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マルチリンガル(20言語学習者)になって失ったもの・諦めたもの

2015年11月22日

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マルチリンガル(20言語学習者)になって失ったもの・諦めたもの

2015年11月22日




マルチリンガルの定義は色々なサイトでこれでもか。というくらい書かれているのでさておき、この記事では私がマルチリンガルになって失ったものというテーマで記事を進めていきたいと思う。かつては、この記事も、マルチリンガルのメリットなどという記事だったが、私が実際、この記事を初めて書いた2015年以降、同じようなタイトルでいくつもの記事が乱立してしまったことや、私自身それから7年が経ち、他言語学習のコーチングや、海外ノマド4年目に突入することなどもあり、以前とは状況がかなり変わってしまった。

ということもあって、以前とは違い、実体験に基づいた内容に変えていきたいと思って筆を取っているところだ。実際にマルチリンガルになって、私の人生はガラっと変わってしまった。もちろん失ったものもたくさんある一方、得たものの方が実際は多いだろう。

この記事は、これからマルチリンガルになりたい人が読むにはもしかしたら向いていないかもしれない。ただ私が感じていることを書いていこうと思う。




①エセマルチリンガールと叩かれるようになる

私はマルチリンガールと名乗り始めて、7年目くらいになるが、YouTubeでマルチリンガル練習動画。のようなものをあげた途端、ネガティブなコメントで溢れた時期があった。そのことによって、私はタイトルまで変えたくらい。

発音下手だね…!マルチリンガル・スピーチに「非難殺到!!」日本語・中国語・韓国語・アラビア語・英語 の5言語練習中動画を公開!(YouTube動画)

とはいっても、自分の下手な状態を公開しておくことで、自分がどれだけ上達したかも同時に視聴者に届けることができるので、私はその動画をずっと残してるし、この、下手ながらも頑張った時期を自分の歴史として大事にしている。

あまり自分では見たくない動画ではあるのだけどね・・。

そして、最近は動画の中で、いつものエセマルチリンガールスピーチやりますねぇ〜などと開き直るようにもなった。とはいっても明らかに私の外国語運用能力が高まってきているので、過去の私も知っている人からのメンター応募もかなり多い。

その点、叩く人はいるものの、ちゃんと見ててくれている人もいるのだと思えている。上記のあどけなさが残る動画の2年後?に以下の動画をドバイで撮影した。いずれも自分自身への記録用。

マルチリンガル練習動画(アラビア語→韓国語→英語→スペイン語→中国語→フランス語)

びっくりするほどドアップの動画なので驚かないように。ドバイ滞在中に、その年の締めくくりとしてどうしてもこういう動画を作りたいという思いで作った。そしてその1年後、12言語でトルコに行く報告をする動画を作成。

最近のご報告→トルコに戻ることにしました(スッピン)12言語のエセ・マルチリンガル練習動画

一番最初に作った動画とは違い、部分的にカットもしているので流暢に聞こえる。とはいっても将来的にノーカットで5分くらい使いながら、10言語以上で話す動画を作りたいと思う。それはあと3年後くらいになるかな?

ちなみに、このように顔出しをするようになってから、外国語レッスン(英語メンター含む)の応募の90%以上が女性の応募者に。それまでは大体男女の比率が同じくらいだった。

 

②「ネイティブ」のような「ペラペラ」を捨てた(失った)

私は流暢に話せるようになりたい。というよりも、各言語における語源や、人種・民族などのルーツを調べるのが好き。語源を通じて、まだ気づけていない部分に気づけるのでは?と常に思っている。一時期、流暢に話せるという漠然なゴールがあった。このような考えは次第に消えていき、今は言語学における形態論、つまりそれぞれの言語にある単語の意味やルーツ、アクセントの位置、それぞれの音の研究に没頭するようになっている。

私にとってそれを調べている間が至極の時間となっているし、また生徒さんにも評判がいい。とはいっても、私のYouTubeを見てもわかるように、私自身、発音やイントネーションにはだいぶ変化がでてきている。

つまり、若かった頃漠然と持っていた「ネイティブのようなペラペラ」という概念を捨てて、本質レベルで、長期的に取り組もうという気持ちに変わったということである。それによって、「ネイティブのようなペラペラ」という浅はかな夢は、完全に失ってしまった。

 

③日本人同士の嫉妬や、雑音を失う

私はマルチリンガールという名前でブログを立ち上げる2014年の冬まで、人生真っ暗のような、そういう、20代半ばに誰もが経験するであろう、お先真っ暗という将来の自分をイメージしていた。もともと高校卒業後も、日本社会に馴染めずお金を貯めては海外に放浪ばかりで、これといった手に職といったものもなく、日本に帰ってくるといつも単純作業系のバイトや派遣。このままこのような仕事をしながら30歳、40歳になっていくのだろうか。というよくある心配である。

それで私はさまざまな翻訳経験を経た後、医薬翻訳を目指すようになった。そこで将来の不安は消えていくのだけれども、それよりも自分自身が本当にやりたかった多言語の研究によって、これらを勉強している時間に外国のことを常に頭の中で考えているので、日本のネガティブなニュースや、周りで起きているネガティブな出来事などが全然入ってこなくなったのだ。

それまでの私は、ニュースサイトなどをみて、外国といっても韓国や中国のネタしか入ってこなくなったが、今の私がいつも考えていることといえば、ロシア語圏やアラビア語圏などのニュースであったり、他文化圏の情報に常にアンテナを張るようになってしまった。言うまでもなく、YouTuberネタや、芸能人ネタなんてどうでもいいというようにしか感じない。

つまり、そのような日本にいる時に多くの人が感じる日本人同士の嫉妬であったり、同じ民族圏にいるからこそ感じる負のエネルギーみたいなものを多言語学習によって感じにくくなったのである。そういうものを多言語学習によって失ったことで、私は自分自身、昔に比べ、かなり精神が健康になったのではないか。とさえ思う。

 

④時間はあっという間に過ぎる

私の生徒さんはこの3年ほぼ変わらず25名。毎日5名ほどのレッスンをやっているので5時間。それ+多くのインプットをしなければならないため、部屋にいる間は、wiktionary をつかった単語の比較や、レッスンの時間にすぐパッと問題を出せるために、いくつものフレーズや、単語の違い、アクセント、発音などの仕組みを表にまとめたりしている。

これは仕事というよりも、自分の中でやっていて気持ちいいもの、つまり快楽なものになってはいるものの、気がついたら夜中の3時くらいになっていたりするので、孤独でも、好奇心、探究心を持ってそれぞれの小さな部品としっかり向き合える人は、マルチリンガルになるのに向いているのかもしれない。

今は楽しいからできているけれども、恋愛や、遊びなどに時間を使うようになってしまうと、これはできなくなってしまう。なのでそこはかなり、ほどほどにしている。




⑤普通の友達を失う

3年以上海外ノマドをしているのもあって分かることの一つに、同じように多言語に興味のある人たちとの繋がりが強くなった。つまり、それまでいた外国語に興味のない人たちの繋がりは一気に消えていく。それでも昔の同級生だったり地元の友達は今でも連絡は続いている人もいる。

特に、キルギスという小さな国でさえ、やはりキルギス語しかわからないキルギス人とは繋がりにくい。その分、ロシア語も英語もわかるキルギス人とはとことん馬が合うのである。これは同じように多言語実践をしてきたからというのもあるのだけど、やはり言語をしっかりやってきた人の方が、経験上、持っている知識量に加え、忍耐強い傾向がある。

とはいっても言語ができなくても、言語を話せるようになりたい。という人たちの繋がりは消えていない。

 

⑥普通の生活を失った

私が色々な国に行きたいと思えるのは、言語学習がしたい。民族が知りたい。人がどういう表情をするのかみたい。など、人間に対してものすごく強い好奇心があるからだ。そしてマルチリンガルとして多くの言語を学ぼう、日々、新しいことを取り入れていこうということで、このノマド生活というスタイルが成り立っている。

普通に会社に行き、同じ仕事をして家に帰って同じパターンになるという生活は20代の時で終わってしまった。毎日違う言語を学習し、その中から新しい発見を毎日得たり、人が行かないような国へ実際に行ったり、そのような国に行こうと新しい情報へアクセスしたりと、いわゆる普通の生活を完全に失ってしまった。




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