ジョチ・ウルス(キプチャク・ハン国ともいわれる)という言葉を聞いたことはあるだろうか。おそらく、相当ロシアの歴史に精通している人でなければ聞いたこともない言葉だと思う。
ブログ書いて5年目の私ですら聞いたことはなかった。けど、ロシア語圏の世界にハマるにつれて色々肌で感じてくることもあって、それがアジア人男子が意外にもスラブ人女子にモテるのではないかということだ。
確かに最近のKPOPブームの波は東欧のポーランド周辺にもやってきて、前回もご紹介した通り、私の住んでいるジョージア(コーカサス地方の国)でも、twitterのトレンドが、コロナウィルスの次にBTSや韓国の歌手が出てくるくらいなのである。
https://twitter.com/bangtan_russia/status/794467337378336768
モンゴロイド系の顔立ちがいないこの国において、なぜBTSが人気なのか?これは単に、彼らのパフォーマンスが素晴らしいからとかでは考えられないと私は思っている。
少なからず、彼らの顔に生理的にOKのサインを出している女子たちが多い。としか考えられないのである。
そう考えたとき、やはりモンゴル帝国が支配したエリアをもう一度考える必要があると私は思ったのだ。
そしてそれを知るにはロシア史を振り返る必要がある。特に、ウィキペディアに書かれていたロシア史の見出しの中でも、ノヴゴロド公国~モスクワ大公国時代(モンゴル帝国の属国にされていた時代)
ここを私は今まで意識したことがなかった。
①ロシア史の中でも黒歴史にあたる「タタールの軛」
この太字になっている部分は、いわゆるロシアにある公国をモンゴル系が支配するという形で成り立っていた時代。
ノヴゴロド公国、モスクワ大公国などの貴族に権限は持たせておいて、モンゴル帝国が税を徴収していた形と言えば分かり易いだろうか。
※ロシアがモンゴルに支配されていた時期は、日本で戦国時代が始まった時期と近い。キリスト誕生を起点とした2000年の歴史からすれば、結構最近の話なのである。
モンゴルは今でこそ人口300万人の国に過ぎないが、騎馬民族であり、小さい頃から馬に乗って戦うことになれたモンゴル人が次々に陸続きの国々を支配していった。
これらの色すべてがモンゴル帝国になったというよりは、それぞれの国のTOPを使い、税金をモンゴル帝国に納めさせていただけの形と言えば分かり易いかもしれない。
モンゴル人は鉄砲などの武器が誕生する前、断然、世界でも群を抜いて強い民族であった。なので当時のモンゴルの人口は少なかったけれども、周辺国を次々に支配していくことができたと言われている。
一説によると、北京を中心とした北方中国人もそういうモンゴルの騎馬民族の血が強く残っているとされている。なので現在の中国人は民族的にモンゴル人であると言うことも言えるかもしれない。(北方と南方でかなり民族の身体的特徴が異なる)
「中国のモテ顔を、北方系と南方系を代表する女優・モデルで比較!どっちが美しい?」
また、もう一つ、現在の朝鮮半島には、日本と同じように縄文人のような顔立ちの人が昔板と言われ、今のような韓国人(KPOPにいそう系の韓国人)は、シベリアにあるサハ共和国周辺からやってきたエヴェンキ族が、朝鮮半島を支配する形で、半島にいた本来の民族と混血して今の韓国人になっているのではないか?という説も有力になってきている。
「「エヴェンキ人」と「韓国人」の顔が似すぎている件と、韓国における顔の種類(パターン) TOP5」
さて、1206年 - 1634年(428年)という長い間、勢力を伸ばし続け、地図上のように最大でトルコや北欧の全域を支配下に入れている。
これらの国々が、西ヨーロッパのように顔の彫が深くないのもここに関係しているのではないだろうか。実際に、西アジア(トルコ周辺)に渡っていったモンゴル人は、その土地の人たちとミックスしてその土地の宗教を信じ、同化していったと考えられ、これがいわゆるトルコ語がモンゴル周辺で誕生した言語である理由とも繋がってくるのである。
トルコや東ヨーロッパは、フランスやスペインのように鉤鼻の人は少ないと感じるし…。実際に1ヶ月トルコで生活して、かつてモンゴル人がこの土地にきて同化していったのは確実と私の中ではなっている。
「親日という意味で韓国人とトルコ人の決定的な違いと、トルコに存在するいくつかの人種」
さて、このタタールの軛の時代、モスクワを中心とするエリアはモンゴル帝国の属国だったという事。
ここは知っておくべきだ。つまり日本人も少なからずモンゴル人と近い顔立ちに入るが、そういう今でこそ西洋で人種的に見下しの対象になる東洋人が、このモスクワ周辺を支配していたという事なのである。
②モスクワにおける人種のヒエラルキー
今でこそ、モスクワには中央アジアなどの貧しいキルギス人(モンゴル人に似てる)などが超安月給で日本人のふりをして日本食レストランで出稼ぎしているが、ロシアの長い歴史の中では、逆にこれらモンゴル系のほうが、スラブ人よりも上だった時代があった。とういことをまさに頭に入れておいてほしい。
※キルギス人と日本人は兄弟ともいわれている。
「住んでみて分かった「キルギス人」の外見(ハプロ)と、性格・気質 TOP5」
以前こんな記事も書いたけど、モスクワではスラブ人がアジア人を見下している。そりゃそう。
「日本人も「スラブ人」に見下されてる?ロシア語圏(中央アジア・極東シベリア含む)における人種のヒエラルキー」
産業革命以降、欧米を中心とした白人の世界になった。またモスクワではスラブ人などが80%以上くらいはいるのだから、少数派のアジア人が見下されるのは当たり前である。
けど、日本人だって言うと、態度がいきなり変わるという現象が起きるので注目。最近は韓国人も見下されない。
その理由はまさしく日本も韓国も、ロシアよりも1人当たりのGDPがかなり高いからであろう。日本人が東南アジア人は見下しても、シンガポール人は見下せないのと同じような感覚。
面白いのはスラブ人(ロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人など)はアジア人を見下すことがあるが、西ヨーロッパなどでは白人と見なされないことがあるという点。
「欧米人がロシア人やアルゼンチン人を見下す理由は、日本人を見下す理由とは少し違う?」
フランスやドイツ人からみれば一部のスラブ人はモンゴロイド系とコーカソイド系のハーフのように見えるのかもしれない。
③BTSなどは、モンゴル人のゴツさを女性化した姿
最近、ロシアのビルボードみたいなランキングを見ていると、いかにもKPOPを真似したような男子ダンスグループが多い。
髪形と言え、ダンスの感じと言え、これは明らかにKPOPを真似している。その理由は、今までロシアでは存在しなかった層、つまり東洋人男性のグループに興味を持つ10代の女子たちが現れたからである。
10代の女子たちは、外の世界を知りたい人たちが多く、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなどインターネット上で色んな音楽に触れるわけだ。
その中でも、ジャスティンビーバーやKPOPなどの可愛いけど魅力的な男子たち(若い女子たちにありがちな現象)のブームに乗りやすい。
しかもスラブ系は長い間、モンゴル人による支配を受けているので、モンゴル系の顔立ち強くでている韓国人などにはあまり抵抗がないと私は考える。
そう思う証拠に、私が今まで見てきた金髪・スラブ系女子が、日本人男子と結婚、付き合ってまーす系の写真などを見ると、明らかにモンゴル系の顔立ちが強い日本人いからである。
そもそもシベリアには高麗人(韓国人と同族だけどロシアで生まれた人たち)とスラブ人のカップルは非常に多い。
「顔は韓国人なのにロシア語しか話せない?ロシアに暮らす【高麗人】の生活と、結婚式に密着!【海外の反応】」
またアジア人男子が欧米でモデルなどをするとき、モンゴル系などの骨がごつい系の男性は、結構活躍しているという事実がある。
「韓国人とモンゴル人は同種?モンゴル人女子からみた、モンゴルのイケメン TOP15」
つまり白人の世界でも、骨がシッカリした体格の良いモンゴル人は今でも、モテる対象になるのではないだろうか。
と私は見てる。
話は女性になってしまうけれども、パリで活躍しているスーパーモデルの富永愛も、女性にしては骨がシッカリしていて、一瞬男?とも思えるような顔だちである。
白人の世界ではあのくらいのインパクトがあるアジア人が、美の対象になっている可能性すらあると思った。
そういう北方系のアジア人を、整形などで、もっと日本人ウケもするし、世界の女子たちにもウケそうに女性化したのがBTS。と考えているのは私だけだろうか。
おそらく、仕掛け人の人たちはこういう歴史をきちんと理解しているのかもしれない。とさえ思っている。
④モンゴル語がロシア語に与えた影響
現在のロシア語の中には、タタール語などのテュルク諸語や、モンゴル語から多くの単語(特に財政や金融)が入っている。
Деньги (お金)
Казна (国庫)
Таможенные (税関)
Барыш (利益)
Башмак (靴)
こういう現象は、まさしくスペイン人は認めたくないけど、スペインがアラブに組み込まれていた黒歴史(現在のスペイン語の高級単語の多くがアラビア語)と同じようなもの。
「スペインの黒歴史「アンダルス」はタブーなのか?スペイン語「4000語」がアラビア語由来である理由」
とはいっても、ロシアはモンゴル帝国の支配の後、当時最強だったフランスに学ぶべく、ロシア貴族がフランス語で話す現象が起きており、現在のロシア語はフランス語の影響を非常に強く受けているのも事実。
「ロシア語単語の中にフランス語が多すぎる理由と、ロシア貴族の公用語がフランス語だった本当の理由」
また、以下のサイトでは現在もロシア語に生きているモンゴル語が解説されていた。例えば、かなり基本的な単語でもある「rainbow」は、ロシア語で「солонго」というが、これはモンゴル諸語の単語が由来となっている。
イルクーツク(地名)もブリヤート語(モンゴル諸語)など、ロシア語の基本語彙にはモンゴル語の影響はそれほどないが少なからず、ロシア語には今もなおモンゴル語が生きていることが分かる。
Монгольские слова, оставшиеся в русском языке
言語を見れば、それらの国々の歴史が分かる。というのはつまりこういうことなのである。
⑤モンゴルがロシアに与えた影響
まず、大まかに言うと、現在のプーチンのような専制君主的なリーダーはモンゴルから受け継いだもの。ともロシアの歴史学者から指摘されているのだとか。
なのでさすがプーチンはそういうロシア史を知っていて、どうすれば国民を支配できるのか、過去のモンゴル帝国がモスクワを支配した時代を知っているということになるだろう。
また、もともとウクライナとロシアは一つ(議論あり)だった(ロシア語とウクライナ語の類似からも分かり、キエフ=京都、モスクワ=東京と考えることもできる)が、モンゴルがキエフ大公国を滅亡させたことによって、引き裂かれたという考えもある。
上の地図の赤い部分が現在のキエフ(ウクライナ)を中心としたキエフ大公国という国。このときは、キエフが首都でそのキエフ大公国という国の中には現在のモスクワも入っていた。
プーチン大統領が今もなお、ウクライナ人とは同類だ。と、EU寄りになりそうなウクライナをけん制しているのはこのため。
また、17世紀のロシアの貴族に関する調査では、15%以上がタタールほか東洋の血筋であったともされており、いかにモンゴル系の支配階級とロシアの一部の上層部が繋がっていたかが分かる。
また、モンゴル帝国による支配が、モスクワ大公国の勃興だけでなく国家体制の整備にも強い影響を与えたという研究もある。
また、モスクワ大公国は、貴族の封建的階層制度である門地制度(メストニチェストヴォ、Местничество)、広い国土に命令や通信を行き渡らせる駅伝制、人口調査制度、財政制度、軍事組織などをモンゴル帝国の支配システムから引き継いだ。ともされている。
これはモンゴル側からすれば凄いことなので、モンゴルの歴史教科書に載ってるだろう絶対…。
一方で、モンゴル帝国がモスクワを支配したことで、ロシアは西ヨーロッパに後れを取ってしまったという指摘もある。
政治的・社会的・経済的改革や科学の発展の導入が遅れ、いわゆるヨーロッパ人からみて、ロシアは西欧から200年分遅れた国というイメージに結び付くのだそう。
⑥ジョチ・ウルスの概念をもう一度説明
地図は、1389年、ティムールとの戦い以前のジョチ・ウルス。
ジョチ・ウルス(モンゴル帝国とは別のモンゴル系の政権)はモスクワ大公国を廃せずに、後ろから操る形でモスクワ大公国を支配した政権と言われ、キプチャク汗国とも呼ばれる。
地図でもモスクワの部分は濃い黄色になっていない。
⑦ロシア語は面白いのでオススメ
日本ではロシア語が過小評価されていると思う。今後ロシア語を理解する人材がもっと必要なのではないだろうか。
私が西洋の言葉の中でもロシア語が気に入ってるのは、ロシア語ができればシベリア全体で使えるわけで、自分の行動範囲が広がるからだ。
更に、東ヨーロッパ、中央アジア、コーカサスなどでロシア語はまだまだ通じるので非常に便利だ。また農地が多く、資源国家でもあるので、政権によってかなりの可能性のある国で、シンガポールの投資家、ジム・ロジャーズも称賛している。
またロシア人は、ロシア語をちょっとカタカナで喋っても理解しようとしてくれる。
ロシア語圏に来るようになってから、本当に、色んなことを学びつつある。うっすら知ってはいたけどよく知らなかったことなど、言語を学ぶことが、その国を知る、知りたいということに繋がっているので、是非、色々な言語を学ぶ楽しさを知っていただけたらと思う。