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「サンクトペテルブルク」がノマド生活の私には向かなかった理由

2021年8月19日

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「サンクトペテルブルク」がノマド生活の私には向かなかった理由

2021年8月19日

約2週間サンクトペテルブルクの郊外のアパート群に生活してみて感じた事を全て書いていきたいと思う。とは言っても私が感じたことなのでサンクトペテルブルクが合う人もいれば合わない人もいる。しかも私は都市やその都市独特の文化としてはサンクトペテルブルクが非常に気に入ったし、ロシア人にもロシアに来たなら絶対にサンクトペテルブルクには来るべきだよ!と口をすっぱく言われていた。つまり日本人が外国人に対して、京都や大阪には行ったほうがいいよ!って一応言っておく感覚に似ているかもしれない。

それだけサンクトペテルブルクという街はロシア国内でも特別扱いだし、まだまだ日本人が訪れていないロシア旅行ではモスクワだけでなくサンクトペテルブルクにも足を運んでいってほしいと思うのだけど、シベリアのいくつかの都市を各数週間ずつプチノマド生活し、現在モスクワにいる私だからこそ、今考えてみれば、サンクトペテルブルクは長期滞在するには色々な面で魅力さにかけるな。と実感しているので、この記事で簡単にまとめていきたいと思う。

まず、街の構造というか、数字から簡単にみていく。

 

①面積と人口(パリと比較してみる)

サンクトペテルブルクの人口は535万人。とはいっても面積が非常に広く、パリ市内の人口216万人と比較すると、いっけん多く見えるのだけれども、パリ市内の面積は非常に狭く、わかりやすくいえば、東京23区の中心にある7区くらいの広さしかない。

これは以前他の記事でも書いたことがある。

「パリの20区=東京7区の広さしかない。どっちが国際都市で、都会?徹底調査してみた!」

サンクトペテルブルクもパリ市と同じ面積にすると、110万人になる。つまりパリ市内と同じ面積でどのくらいの人口がいるのか?というふうに考えるとパリよりも人口が半減するという意味なのである。

これはずっと知りたかった感覚で、今回はサンクトペテルブルクの中心部にある区(1,2,13,17,18)の人口と面積を独自に計算してみた。これら5つの区を合計するとパリ市内とほぼ同じ面積になる。

パリ=217万人( 105 km2)
サンクトペテルブルク=535万人 (1,439 km2)
サンクト中心5区 =110万人(112 km2)

この計算方法は、AIですらまだできていない。

https://versus.com/en/paris-vs-st-petersburg

という話はさておき、パリとサンクトペテルブルクを比べるのなら、パリよりも人口密度が低く、それなりにエルミタージュ美術館やその他にも観光名所があり、運河もあり、街の中心部が非常に整備されているのでサンクトペテルブルクはパリよりも長期滞在にはおすすめ。

 

②物価の高さと、中心部と郊外のギャップ

サンクトペテルブルクの物価はモスクワよりも低いと言われているが、Airbnbなどで外国人が部屋を数ヶ月単位で借りるということを前提とした場合、強気の価格設定が結構多め。また、サンクトペテルブルク中心部は建物の高さ規制があるので、中心部の高層マンションに住むことはほぼほぼ不可能。京都市内も高さ規制により人口が増えない現象や、京都市内から郊外に移り住む人が後を絶たないということが問題になっているが、ここサンクトペテルブルクでも同じような現象が起きているのではないか?と思い調べてみると、やはり増えている印象がない。一時期ガクッと増えたのはおそらく合併ではないだろうか?

https://worldpopulationreview.com/world-cities/saint-petersburg-population

そのため、サンクトペテルブルクの中心部はパリ並みに整備されていて、観光で1日、2日くらいだけしかこないと非常に優れた街に見えるのだけど、郊外には韓国にあるような中途半端な高層マンション群がたくさんあり、そちらはロシアといよりは本当に韓国っぽいのである。

ソ連時代に作られた5階建ての公営住宅、フルシチョフカも沢山あるが、中心から郊外に伸びる地下鉄の終着駅周辺に大規模再開発的な住宅群がいくつもあり、中心部のあのパリのような歴史地区の感じとは全く違うのだ。

そして記事の上の方に載せた上空からの写真を見てもわかるように、非常に緑が多い。これはとても良いことなのだけれども市内に大規模公園が多すぎて、郊外に住むことを前提に考えた場合、市内まで行くのに非常に時間がかかる。バスに乗って地下鉄に乗るという体験を2週間ほどした。

もちろん市内にあまり出かけないで高層マンション群で生活するのもいいのだけど、それじゃロシアの他の都市に来たのと変わらなく、サンクトペテルブルクにいる感覚も全く味わうことはできない。という意味で普段あまり観光しない私だけれども、せっかくこの都市に来たのだから。ということで中心部にバス→地下鉄を駆使して繰り出すようにしていた。

それにしても住宅街に戻ったときは、本当に韓国生活を思い出してしまった。

「生活目線で見た、韓国第三の都市「大邱」とテグ人の気質 TOP10」

 

③私が借りていた部屋を他の都市と比較してみる

Airbnbでいろんな部屋を探していると、中心部にある部屋はどれも高い上、窓を開けたら隣の建物だったり、低層マンションのあまり内装が良い感じではない狭い部屋ばかりだった。それで10万以上。ま、パリに比べたらワンルームでこの価格ならそれほど高くないかもしれないが。

私のようにカーテンを開けても外から自分の部屋が見えないような環境を求めている人はやや郊外に出ないと借りれない。その場合安くても7万円〜10万円。私の部屋はハイシーズンということもありこのレベルの部屋でも1ヶ月10万円程度だった。2週間しか借りていないので45000円ほどで済んだが。

それがノヴォシビルスクだと市内のど真ん中のタワマンで6万円だったのである。

「札幌のライバル?シベリア最大都市「ノヴォシビルスク」でノマド生活。生活費や快適さは?」

ましてやロシア国内ではないが、同じロシア語圏のジョージアのバトゥミだと中心部の高層マンションで海が見渡せる部屋でも5万円ちょっとで済むのである。そう考えた時、またその美味しさを味わった私にとってはサンクトペテルブルクは単に韓国に数週間来ればいい都市という位置付けになってしまったのだ。

「格安タワマン都市、ジョージアの「バトゥミ」に住むメリットとデメリット」

つまりロシア語圏にはもっと中心部で格安の高層マンションなどの部屋があり、そっちのほうが私のように一人で勉強や仕事をするものにとってはお得な気がする。

 

④地下鉄の深さが最悪

サンクトペテルブルクの地質的な理由により、サンクトペテルブルク地下鉄は世界で最も深いところを走っており、プラボベレズナヤ線のアドミラルチェイスカヤ駅(Адмиралтейская) 付近で86メートルの深さを走る。

とWikipediaに書かれていたのは、それを体験した後だったのだけれども、現在いるモスクワの地下鉄よりもさらに深く、サンクトペテルブルクにいるときは中心部までの移動の際、行きも帰りも、この非常に深い、3分くらいはかかるんじゃないか?というエスカレーターで、とりあえずロシア語の単語帳を潰していた。

乗り換えをするときはわざわざ一番上まで出なくていいので問題はないが、また家に帰る時にあの深いエスカレーターを乗らなければならない。

観光で行く分には、なにこの深すぎる地下鉄!で興奮すればいいと思うが、生活する、つまり毎日乗るようになると面倒としか感じないと思う。ならバスに乗れば?という話なのだけど、サンクトペテルブルクは地下鉄だけでなく、トラムやバスで郊外に行くことも可能。けれども、何度も停車するし、地下鉄に比べて速度も遅いので座ってるとお尻が痛くなる。

また市内中心部をバスで移動するのもおすすめだが、ネフスキー大通りなどでバスに乗ると、山手線の満員電車並みに満員。バスは時間帯によっては非常に満員になる。そこでロシア人の本性を垣間見れるというところもぜひ体験してほしいと思う。(笑)

 

⑤サンクトペテルブルクにはCBDがない

これは外国のサイトでも指摘されていて面白かったが、通常どの大都市にも、例えば東京における丸の内や西新宿など、オフィス街みたいなものが存在するものである。それをCBD(Central Business District)という。高さ規制をしっかりしているパリでさえ、ラ・ディファンスという高層ビル街がある。けれどもサンクトペテルブルクには驚くほどに高層ビルがない。

そう言うこともあり一度サンクトペテルブルク中心部に、建設しようという話だったが国民により反対され、フィンランド湾に面した、中心部から離れた地下鉄の終着駅にラフタセンターというヨーロッパで一番高い高層ビルが建設された。

ロシア国有企業であるガスプロムが入り、ドバイのブルジュ・ハリファよりも総工費が高いなどという声もある。とはいっても、東京のスカイツリーのように中心部から離れたところにポツンとあるだけであり、少し寂しい感じもある。

モスクワにはモスクワシティと言われる新宿よりも規模のでかい高層ビル群が存在するが、こういうビル群が結構好きな私にとっては少し残念ではある。

 

⑥スラム街の有無と犯罪率

よく英語圏のサイトでは、サンクトペテルブルクにはスラム街みたいな危ない街がありますか?というスレッドがたてられる。でそれはパリの郊外にあるような移民が集まる危険地区みたいなものに相当する場所は本当にない。とはいっても貧困層が集まる地区というのはあり、中央アジア人などの出稼ぎ労働者がそういった場所には多いと言われている。

で、以下のスレッドによると比較的収入が低いエリアが三つほどあるという。

https://www.quora.com/What-are-the-most-dangerous-neighborhoods-in-St-Petersburg-Russia

「Весёлый Посёлок」「Купчино」「Девяткино」

どれも地下鉄の終着駅であり、これらの地区は昔は危ない地区と言われていたが、それぞれに大規模再開発などで割とリッチな人たちも住むようになったため、サンクトペテルブルク全体でそう言う街がなくなっていったと言われている。

この「Девяткино」駅の近くは、ムリノと言われるそれこそ大規模再開発地区で、サンクトペテルブルクの都市景観を著しく壊す都市としてYouTubeでも取り上げられている。私が感じているサンクトペテルブルク中心部と郊外の開発区では全く別の国のような感じに見えることを彼らも常日頃から感じているということなのだろう。

まるで中国や韓国みたいなのだ。

以下、YouTube動画貼り付けておく。

Мурино: город, который погубит Петербург

それでも面白いのはアメリカ人からすれば、スラム街よりもこういう開発区のほうがいいじゃない。という外国人からあげられる肯定的な意見である。こういう立派な高層マンションは郊外だから安く買えるかもしれないが、数十年後にはゴーストタウンになっている可能性も指摘されている。

ちなみに犯罪率は、ロシア国内でもかなり低く、パリの犯罪指数が、55だとすると、サンクトペテルブルクは、39である。モスクワもこの程度で、私が最初の方に訪れたブリヤート共和国のウランウデは68と南米のやや安全な都市並みの水準。

「ブリヤート共和国、ロシアの超危険都市「ウラン・ウデ」で1ヶ月プチ生活する件」

特に気をつけるのは、中央アジア人の集団である。スリなどはよほど舐められないとされないけれども、集団で歩いている事が多く、近づいてきたら警戒することが重要。彼らは一人では行動しなく4人、5人で連んで歩いていることが非常に多い。

バスの乗り逃げや、市内中心部で鳩を触らせてくれて後でお金を請求してきた輩も中央アジア人っぽい人だった。彼らも生きていくためには必要なのだろうけど日本人だとわかった瞬間に、黙っててくれると勝手に思う人もいるので、強くでかい声で指差しながら怒鳴ったら、100mくらいついてきたが、諦めてどっか言ってしまった。

それはtwitterでも公開した。

 

⑦市内中心にトイレが圧倒的に少ない

基本的にショッピングモールにはトイレがあるが30ルーブルほどかかる場合が多い。けれども、モスコーフスキー駅近くの「TRC ガレリエヤ」という最先端のショッピングモールは無料でいい感じのトイレを使用可能。

また、知られていないがサンクトペテルブルクではお客さんではなくても、ファストフード店、カフェやレストランでお手洗いを借りることができるという。

さらに、2020年1月からモスクワやサンクトペテルブルクでは長距離鉄道駅ではトイレが使えるようになったということ。というよりも逆に今まで使えなかったのか。という疑問もあるが、ロシアには本当にトイレが少ない。イスラム系も多く住む多民族国家だったり、連邦国家なので多くの共和国を抱えていることもあってテロなどを警戒してのことなのだろうか。

https://guidetopetersburg.com/toilets-in-saint-petersburg/

もちろん宮殿や美術館、空港のトイレは無料。

 

⑧平和ボケした裕福な人たちのイメージ

シベリアのいくつもの都市でも見なかった、またモスクワでもあまり見ないような平和ボケっぽい人が多い。つまりどういうことかというと、LGBTすらタブーなロシアにおいて、LGBTみたいな格好の人が多いといえばわかりやすいだろうか?

サンクトペテルブルクの人々は北欧、特に隣国のフィンランドの自由さを強く意識しており、それがファッションや路上ライブにも強く出ている印象だった。

モスクワよりもその個性が強く出ていて、ロシア国内におけるファッションの地、つまり神戸は日本では人口が少ないのでそこまで注目されないが、日本において神戸が大阪ほどの人口になったバージョンという感じで考えればいいと思う。

ロシア国内のアーティストが集まる街というのは聞いていたが、ラジカセを持ちながら歩く変な男、すっぴんでものすごい笑顔で絵を路上で書いている魅力的な女子、まだまだあるが、個性に溢れていた。これはネガティブな部分ではなく、いい部分なのではあるが、シベリアからやってきた私にとって非常にカルチャーショックだった。

そして人も優しい。ゆとりがあるというかそういうイメージがサンクトペテルブルクを歩いている人たちの中にはある。

 

⑨夜景が見えるホテルと、市内を一望できる展望台が非常に少ない

サンクトペテルブルクに2週間もいるのに上空から見渡せる場所に行ったことがなかったので、どうもこの都市の全体図が頭に入りにくかった。そこで調べてみると、「Hotel Saint Petersuburg」からは川から見たエルミタージュ美術館などの夜景がみれ、「Azmut Hotel」からは市内のパノラマが見れるということがわかった。

特に「Azumit Hotel」には次回泊まりたいと思う。

ちなみに、「Hotel Saint Petersuburg」には泊まらなくても夕方、こうやって付近の歩道を歩いていると、素晴らしい景色がみれるのでおすすめ。私もこのホテルの近くを歩いていてこういう夜景を撮影することができた。

「Hotel Saint Petersuburg」はこの川とエルミタージュ美術館などが眺められ、「Azmut Hotel」からは市内の軽く見下ろす形で景色を楽しめる。この写真は、中心部にほぼ高層建築がないサンクトペテルブルクにおいて、唯一市内一望できるアジムットホテル。

 

⑩結論

街自体、特に中心部は非常に美しいので、次回来たときはAzumit Hotelから街を見下ろす感じで数泊したい。その際に今回行く気になれなかったエルミタージュ美術館の絵を写真に収めたい。などまた来る気満々のマルチリンガールでした。(笑)

ちなみにtwitterでも公開したように、やはりサンクトペテルブルクの中心部の街は非常に綺麗で歩くのも楽しかった。

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