アラビア語(古典)、ラテン語、サンスクリット語。これらは現代はあまり話されはしないが、世界中にある言語の約70%以上に影響を与えた言語だと私は思っている。世界における中国語の人口の割合が結構高いのでそれを除いたなんとなくの割合だけど。
インド・ヨーロッパ語族はラテン語、アラブやイスラム教徒が多いエリアの国々ではアラビア語。そしてインドや東南アジア、日本語にさえも梵語(サンスクリット語)由来の単語がたくさんある。中国語にも沢山はいっているだろう。
そんなサンスクリット語は、ニューエクスプレスのシリーズにも登場。
ニューエクスプレスプラス サンスクリット語《CD付》 単行本(ソフトカバー) – 2021/2/27
それはそうと、人々がサンスクリット語を勉強したくなる理由はなんなのだろうか。またなぜサンスクリット語と聞くと神聖なイメージが湧くのだろうか。これはおそらく日本人だけでなくインド人も同じはずである。
話されもしない言語がこのように本になる理由はなんだろうか?
それはやはりかっこいいからだと思う。
そんなサンスクリット語。おそらく日本で話せる人なんてほとんどいないと思うけど、教養としてやってみるのもありでは?と思い私も2023年から語彙レベルでの学習を開始。
さて、この記事ではそんなサンスクリット語に関するトリビアや、勉強してみたくなるようなことをざっくり書いていきたいと思う。
①話者数と、言語の古さ
話者数 2,4821人(およそ2.5万人)
少ないながらも一定数いるのに驚いた人も多いのでは?ちなみにサンスクリット語よりもタミル語のほうが古いと言われ、タミル語話者はインドにおいて強烈なプライドを持つ。またタミル文化、つまりインド南部の文化がインド固有の文化であるということもあり、タミル語にはブランド的価値がつく。
とはいうものの、どちらが古いかというのはかなり拮抗していて、サンスクリット語は世界中の言語に影響を与え、ヨーロッパの多くの言語に影響を与えたと言われている。
とはいっても現在話されている言語という意味で言えば主要言語の中ではタミル語が一番古いのかもしれない。よくインドで言われるのは、サンスクリット語は心の中にある言語だということである。
②宗教言語としての権威
ユダヤ教=ヘブライ語
イスラム教=アラビア語
キリスト教=ラテン語
仏教=サンスクリット語
神道=日本語
と考えたときに、サンスクリット語は世界でも非常に存在感のある言語なのに、日本ではあまり学ばれていない言語ということになる。特に日本・中国・朝鮮・ベトナム・モンゴル・チベット・タイ・ミャンマー・カンボジア・バリ島など多くのアジア諸国が仏教の影響を受けているので、サンスクリット語というのはアジアでいうラテン語である。という考え方もできる。
③サンスクリット語が使われている村の存在
ヒンディー語の高級語彙の多くがサンスクリット語である。日本人が読めない漢字もあるように、ヒンディー語でも同じ単語なのに高級語彙としてサンスクリット語の語彙が入ることもかなり多い。
インド南部カルナータカ州にある小さな村マトゥール(Mattur)ではサンスクリット語が話されている。そもそも州で話される言葉はカンナダ語だがマトゥールでは、サンスクリット語とヴェーダ研究の学習の中心地として長い間知られていて、この村の住民 5,000 人の主要言語であり、学校での必修科目ともなっている。
このことはあまり知られていない。それは、上のインド人がこの街について語っているショート動画の再生数からもわかる。
④多くの言語に影響を与えた言語
私はインドネシア語からはじまり、タイ語、ベトナム語、ヒンディー語、タミル語などを学習中。そしてこの3年以上ずっと思ってきたのが、これらどの言語にもサンスクリット語由来の語彙が多いということである。
たとえば、ヒンディー語、タイ語、インドネシア語では、language(言語)=サンスクリット語のバハサ(言語の意味)を採用している。
そもそもこの地図のようにグレーター・インドという概念があって、歴史上インド文化の強い影響を受けてきたエリアをさすが、日本人のよく行く東南アジアのほぼ全域がそのエリアである。
それよりも驚いたことに、ロシア語やヨーロッパの語彙の語源を調べていても最終的にどこからきた単語なのか?というところを突き詰めていくと、サンスクリット語に行き着くことが多々ある。
例えばロシア語のレッスン中に、ロシア語のlove(愛)は、любовь(リュボフィ)だよね。ってことを何度も教えていると、頭の中で直感的に、もしかして英語のlove(愛)と同根?などと思って調べた際に、最終的にはサンスクリット語のdesire(欲)からきているということが判明。
Sanskrit लोभ (lobha, “desire, greed”)
こんな事が何度もあるのだ。
言い出せばキリがないので、そのうちサンスクリット語からきた英単語リストは作りたいと思っている。
そういうこともあり多言語学習が好きな私は、アラビア語・ラテン語・サンスクリット語はあらゆる言語の語源となっていることを踏まえれば、避けて通れない言語なのだなと感じている。
⑤数あるインドの言語へと繋がる(英語にかわる民族間の中立言語?)
もちろん上に書いたようにインドのみならず東南アジアなどの多くの言語を勉強するとき、サンスクリット語の基礎単語がわかっているとワクワクしながら勉強することができるようになる。ここも同じか、ここでも繋がっているのか。とまるで自分が学者にでもなったような気分になる。
またヒンディー語の学習をためらっている場合、サンスクリット語の単語学習によってインドのどの言語にも派生していけるのでこれはメリットだ。インド南部のインド・ヨーロッパ語族とは関係ないドラヴィダ系の言語でさえ、多くのサンスクリット語由来の語彙を受け入れている。
ちなみにインドのモディ首相が歴代インド首相の中で、国際会議において英語ではなくヒンディー語を使ったことはかなり注目される出来事だった。けれどもヒンディー語以外の言語の人からは、ヒンディー語がインドの代表言語みたいなのはおかしいというコメントで溢れていた。
インドには南部のドラヴィダ人たちが話す言語もたくさんあるので、彼らによると、タミル語などのインド南部の言葉も多くのサンスクリット語の単語を受け入れてきたので、インドの公用語はサンスクリット語に統一するべきだ。というもの。
これは笑い話ではなく、本当に合理的なのではないか?とまで思ってしまった。
以下は日本語が話せるインド人が語っている、ヒンディー語はうせろ!
ヒンディー語は知らん、失せろ!80年にも及ぶ言語の闘い!#hinditheriyathupoda
⑥マラーティー語に有利に働く
マラーティー語とサンスクリット語の間には非常に密接な関係がある。その理由は、マラーティー語はプラクリット語のマハラシュトリー語に由来するからである。 またマハーラーシュトリはヴェーダ サンスクリット語の分派であった。 つまり、マラーティー語はヴェーダ サンスクリット語に由来することになる。
What is the relation between Marathi and Sanskrit?
あるインドのサンスクリット語を勉強するメリットの記事には、このインドの商都ムンバイを中心に使われるマラーティー語習得に有利に働くと書かれている。
⑦サンスクリット語の響きと、評価
この動画はスウェーデン国籍の女性がサンスクリット語を話しているもの。サンスクリット語を全く現時点で理解していない私からすると、ヒンディー語のような田舎くさい感じがしない。ヒンディー語はヘー、ヘーって田舎っぽい感じがあるのに対して、サンスクリット語はもっとすっきりした音に聞こえるのはちょっと聞いただけでわかった。
ちなみに、コメント欄をみていると、インド人としての誇り。なんで自分はインド人なのにサンスクリット語が話せないのか。という後悔的なコメントが多かった。
⑧最後に
上にも書いたが私自身、学ぶ言語の数が多くなるにつれて、この言語でもこの単語使ってたよね、っていうことが多くそこを突き詰めるとサンスクリット語だったということが多いので今年はOXFORD3000単語をそのままサンスクリット語に変換する作業をして、自らのソース源を作っていきたいと思う。