この記事を最初に書いたのが2016年8月。そして、それから私自身、ウクライナ、キルギス、ジョージア、カザフスタン、ウズベキスタン、ロシア(シベリア含む)など、ロシア語圏でのノマド生活が非常に多くなった。
思えば2020年にジョージアの高級アパートメントで撮影した動画版の「ロシア語のメリット」からさらに3年も経つことになる。
ロシア語を学ぶメリットはない!けど、学ぶと見えてくる新しい世界(YouTube動画)
それから2022年にはロシアとウクライナが戦争になり、状況がいっぺん。私が2022年にいたキルギスではいきなり徴兵令がでて以降ロシア人が押し寄せてきて住宅価格が高騰。そのタイミングで私はフランスに移動したが、ロシア語圏ではものすごい苦労のある1年だったと思う。
さて、この記事では、2016年に比べロシア語のレベルもかなり上がりつつ、ロシア語圏でノマド生活してきた私が、ロシア語のメリットについて簡単に書いていきたいと思う。
①ロシア語話者数と、国連の公用語
ロシア語のネイティブ話者数は1億2000万人ほどと言われているが、世界全体でL2も含めると2億6000万人ほどになると言われており、この人口自体は世界で8位となる。それにもかかわらず、日本ではロシア語検定とインドネシア語検定の年間受験者数はそれほど変わらない。どちらとも年間1000人ほど。
また国連の公用語の6つのうちの一つ。英語、フランス語、中国語、ロシア語、スペイン語、アラビア語。
ちなみに、ヨーロッパロシア(ウラル山脈より西のロシア)は地理的にはヨーロッパにカウントされるので、ヨーロッパロシアのロシア語話者人口だけでもヨーロッパでは実質上一番話されてる言語として認識されている。
さらにこの記事の下の方でも書いてあるが、旧ソ連圏のロシア語使用率は、低下している国と維持している国と、ロシア語をリングワ・フランカとして使っている国などさまざまで、ソ連崩壊語もロシア語の重要性はそれほど低下していなく、むしろ私がロシア語圏を回って感じたのは、ロシア語で話しかけると喜んで話してくれる人は結構多いということだ。
さて、ロシア語圏とされているのは一般的に以下である。
ロシア、カザフスタン、キルギス、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニア、イスラエル、ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、ジョージア、タジキスタン、トルクメニスタン、フィンランド、モルドバ、ラトビア、リトアニア
②人とは違った言語の世界と、野望
日本人が学んでいる言語の上位が、英語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語のような順位である。これらは東アジアか、欧米の言語に過ぎない。世界で多くの人に話されているのに日本ではそこまで学習者が少ない言語は、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語、インドネシア語あたりである。
「多言語を勉強してわかった日本人が「ロシア語」/「アラビア語」/「ポルトガル語」を避ける理由」
我々はメディアを見るとき、欧米のメディアの目線から見ていることが多く、アラビア語圏、ロシア語圏、中華圏の人たちから見える見え方が正しいか正しくないかは別に、そちら側の目線で見れていないことが多い。
こういう日本人があまり手をつけない言語を学ぶと、これらのメディアやこれらの国々について調べる時間も多くなり、バランスの良いところから自分で考える癖がつくようになる。
実際に私はアラビア語とロシア語の学習を通してこれを感じている。
やはりどうしても日本に暮らしていると、ヨーロッパやアメリカが正しいと思ってしまう。
このようなマイナー言語を学ぶことで、語源を通した新しい発見や、考えたことのなかった歴史認識、その国の報道の一部が間違ってる正しいなどの自分での判断、現地を訪れる楽しみなど、メリットはたくさんある。
これはどれも英語だけを学んでいる人には味わえない世界なのである。
また日本でロシア語を学んでいると、毎日このどでかい地図を意識することになり、ロシア人って西はカリーニングラードから東はカムチャッカ半島までこんな広い土地を毎日意識しながら暮らしているんだな。と日本という国がどれだけちっぽけで、そこに忙しい社会があって、自分たちが悩んでいることが馬鹿げているとさえ思えてくるようになるのである。
まさに言語学習によってその国の地図を支配し、自分の国!と思えるようになり、心がずいぶん楽になる。という体験も学習後訪れるだろう。
③ヨーロッパ最大の大都市圏=モスクワ
私はロシアにまだ行ったことない頃、この動画をずっと眺めながら、どんなところなんだろうとワクワクしていた。ロシア語がヨーロッパで実質的に一番話されている言語と上に書いたが、ヨーロッパで一番大きい大都市はモスクワであり、これはヨーロッパ人もそれ自身を認めている。
なのでヨーロッパではロンドン・パリ・モスクワが比較されることが多い。
学ぶ言語を選ぶとき、その言語が話されている大都市が多いと、色んな都市にいくことが可能なので、これは非常にモチベーションになる。例えばフランス語だとすれば都市圏人口300万人を超えるような都市はパリかモントリオールくらいしかない。ドイツ語圏もベルリン以外は、都市の集合体が多く大都市圏があまりないのだけど、ロシア語圏は大都市圏がいくつもある。
そんな都市に迷い込んでロシア語を話すのが私は好き。
文法があまりわからなくても単語を並べてどんどん話すのである。
しかも札幌からちょっと西に行けばウラジオストクがあるのである。東京からは2時間で行ける日本から一番近いヨーロッパの国。
「日本人も韓国人のようにロシア極東「ウラジオストク」と「ハバロフスク」に行くべき理由 TOP10」
つまり、どこの都市でも人生やり直せる。みたいな不思議な気持ちが出てくる言語なのである。
日本語しか話せない人は、
・札幌
・東京
・大坂
・名古屋
・福岡
のようなイメージしかできないが、ロシア語圏の人は、例えば私のキルギス人の友達はこんな感じである。
・モスクワ
・サンクトペテルブルグ
・キエフ(ウクライナ)
・タシュケント(ウズベキスタン)
・アルマトイ(カザフスタン)
・ノヴォシビルスク
・エカテリンブルク
・ビシュケク(キルギス)
・ミンスク(ベラルーシ)
・アスタナ(カザフスタン)
ちょっとこの都市が飽きたら、あっちの都市いーっちゃおう。みたいな気軽な感覚。これ日本人にもこの感覚欲しいよね(笑)。私はロシア語もアラビア語もかなり真剣に学んでいるので、頭の中にある地図は常に広い。
実際に上にあげた都市の半分はノマド生活としてアパートなどを借りてすでに住んでみた。
④ロシア語を学ぶメリット・需要・重要性
ロシア経済は2007年〜2008年あたりのロシア経済はものすごかった。今や戦争の影響もあり、世界的な影響力は低下。ましてや通訳などといった仕事はロシア語と日本語力がしっかりないと意味もない。日本に住んでいるウクライナ人に対する相談などの求人にロシア語ができる人というのがあるが、時給がそれほど高いわけではない。
経済的なメリットがあるかと言えばNOだ。
それでも私の生徒さんなどは中国やアメリカとビジネスをしながら、未知のロシア語圏に楽しみとしてビジネスをしたいといってロシア語を勉強していたり、将来の楽しみとしてロシア語を勉強している人は多い。
40歳以上の人はわかると思うが、世の中いきなり変わってしまうので。世界の情勢、パワーバランスなんてふとしたときに変わる。変な話、ロシア連邦が解体して、それぞれにある共和国が独立してしまう可能性すら否定できないのであり、これだけ日本から近く人口を抱えた言語を正直放っておくことはできない。
SNSをつかってフォロワーを増やすという意味では、ロシア語は人口が多いのでやり方によっては可能。でもどんなビジネスをするかは自身で考える必要がある。
⑤経済的以外のメリットはある?民族の多様性と、シベリア
ロシアは民族の宝庫である。私がロシア語を重宝しているのはここが一番大きいかもしれない。スラブ人(白人)、コーカサス人(白人と中東人の中間)、中央アジア人(東アジア人とトルコ人の間)など、多くの人種を巻き込んだ言語なので、人種、宗教を超えた色んな国の情報にアンテナをはるようになる。=ここには実はヒエラルキーあり(笑)
「日本人も「スラブ人」に見下されてる?ロシア語圏(中央アジア・極東シベリア含む)における人種のヒエラルキー」
毎日、日本や中国、アメリカ、韓国、ヨーロッパ、東南アジアのニュースしか入ってこない人よりも私のところに多くの情報が入ってくるのはこういうアンテナをはっているからである。
ロシアが解放されれば、避暑地として夏には涼しいシベリアに行く楽しみもできるし、日本列島のもっと先にあるカムチャッカ半島で温泉を楽しむこともできる。
特に北極の氷が溶けていくと、ヨーロッパと東アジアを行き来する船が夏に通るようになることもあり、政治的なリスクは高くてもロシアは地政学的に非常に可能性のある国である。そういう意味もあり、ロシア語は今後も世界の重要な言語のうちの一つとして変わらないのだと思う。
話は戻って私はチュルク語系のキルギス語も学んでいて、中央アジアのようにチュルク語を話す国も好きだし、ロシア連邦にある日本人によく顔が似た人が多い、サハ共和国、ブリヤート共和国なども大好き。
「イケメンや美女も多い?ロシアのヤクート人(サハ共和国)と日本人はなぜ似ている?」
「顔は韓国人なのにロシア語しか話せない?ロシアに暮らす【高麗人】の生活と、結婚式に密着!【海外の反応】」
「カザフスタン人と日本人って似てる?「日本人 VS 韓国人 VS モンゴル人 VS カザフスタン人」という奇妙なスレッドを発見してしまった件」
これらヤクーツク人や、高麗人、キルギス人、ブリヤート人、みんなロシア語を話すのである。。
⑥東アジア系の人は、結構ロシア語圏でモテる説
ロシア語圏といえば美女。私は男にしか興味ないのでどうでもいいことだけど、ロシア系の女性と付き合っている東アジア人男性は何度も見てきた。ここで共通するのがその男性側が特別日本でいうイケメンだったりするわけではないということ。素朴な薄い顔の人から、濃い顔の人まで色んな人がロシア系の女性とくっついているのをみてきている。
家庭的で責任感のある男性を好むロシア語圏の女性は、自分たちの文化(言語)をしっかり勉強して、自分たちを立ててくれる男性ならヨシという感じなのだと思う。
また、ロシア系男性や、中央アジア系の男子などにハマっている東アジア人女性もいるので、何かとロマンス的な楽しみもある言語だと個人的には思っている。
私としてはキルギス人男子が好みなので、彼らとロシア語を通して交流できるのは非常に嬉しい。
⑦ソ連崩壊30年経っても、ロシア語が使用されている国は多い
ロシア語は旧ソ連圏以外でも、多くの国で使われている言語。特に、アメリカ、ドイツ、イスラエルにロシア語話者は多い。イスラエルに関しては国民の15%がロシア語話者であり、ヘブライ語、アラビア語に次いで多いことはあまり知られていない。
ドイツに関してもロシア語が母語のドイツ系ロシア人をはじめとして300万人ほどいるといわれている。
「イスラエルやドイツも?ロシア語が話されている国 TOP20と、使用率が高い国 TOP10」
東欧ではバルト三国、特にラトビアやリトアニア、エストニアでさえも受動的理解者(聞いたり簡単な受け答えは可能)が多かったり、ベラルーシとウクライナはそれぞれの言語がロシア語の方言レベルなのですぐに理解できてしまうし、あまり注目されないポーランドやブルガリアでも国民の20%ほどは受動的理解者とされている。
実質上、英語についでヨーロッパで一番話される言葉、理解される言葉といっても過言ではないのである。
⑧中央アジアのリングワ・フランカとして
ロシア語使用率がいまだに高いベラルーシ、ラトビア、ウクライナなどと違い、中央アジアは非スラブ語圏であり、つまりトルコ系民族、言語で言えばチュルク語を話すものが多いエリアである。ここではお互いがコミュニケーションをとるリングワ・フランカとしてのロシア語が重要視されている。
どんなに時代が進んでいこうとも、英語は世界の言語でありつつも彼ら中央アアジアをまとめる共通言語はロシア語というのはこの先当分変わらないだろう。なによりも中央アジアではカザフスタンやキルギスのロシア語執着は異常なものがある。
⑨東欧諸国の言語とロシア語
以下の記事でも紹介したがロシア語で基本1000単語くらいが読めるようになったとき、ポーランド語、ブルガリア語、チェコ語などの東欧の言語を読んだときにすぐに部分的に理解できるようになる。私はまったくブルガリア語もポーランド語も勉強したことがないが、ロシア語のキリル文字をそのままアルファベットに変えただけというくらい単語も似たり寄ったりしているので、決まりきった想定の会話であればその字幕だけで大体意味を想像できてしまう。
モンテネグロに行ったときに彼らもまたスラブ系の言語なのでロシア人のように、ダーって言うし、やはりスラブ語の頂点に立つロシア語の学習はしておいて良かったと感じている。
⑩ロシア語を学ぶ動画
Easy Russian というチャンネルがあるので、まずは字幕を見ながら音を聞いてみて、自分に合う言語なのか、見極めてみるのもアリ
https://www.youtube.com/@EasyRussianVideos
この二つの本は両方とも買った。文法書は初めてから2年以上経ってからどこに何が書かれているのかを1ヶ月メモをしながら、高画質の写真化でパソコンに保存してあるので生徒さんとも共有したりしている。右の方はロシア語を始めた一番最初に買った。意味がわからなくても例文や単語を読んでいくというやり方を実践した。→ロシア語は最初な頭が痛くなるほど辛い言語(笑)。
でビギナーの人は、ロシア語の初心者は文法から入ってしまうとつまらなかったり辛くなって何年ロシア語勉強しても簡単なフレーズを発することもできない状態で挫折し、勉強自体を辞めてしまう人も多いので、まずは簡単な自分が使うフレーズを覚えることから。というのをお勧めする。
私はその方法でゆっくり勉強していき、以下のページでも紹介しているが、かなりロシア語の音読も早くなったし、簡単な自己紹介スピーチも言えるようになっている。ちなみに以下の記事は、Googleで、「ロシア語 メンター」と検索すればでてきます。