意外と日本人が知っている気でいるけれども知らないドイツ連邦共和国という国。以下の記事は、あまりにも衝撃的だったせいか、かなり読まれ続けている。
「なぜドイツ国民の46%は日本にネガティブな感情を抱くのか?ドイツ人は日本が嫌い?【ドイツの反応】」
日本人は勝手なイメージで、日本とドイツは敗戦国なのにも関わらず、経済的な規模(GDP)では、戦後、アメリカに次ぐ2位と3位の座に長くいた。
とか、真面目さで言えば日本人とドイツ人は似ているなどと言い、日本人とドイツ人は似ている。という勝手なイメージを持っている人も多いかもしれないが、実際は全く正反対だというのは、かなり有名な話だったりね…。
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そんな、ドイツには独立問題が存在するのはご存知だろうか。日本では沖縄が独立まではいかないが、日本人とは違う強いアイデンティティを持っているようにも、ドイツでは、スイスに近いバイエルン州で、独立を望む声が高い。
これを聞くと、2017年に行われた2017年カタルーニャ独立住民投票のようなものを思い出してしまうが、今後、ドイツの経済状況、移民受け入れ状況により、このバイエルン州独立運動に火が付く可能性もある。
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そういう中で、バイエルン州になぜ独立志向のある人たちが多いのか、ということをこの記事では探っていきたい。
①バイエルン帝国の存在
まず、バイエルン州の存在をすることが非常に重要だと思う。
ドイツ連邦共和国(1949年5月23日~)が成立する前まで、ドイツは現在のような連邦共和国ではなく、ドイツ帝国であった。上の地図は、ドイツ帝国の地図なので、ポーランドの西側まで巻き込んでいる。北側の大部分を占める赤い部分が、プロイセン王国である。
帝国と言えば、皇帝がいる。
ドイツ帝国時代は、4つの王国(プロイセン、バイエルン、ヴュルテンベルク、ザクセン)があり、6つの大公国、5つの公国、7つの侯国、3つの自由都市(ハンブルクなど)、1つの帝国直轄州というように、上の地図がものすごく細かく分かれていることからもわかるように、日本とは全然違う構造になっていた。
ちなみに、現在の世界でもロイヤルファミリーのヒエラルキーはこのような序列になる。
「世界の王室(皇室)と、貴族における階級(爵位)と、天皇、国王(女王)、王子(皇太子)、大公、公爵、侯爵、 伯爵、子爵、男爵の違い」
その名残もあり、現在でもハンブルク市は、正式名称が、自由ハンザ都市ハンブルクとなっている。
で、話は王国に戻そう。ドイツ帝国の中でも、プロイセン王国が面積的に一番大きく、二番目に大きいのが南半分を占めていたバイエルン王国である。
ちなみに、バイエルン王国の人口は、610万人(1900年)→650万人(1910年)と当時にしてみれば、かなり多かったことが分かる。スイスの人口は、842万 (2017年)なので、100年以上も前に、このバイエルン王国は現在のスイスよりも人口の多い国だったということになる。
このように、現在のドイツ連邦共和国の前身であったドイツ帝国の状況を理解していると、今の独立問題について少しは理解しやすいかもしれない。
ここに住んでいるものは、昔自分たちはバイエルン王国に暮らしていたという、強い誇りがあるのだろうね。
また、それよりも前のことを調べても、神聖ローマ帝国の時代になり、複雑になるので、この記事ではこのくらいの説明にしておこう。
③バイエルン州のGDPは、スイスに相当
ドイツ人の間では、バイエルン州はスイスと同じくらいの経済がある。という認識がある。例えば上の地図からも分かるように、バイエルン州だけで約ドイツの5分の1の経済を持っていることになる。
以下のリストは、ドイツの州のGRP(域内総生産)を順位化したもの。
GDPは、国民総生産だが、それを州や県にわけると、域内総生産(GRP)という呼び方になることも覚えておこう。
ノルトライン=ヴェストファーレン州は日本企業も多いデュッセルドルフがある州で、ここはドイツ最大の都市圏(ルール・ライン地方)を持つエリアでもあり、フランクフルトやEUの首都ブリュッセルからも近い。
「ロンドン、パリ、モスクワ、イスタンブール、ベルリン、ミラノ、マドリード。どれがヨーロッパで1番の大都市圏?」
この州は、人口が、1805万人と非常に多く、隣にあるオランダと人口・GDPが非常に似ている。
で本題のバイエルン州は、人口・GDPともにスイスに似ているという特徴がある。バイエルン州には、世界的な企業の本社、BMW、シーメンス, アリアンツ、アウディなどがあるのも有名。
3位は、スウェーデンに似ており、4位はアイルランド、5位はデンマークに似ている。
1位はまさにドイツのど真ん中であり、ドイツという国を引っ張っている州というイメージがあるが、バイエルン州はドイツの南部で、スイスやオーストラリアという自分の州と似た人口・GDPの国と近いことからも、余計に、ウチらバイエルン人は、オメェーらとは違うんだぜぃ!みたいに思っているのかもしれない。
これは極端に言うと、現在の九州が意外と関西などよりも繁栄していて、強い発言力を持っていて、ウチらはお前らとは違うんだよぉ~。みたいに思っているのと同じなのかもしれない。
④バイエルン州の人口は、ベルギーに相当
人口にして、なんとアイルランドの3倍。
けれども、九州も人口1300万人くらいなので、EUでは普通の国って感じになる。ちなみに、これはEUのランキングなので、スイスが入っていない。スイスの人口は、842万 (2017年)で、ノルウェーは、525.8万 (2017年)
ギリシャやポルトガル、オーストリアよりも多い。特にバイエルン州の人たちは同じアルプス山脈付近の国でもある、オーストリアやスイスは、バイエルンよりも人口が少ないのに、国家として繁栄しているのが、気に食わないのかもしれない。( ´艸`)
⑤3人に1人がバイエルン州の独立を支持?
質の高い新聞としての評価があるディー・ツァイト(ドイツ・ハンブルクに本拠を置く、週刊発行される全国新聞)のオンライン版、ZEIT ONLINEの記事によると、バイエルン州の3人に1人は、独立を支持しているという。以下、内容を訳してみた。
ミュンヘン(AP) - バイエルン自由州に住む人のほぼ3分の1(回答者)が、ドイツ連邦共和国の自由州からの独立を望んでいる。ビルド(ドイツの新聞)に代わって投票機関YouGovの調査によると、回答者の32%がバイエルンの独立を望むということだった。
またザールランド州とテューリンゲン自由州はそれぞれ22%に留まり、続いてザクセン自由州とメクレンブルク=フォアポンメルン州はそれぞれ21パーセントと続いた。
⑥ドイツ人の反応
ドイツ語でいくつかの記事を調べていると、スコットランドが英国から独立すれば、バイエルンでもその機運は高まるであろうというハフィントンポストの記事を発見。イギリスのEU離脱(Brexit)を真似て、Bayxit という名前でドイツではかなり有名だった。
「憲法裁判所:バイエルンはドイツを去ることができない」というような、忠告的な記事も発見。
Verfassungsgericht: Bayern darf Deutschland nicht verlassen
こういう記事がいくつもあり、いかに沖縄などよりもバイエルン州の人たちが他のドイツ人から、お前ら逃げるなよぉ~!みたいな目線で監視されているのかが分かるだろう。
やはり、スペインのカタルーニャ州で独立に伴う投票(2017年)が起きたことや、富の格差に伴い、フランスで黄色いベスト運動(2019年)などが起こったりしているので、いずれにドイツにもその波が押し寄せてくるだろう。と心配している人も多いのかもしれない。
特にドイツは移民を大量に受け入れた後、保守的になっていたり、いろんな考えを持つ人たちで、ごちゃ混ぜ状態。ドイツ人同士で対立構造が出来上がる可能性もある…。
「親愛なる日本の友人よ。君たちの移民政策は非常に優秀だ。ドイツが日本を称賛する理由【ドイツの反応】」
以下は、バイエルン独立に関する動画。簡単に反応を見てみよう。
Sat1 - Bayerns Unabhängigkeit -- Hirngespinst oder realistisch?
■+17
僕らバイエルン人は、スイスとオーストラリアと手を組んでアルプス高山共和国を作ります。
■+13
私たちオーストリア人も、バイエルンが独立してほしい。
■+2
バイエルン王は公式に棄権したことがない。しかし反乱軍によって撃たれました。
■+11
バイエルン人たちは、ヨーロッパでもっとも近代的で豊かな土地をもっている。また、ベルリンのようにあまり犯罪もなければ、フランスのように無意味なストライキも起こらない。バイエルン州が独立してしまえば、ベルリンは完全に経済的に困難になるだろう。プロイセン人は教育を受けています。バイエルン人も教育を受けています。けど、それ以外はビールが好き!しか頭にない。
■+5
バイエルンが独立してしまうと、ドイツはフランスやイギリスよりも弱い国家になってしまうので、絶対に手放さないだろう。
⑦まとめ
ヨーロッパでは、EUの中で独り勝ちのドイツがイタリアやギリシャなどに金融支援していたが、それでドイツ人が、なぜEUのお荷物国家にお金払わなきゃなんないんだ?となったことがあった。
それと同じで、ドイツの中でももっとも所得が高い部類にあるバイエルン州の人たちが、なぜ自分たち(税金)が、ドイツにこんなにも貢献しないといけないのだ?それなら、独立したほうがより効率が良い。と思っているのかもしれない。
もともとバイエルン王国という君主制の国家が1918年と、結構最近まであったという事実もあるので、この地域の独特な、感覚は今後も消えることはないのだろう。
これはフランスとドイツが全く異なる証拠かもしれない。やはりフランスと違って、ドイツはいくつもの国家の集合体だったりしていたので…。
パリ中心に一つにまとまっているフランスが、ドイツ人にとってはある意味羨ましいのかもしれないね‥‥。
以下、Twitter の反応
バイエルンは他の州よりもカトリックの割合が高いんですよね。
カトリックってなぜか陽気な人々に根付いて、プロテスタントは陰気な人々に根付いてるんですよ。
ドイツでは、プロテスタントの多い北部からすれば、南部は飲んで騒いでばっかりのイメージなんだそうです。
気質の違いが感じられます。— Ryoyd George (@happy7qr) 2017年8月20日
Reference
http://landesverband.bayernpartei.de/unabhaengigkeit/warum-eigenstaatlichkeit/
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