジア、レバノンにフランス語話者が多いように、旧植民地だったこともあり、フランス語のステータスが高い。
フランス語できる=上流階級というのは、当時日本の統治下にあった韓国で高い地位にあった人たちほど日本語が達者だったという感覚に近いかもしれない。
なので欧米の世界ではフランス語の地位は揺るがないが、アラブでも同様、フランス語への憧れは日本以上に強いのではないか。とさえ思う。なぜならアラブ人は日本人と違って人種的にも欧米人寄りだからだ。
さて、もう一つ。アブダビにルーブル美術館があるのをご存知だろうか。これは中国のようにパクったのではなく、UAEがフランスと共同でやっている国家プロジェクト。
さて、ルーブル美術館アブダビ。をUAEに置くことでどうなるか。アブダビの国際知名度は上がるし、人はアブダビと聞いてパリを連想するようになるかもしれない。
ちなみに、この「ルーブル」という名前を借りることに、4億ユーロ(約530億円くらい)費やしたともいわれている。また毎年50億円ほどを費やして作品を回収して、将来的にはロシアのエルミタージュ美術館などのように、知名度の高い美術館になっているかもしれない。
UAEの上層部は知っているのだろう。アラブという少しダークなイメージのある世界にフランスやパリという華やかなイメージのあるものや、日本食レストランなどの信頼性の高いものを多く置くことで、それが将来のUAEの投資になることを。
日本食に関しては、ドバイのモールを色々回ってきたけれども、ひらがなやカタカナで書かれた日本食レストランは、欧米人旅行者なども立ち止まって見ているなど、やはり日本のブランド力は高いと感じた。
⑤王室問題
サウジアラビアやドバイといった王室が支配する国。少しややこしいのは上にも書いたけどサウジは一つの王室。UAEには7つの首長国があり、ドバイ首長国ではドバイの首長がいるわけ。
また、日本と違うのは、日本の皇室メンバーは非常に少ないのに対して、中東の王室は一夫多妻制であるので、数えられないくらいの王室メンバーがいること。普通に歩いていても王族だとは分からない。
そんな中東の王室はヨーロッパのメディアでは常に話題になる。その中でも、フランスやイギリスなどのメディアは、UAEの王女たちが次々と逃げ出している。という現状を暴露するのに躍起だ。
最近ピックアップされている王女がハヤ妃だ。ハヤ妃はヨルダン国王アブドゥッラー2世の兄弟でもあり、ドバイ首長の第二夫人(一夫多妻制なので)。つまり、ヨルダン王女、そしてドバイ王妃という二つの称号を持つ人物である。
※ちなみにドバイ首長の息子は中東一のイケメンともいわれており欧米でも人気が高い。
2019年6月、ハヤーが子どもたちを連れてドバイから逃れ、イギリスで亡命を求めていたと報じられていた。
2000年→シャムサ王女(ドバイ首長の娘)
2018年→シャムサ王女の妹ラティファ(Latifa)王女
このように、ドバイ首長の奥さん、娘二人までが脱走しようとしたことによりドバイの信用がガタ落ちするかもしれない。という焦りはあったと思う。
上にも書いたが、2005年から現在まで人口が2倍に増えたり、街が急激に変わり、ラクダに乗っていたアラブ人が高級車に乗るようになり、つまり日本人からすれば、彼らは急激に変化してしまったのであり、こういう問題がどんどん出てくるのも当たり前のようにも思える。
で、私がドバイに来て感じるのは、王室関係者は見ていないので何とも言えないが、UAE市民が経済的にリッチな生活をしている一方、UAE市民同士の束縛があって、自由になれない。という印象を持った。
また私がかつてインドネシアの中華系から見て取れたように、経済的にリッチになるとお互いに上下関係を作りたくなるというか、ワガママになるというか、そういう負のオーラがでてくるのではないだろうか。
「ヒエラルキーの頂点?差別され、虐殺され、インドネシアで怯えながら暮らす華人・華僑「中華系インドネシア人」に関する疑問 TOP10」
アバヤを来た女子たちもベールを外せば日本や欧米にいる女の子と何ら変わらないし、アラブの男子たちもジーパンをはいたりしたいだろう。
けど、皆民族衣装である。同じ部族として強く束縛があるのだろう。経済的な恩恵を受ける一方で自由に旅行している私のような日本人を羨ましがってるのではないだろうか。
お金があっても、動けないというのは一番つらいのかもしれない。
ましてや王族同士となると、もっと束縛が酷くなる。誰が偉い、誰の意見が正しいなどで対立したり、難しい部分がたくさんあるに違いない。
⑥最後に
ドバイはとても小さい。ブルジュハリファのある周辺だけがいつも写真やメディアに映るけれども、まさにあそこだけが栄えている。それ以外は何もない。
カイロのような伝統もなければ、急成長した実際どこにでもあるようなモール、高層ビルが巨大化しただけの場所だ。
アラビア語が好きな私にとってもドバイではアラビア語よりもヒンディー語ばかりが聞こえるので、中途半端な都市にしか思えない。
また何といっても歩くのが遠い。ブルジュハリファの駅からモールまで1kmも自動歩道を歩いていくという…。
とはいってもドバイでは日本人は非常に目立つし、インド人なども日本人か?などと聞いてきて面白い。アバヤを着ている女の子も、こちらを見てきたりね…。
これは東南アジアで感じる目線よりも、強烈な感じがある。それだけドバイでは東アジア人、その中でも日本人はレアなのだと感じる。
とはいってもドバイは遠い割にはそれほど期待できる場所ではない。ということは言っておくね…。