キルギス人に対する情報。インターネット上ではいまだに誘拐結婚などのことばかりが強調されていたり、謎に日本人とキルギス人の同祖論で盛り上がったり。けれども日本人が流すような同じ情報って、誰かが言ったことをそのまま書いているものも多く、私にはかなり疑問があった。
この記事は私が実際に感じたものであり、それこそ全ての人には当てはまるかわからないが、一応書き残しておきたいと思う。
①金貸して
1回目のキルギス、2回目のキルギスではこれはなかった。3回目のキルギスで5人以上に「金貸して」を言われた。3年前に友達紹介してもらったりした男子や、3回目のキルギスで毎日のように会っていた男子、バスの中で知り合った男子(その場で会って連絡先交換しただけなのに)など、とりあえず2022年は「金貸して」のオンパレードだった。
これは2022年のロシアによるウクライナ侵攻で、今までお金に余裕があった出稼ぎ労働者(キルギスの経済の半分ほどがロシアを中心とした海外で稼いだ外貨によって生活している)がたくさん失業したり、この戦争のおかげでキルギスの物価がかなり上がってしまったこともある。
つまり2019年の空気とは少し違っている。
金は貸していないが毎日会っていた男子は色々手伝ってくれた(アパートの大家と話などをしてくれた)ので、アパートを退去する際に3000円くらい通訳料として渡したくらい。
時期も時期だったからなのか、私が年をとったからなのかはわからない。でも人生の中で金貸してって言われたのは、高校生以来だろうか?(笑)
なので新鮮と言えば新鮮だった。
②行きすぎるオモテナシには注意
※写真は若いお医者さんのグループとご飯食べに行った後に訪れたカフェ
3回目のキルギスでは、1回目のキルギスで友達になった男子から、若い男性のお医者さんとその彼女(19歳)を紹介してもらった。ニューデリーからアルマトイ経由でビシュケクの空港に降り立った私は、そのお医者さんの男性の友達が所有する中古のレクサスで市内に向かう。
え、会ったこともないのに迎えにきてもらえるとか、どゆこと!?という感覚で、彼らは私の宿を一生懸命探すのである。そしてスーツケースも男子二人で持ってくれて、こんな30半ばのおかまのオバハンにこんなによくしてくれるなんて、何か裏があるのでは?しかも19歳の彼女もいかにもモテそうな感じなので、私はずっと疑っていたが、彼らは高学歴な上、話し方や所作などを観察していても、やはり上級キルギス人だとすぐにわかった。
その夜、レストランに行き私が食べたいものを食べに。2019年に食べた子羊のお肉が食べたい。ということでナヴァト(NAVAT)に向かうことに。そこでもお金を渡そうとしたら、いらないと言う。彼らの友達も何人かやってきて私はなんだか歓迎されているような気持ちになった。
しかし、彼らは英語が話したいのである。これは非常に大きい。そしてやはり色んな国を行ってて感じるのが、先進国の、特に日本人と友達になることは一種のステータス的なものもある。
これは不思議なことに高学歴だったり収入が高い人ほどそういう傾向があると思う。逆に貧困層の人は、何が日本人?という感じの人も多い。
その後も何度か食事に誘われたが、オモテナシを受けすぎるのはさすがに怖いので、こちらから断ったらそれ以降、連絡はなくなった。無料ほど怖いものはない。という感覚を私は常に持っているので。
で、上にも書いた3年前に会った男子(2022年にお医者さんなどを紹介してくれた)が、日本でビジネスを立ち上げたいから、少し協力してほしい。とお願いしてきた。これは、こっちもやったんだから、そっちもやってくれるよね?というキルギス人的な発想、そしてそこにイスラム教の教えなども被さっているので、日本人からすれば少し違和感を覚えるかもしれない。
③キルギス語を話さない方がいい場面とは?
日本と違いキルギスは都市部と田舎で人の感覚が結構違ったりすることがある。特に日本人が多く訪れるビシュケク、その中でも中心部ではキルギスの中でのエリートが多く彼らはロシア語を好んで使う。英語は世界言語だけどロシア語はキルギス社会での上流言語という位置付けにある。そんな彼らにキルギス語で話しかけたら、もちろん喜ばれるが、もしかして俺の事、田舎者だと思って見下してない?という感情もそのうち湧き出る可能性もある。
上流キルギス人の中には非常にプライドが高い人も多い。ので注意が必要。
上にも書いたお医者さんなどは田舎のオシュ出身。彼はキルギス語がもちろん話せるが、私がキルギス語を勉強していると言うとあまりいい顔はしていなかった。それどころか彼らはロシア語で話していたし、そこに少しキルギス語を混ぜるという感じだった。
キルギス語で話す時とロシア語で話す時は雰囲気さえも変わる。これは日本人が日本語で話す時と英語で話す時に雰囲気が変わるのと同じで、キルギス人はロシア語の方がキルギス語よりも気を遣わなくていいという感じや、ロシア語話せる自分すげぇというのもあると思う。
また、日本でも海外にでたことない日本人に多いけど、日本語なんて英語より格下!と思っている人がたまにいるが、キルギスではこの考えが非常に強く、ロシア語が上流であり、キルギス語が格下の言語という感じになっている。
つまりキルギス語しか喋れない人は田舎で馬に乗って農業をしてるような人たちという認識なのである。今少しずつキルギス語の地位向上にキルギス政府が動いているが、キルギス語がもっと認められるにはあと15年程度かかると思われる。
とはいってもインフルエンサー、テレビ、街中、どこみてもキルギス語で溢れているし、キルギスはやはりキルギス語の国なのである。
④日本人=キルギス人対等説
※写真のキルギス帽子のおじさん二人は、パリの凱旋門の前にいた上級キルギス人(笑)→数多くいる白人の中にポツンといた私をずっと目で追っていたし私も撮ろうかな?って何度か振り返った。
ここでは上流キルギス人についてが対象となるのだけど、上流キルギス人はヨーロッパにもアメリカにもたくさんいて、彼らは日本人に近い東アジア系の顔立ちをしていることが多く、日本人になりすましていると言ったら変だけど、日本人?と聞かれた際に、「うん」と言っているという話を聞いたことがある。
日本人からすればキルギス人=誘拐結婚、日本人に顔立ちの似たエキゾチックな発展途上国の貧乏な人たち、同祖論的な兄弟、遊牧民の印象なのだけど、上流キルギス人は英語、ロシア語、キルギス語、そのほかの例えばトルコ語やドイツ語、中国語なども扱え、自分たちはロシア人と同じ地位という感覚を持っている。
顔立ちは日本人に近くても自分たちは東アジア人とは同じではない。むしろロシア語圏の中でも珍しいアジアンとしての強いプライドがある。
また、混血のためか日本人よりも頭身がある、つまり顔が小さくて身長も高く日本人の平均よりもスタイルがいい人も多いので、特に東アジア人から下に見られるのは嫌だという感覚がある。なぜなら彼らはヨーロッパやアメリカに行けば、東アジア人としてチヤホヤされるからだ。→欧米では東アジア系は差別の対象となることが多いが、むしろ歓迎される国の方が多いのが事実。
なので自分たちが日本人になった感覚がわかるのである。彼らは日本人と言えばそれだけで海外でよくされるのだから。
ロシアのモスクワなどにあるお寿司屋さんの従業員の多くがキルギス人である。そしてモスクワには多くのキルギス人がいて、たいてい日本人が自分と近いと感じた人のほとんどが、話しかけてみるとキルギス人である。
何が言いたいかというと日本人からみたキルギス人と、実際の上流キルギス人は全く違うのである。
⑤友達は簡単にはできない
ここまで上流キルギス人のことをたくさん書いた。では普通のキルギス人は?私は普通のキルギス人と友達になりたくてキルギス語を頑張っているわけなのだけど、インスタグラムなどではまず彼らの世界があり外国人とはそこまで仲良くなりたがらない人が多い。
もちろんメッセージなどは返ってくることが多いし会うこともできるけれども、言語の壁というのは想像以上に強い。
実際に会う、友達を紹介してもらう。などと一連の行事が終わった後、お互いに会話が通じなければ会う必要性がなくなってくるので続かないという感じだ。
なので日本人がキルギスで友達を作る場合、語学堪能だったりしっかり教育を受けているほうの上流キルギス人かそれに近い人たちになることが多い。
⑥歳上に対する尊敬は絶対
海外=アメリカ。という発想になってしまいがちの日本人が多い中注意しなければらないのは、歳上に対する尊敬。キルギス人はロシアによって国境が引かれるまではそれぞれのキルギス族が暮らす土地だったので、その部族の中で誰が一番上。などという強い感覚がある。
外国人にはおもてなしをし、キルギス人の中では社会的、年齢的な序列があり、それに沿って生きている。
ロシア語を使う際に丁寧語で話すことまでしなくていいけれども、キルギス語を話す際に語尾を少しカジュアルにしてしまうだけで、彼らの言語なので注意が必要。そして旅行者でもよく遭遇することは乗合バスの中でのことである。
高齢女性>高齢男性>中年女性>というような順番で席を譲らなくてはならなくこれは絶対である。しかも中年女性や高齢女性の中には物凄く気性の荒い意地悪な人もいるので、あんたどけなさいよ!的な態度の人もいるので注意。
ここはキルギスよ!っていう人もいたり、また「あんた中国人なんでしょ!?」的なことを言ってくる人もいる。
中国は今こそ経済発展した国だが、多くのキルギスではいまだに1990年代の進んでいたソ連と、遅れていた中国。というイメージが強く残っているため、中国人に対して自分たちのほうが上と思っている感覚のある人も多い。
⑦タジキスタンについて
キルギス人にとってタジキスタンの話をするのは韓国人に対して日本人の話をするのに似ているので注意。この感覚は私自身言葉で説明できない部分が多かったが、キルギスで体験したいくつものことによって自分で歴史を掘り下げようという気になり、前回投稿した。
以下に詳しく書いた。
最後に
ものすごい断定的な口調で書いたが、少しずつ直していきたいと思う。また何かあったら追記していきたいと思う。